人は一人で生きこらえらるか7 | 注文の多い蕎麦店

注文の多い蕎麦店

人間は何を食べて命を繋いできたのか?
純粋に生きるための料理を実践し
自然に回帰することで
人間本来の生活を取り戻します。

ニューヨークから来た白人カップル。
聞けば新婚旅行らしいじゃないですか。
でも何で中国チョイスしたんだろ。
しかも雲南省。


邪推はさておき、この新妻が相当な別嬪さんでして。
全盛期のシャーリーズセロンを彷彿とさせる美貌。
しかも名前がエンジェル。


ああついに天使が現れた(幸)


この二人。僕が日本人だと知った途端。
付いてくるんです。
どうも通訳代わりに使いたいような。


日本語と中国語全く違う土俵なんですけど(汗)


アメリカ人にしたら、日本も中国も韓国も皆同じ。
同じ黄色人種。
顔もほとんど同じなんだから少しくらい言葉わかるだろう。
みたいな。


ぜんぜん分からないんですけど(涙)


ええいままよ。
折角出現した天使を手放すのも惜しい。

ルー大柴並みの似非中国語マスターの誕生です。


行き交う子供に満面の笑みで。
にーはお。
続けてカップルも。ニーハオ。

道を譲ってくれた牛引きに慈悲を込めて。
しぇーしぇー。
続けてカップルも。シェーシェー。


小学生並みの会話だけじゃないですか(笑)
それでも彼らは満足気。
調子に乗ったエンジェルが。
虎跳峡どっちか聞いてよ。って。


やばいな。そんな複雑な単語はまだ習ってない。
とりあえずここで待ってなさい。
さあどうする。
とにかく聞くふりだけはしておこう。


にーはお。ふーてぃえしゃお。ざいなあー。

やはり通じない。確かどこはザイナーだったはず。
抑揚が違うのか。そもそも地名の読み方さえ危うい。
しかしエンジェルの前で恥はさらせない。


カップルからの死角を確保。
さりげなくガイドブックを取り出した僕は
虎跳峡のページを指差す。


無表情で頷く農夫。
その指し示した山峡が。そう虎跳峡。


なぁめえりかあぁぁ。
じゃなかった。
ふうてぃいえしゃおおぉ。


毅然と指を伸ばし叫ぶ僕に。
白人カップルは崇拝の眼差し。
まさにコロンブス扱い。


さあ虎跳峡だ。いくぞ従僕ども(笑)


軽快な足取りとともにいよいよ冒険の始まりです。
山賊が潜むと言われる山岳ルート。
旅の締めくくりにはもってこいの舞台だ。
ピクニック気分のハネムーナーは予定外だったが。


まずはこのルートに唯一存在するゲストハウス目指して。
順調に行けば6時間か。
順調に進めればの話しだが。


続く。