田舎で噂が真実になる仕組み | 注文の多い蕎麦店

注文の多い蕎麦店

人間は何を食べて命を繋いできたのか?
純粋に生きるための料理を実践し
自然に回帰することで
人間本来の生活を取り戻します。


例えば僕がちょっと前の日呑み過ぎて髪の毛ぼさぼさげっそりやつれた顔で厨房に立ってたとしましょう。
そこへ普段僕の活力のある状態しか知らない近所のおばさんが食べにきてすっかり表情の冴えない僕を見てこう思うわけです。
 

うわ!えらいお兄ちゃんヤツれたなあ・・・
もしかして何か病気とちゃうか??
え?ひょっとしたら癌とか??

でそのおばさんが別のおばさんのとこに行って世間話ついでにこう言うわけです。

ああそうそう。あそこの蕎麦屋のお兄ちゃん知ってる?
この前食べに行ったとき見たらげっそり痩せてはってなあ・・・
あれもしかしたら癌とか何かちゃうかしら・・・

でその噂話を聞いたおばさんがまた別のおばさんのとこに行って世間話ついでにこう言うわけです。
ああそうそう。これ誰々さんから聞いたんやけどさあ。
あそこの蕎麦屋さん何でも癌らしいで!

でそれを聞いたおばさんがまた別のおばさんのとこに行ってこう言うわけです。
ああそうそう。
あそこの蕎麦屋さん癌なんやて!
もしかたらそろそろ危ないんちゃうか?

でそれを聞いたおばさんがまた別のおばさんにこう言うわけです。
ああそうそう。
あそこの蕎麦屋のお兄ちゃんあと寿命半年くらいらしいで!
もう店も閉めるんとちゃうか?

でそれを聞いたおばさんがまた別のおばさんに。
ああそうそう。
あそこの蕎麦屋さんもう閉めはるねんて!
この辺もまた寂しなるなあ・・・
誰か後やらはらへんやろか・・・

でそれを聞いたおばさんが僕のとこにやってきてこう言うわけです。

なあなあお兄ちゃんここ月いくらで貸してくれんの?

でそれを聞いた僕がおばさんにこう言うわけです。
月2億円やったら貸しますよ。

でそれを聞いたおばさんが別のおばさんのとこに行ってこう言うわけです。
あそこの蕎麦屋のお兄ちゃん頭おかしならはったよ。

でそれを聞いたおばさんが・・・
田舎ではこうやって噂話が進化していくのですね。
もちろんこれは僕の作り話です。

有り得る話だけに笑えない(^ ^;)