傍から見れば現地ガイドと白人旅行客。
楽しそうなエンジェルとその連れ。
そりゃ楽しいでしょ。何せハネムーンなんですから。
何度も言いますが何ゆえこの旅行プラン（汗）
最初はね。片言の英会話で仲良くやってたんですけど。
とにかくね。遅い。
特に男子。途中から明らかにだるそうな表情に。
そんな連れを見てエンジェルも呆れ顔。
察するにね。どうも彼は二人きりになりたいみたい。
当然ですよね。
一生に一度の新婚旅行。
見ず知らずの東洋人と連れ歩く意味はない。
でもね。エンジェルはそうじゃない。
言葉も分からない未開の地で孤立するのが恐ろしい。
せめてゲストハウスまでは共に歩みたい。
だから何ゆえこのトレッキングコースを組み入れた（汗）
あから様に遅れ出した男堕天使。
エンジェルの叱咤も及ばず終にはへたり込む。
そろそろ限界か。
エンジェルよ。
申し訳ないが僕には時間がない。
君との時間は貴重で尊いものだが
僕は行かねばならない。
僕にはやり遂げなければならないことがあるのだ。
ああエンジェルよ。
君は美しい。君と出会えたことがこの旅行最大の宝物。
運命というものが存在するのならば
またどこかで再会しよう。
ありがとうエンジェルよ。君の瞳は一生忘れることはない。
ありがとう。エンジェル。
全ての気持ちを凝縮して発した言葉は。
しーゆーあげいん。
ああもっと英語勉強しときゃよかった（苦笑）
とにかくこれでやっと自由だ。
ペース上げれば夕方にはゲストハウスに辿り着けそう。
野を踏み分け谷を越え。
さすがに雲南省随一の人気山登りスポット。
その壮大な景色は
ちっぽけな日本人の存在など目にもかけない。
予測通りゲストハウスには日没前に。
カップルの消息は気になるが
まあ何とかなるだろう。とにかく疲れた。
とりあえず今日はゆっくり寝よう。
いよいよ明日が本番。
この先にもう宿泊施設はない。
残りは全行程の３分の２。
最悪野宿も致し方なしか。
ふいに目に留まったのが
ゲストハウスの中庭で白人女子達といちゃつく中国人。
片言の英語で大学生らしき金髪女子に猛アタック中。
田舎の中国人もなかなかやりよるな。
西洋人相手に何の引け目も感じてないようだ。
共産主義の崩壊は地方にまで及んでいるのか。
ふと視線を上げた彼。
ちょうど僕の視線と交差したかと思うと。
お疲れ様でえええす。
ばりばりの日本人ではないか。
こんな僻地の僻地まで。
西洋人もいるのだから不思議ではないのですが。
そこから彼のマシンガントークの始まりです。
静岡から３ヶ月の予定で中国放浪していること。
大学の医学部に入学したが授業料が払えなくて休学していること。
現在は旅の放浪記を有料メルマガ配信して
そのお金で食いつないでること。
チベット側から侵入してたまたまカナダ人の女の子達と出会い
一晩くらい抱けないものかと追いかけてきたら
ここまで来てしまったこと。
一緒に口説き落とそうよ。
メルマガの会員にもなってよ。
初対面の人間相手にこの軽さ。
いろんな人間がいるものです。
僕の部屋は二人部屋。
もちろん相方は・・・（苦笑）
果たして今夜は眠れるのだろうか。
明日は過酷な道のりが待っているというのに。
続く
少し引っ張りすぎました（苦笑）
次回くらいで終わらせます。