ニューヨークから来た白人カップル。
聞けば新婚旅行らしいじゃないですか。
でも何で中国チョイスしたんだろ。
しかも雲南省。
邪推はさておき、この新妻が相当な別嬪さんでして。
全盛期のシャーリーズセロンを彷彿とさせる美貌。
しかも名前がエンジェル。
ああついに天使が現れた(幸)
この二人。僕が日本人だと知った途端。
付いてくるんです。
どうも通訳代わりに使いたいような。
日本語と中国語全く違う土俵なんですけど(汗)
アメリカ人にしたら、日本も中国も韓国も皆同じ。
同じ黄色人種。
顔もほとんど同じなんだから少しくらい言葉わかるだろう。
みたいな。
ぜんぜん分からないんですけど(涙)
ええいままよ。
折角出現した天使を手放すのも惜しい。
ルー大柴並みの似非中国語マスターの誕生です。
行き交う子供に満面の笑みで。
にーはお。
続けてカップルも。ニーハオ。
道を譲ってくれた牛引きに慈悲を込めて。
しぇーしぇー。
続けてカップルも。シェーシェー。
小学生並みの会話だけじゃないですか(笑)
それでも彼らは満足気。
調子に乗ったエンジェルが。
虎跳峡どっちか聞いてよ。って。
やばいな。そんな複雑な単語はまだ習ってない。
とりあえずここで待ってなさい。
さあどうする。
とにかく聞くふりだけはしておこう。
にーはお。ふーてぃえしゃお。ざいなあー。
やはり通じない。確かどこはザイナーだったはず。
抑揚が違うのか。そもそも地名の読み方さえ危うい。
しかしエンジェルの前で恥はさらせない。
カップルからの死角を確保。
さりげなくガイドブックを取り出した僕は
虎跳峡のページを指差す。
無表情で頷く農夫。
その指し示した山峡が。そう虎跳峡。
なぁめえりかあぁぁ。
じゃなかった。
ふうてぃいえしゃおおぉ。
毅然と指を伸ばし叫ぶ僕に。
白人カップルは崇拝の眼差し。
まさにコロンブス扱い。
さあ虎跳峡だ。いくぞ従僕ども(笑)
軽快な足取りとともにいよいよ冒険の始まりです。
山賊が潜むと言われる山岳ルート。
旅の締めくくりにはもってこいの舞台だ。
ピクニック気分のハネムーナーは予定外だったが。
まずはこのルートに唯一存在するゲストハウス目指して。
順調に行けば6時間か。
順調に進めればの話しだが。
続く。