子どものころ『若草物語』が好きだった。
最初に読んだのは「少年少女世界の名作」全集の中の一冊で(その中にバンの卵を食べるペリーヌの物語『家なき娘』もあった)『若草物語』『続若草物語』の2話分が一冊になっていたから、子ども向けの抄訳だったのだと思う。
挿絵が妙にリアルで、後に映画「若草物語」(1949年公開)の場面を絵にしていたらしいとわかった。(エリザベス・テイラーがエイミーをやっていた)
中学生になって『若草物語』を全4冊、抄訳でない本で読んだ。
このころ、私の周囲では少女向けの小説といえば一番人気は『赤毛のアン』で、アンやギルバートやプリンスエドワード島に憧れる友人たちが多く『若草物語』派はあまりいなかった。
『第三若草物語』には、「プラムフィールドの子どもたち」という副題がついていた。
プラムフィールドというのは、最初の『若草物語』の中で、いろいろ意地悪なことを言っていたマーチ伯母が遺産としてジョーに残してくれた広い敷地に建つ屋敷で、ジョーと夫はそこを学校にしたのだ。生徒は少人数で、いろいろな子どもたちのニーズに合わせられる学校だった。
(このあたりの話が「ナンとジョー先生」というアニメになっていたけれど、見たことはない。原作とはだいぶ違うらしい)
生徒のほとんどは男の子だけれど、そこに「ノーティ・ナン(おてんばナン)」や、メグやエイミーの娘たちも加わって(なんとなく道徳的かつ教訓めいてはいるけれど)面白い物語になっていた。
先日街で見つけた「近代的小学校」の碑のことを考えていた。
兵学校付属小学校が始まりだったことを思った。運動会の行進の足が揃うまで練習させられたこと、昼休みや掃除の時間まで、食べられない給食を前にすわっていたことを思った。(私には嫌いな食べ物がたくさんあった)
最近、ある不登校の少女のことを知った。彼女は、不登校の自分を「出来損ない」だと思い、辛い気持を抱えている。
キリスト教が根底にあり、お酒を飲むことさえも堕落の始まり(私は時々堕落したい)と考えるジョーの方針にはついていけない部分もたくさんあるけれど、プラムフィールドは基本的に子どものための学校だと思った。
ほぼ全てのタンポポが黄色い花なので、白は少数派だ。
少数派は、数が少ないだけで間違っているわけではない。