まちあるき | 東四ヶ一の庄

東四ヶ一の庄

実家を離れて40数年。もう帰ることはないだろうと
思っていたこのまちに戻ってきました。
「東四ヶ一の庄」とは、私の愛読書『ホビットの冒険』
『指輪物語』の主人公の家があるところです。

この街では、信号のない横断歩道で立ち止まったときほぼ全ての車が停まってくれる。

交通法規からいえば当たり前なのかもしれないけれど、なんだか感動してしまう。

 

駅に続く仲見世通りを通ったら、今日は毎月第二土曜日に行われる市の日だったらしい。

商店の前にテントで小さい出店ができていたり、射的のコーナーがあったりした。

 

そして、ストリートピアノがあった。

どうも私は写真を撮るとき、右に傾く癖があるらしい。(右肩下がりの人生なのか)

 

これまで住んでいたところでは駅にピアノがあり、電車の待ち時間があって誰も使っていないときに弾いてみることがあった。

 

私は小学生のころの数ヶ月間ピアノを習ったことがある。先生が引っ越してしまって、私のピアノのお稽古はそこまでになった。そもそもうちにはピアノがなく、足踏み式のオルガンがあるだけだった。私より前にピアノを習い始めていた姉は、足りない鍵盤をものともせず「エリーゼのために」などをオルガンで弾いた。

 

15年ほど前、突然夫が中古の電子ピアノを買ってきた。そのころは時々さわってみたけれど、数年埃まみれになるままにして、あるときまた弾いてみようと思った。

そのとき楽譜(なぜかたまたまうちにあった)を見ながら練習したのが、ショパンのノクターンNO2。これは「愛情物語」という古い映画で使われたので、タイトルを知らなくてもたいていの人は聞き覚えがあると思う。

 

曲の記憶と、楽譜と、YouTubeのおかげで、長いことかかってノクターンNO2がやっと最後まで弾けるようになった。

それで、駅のピアノで弾いてみた。弾き終わると、近くにいた人が手をたたいてくれた。そして駅の掃除をしている人だろうと思う。バケツとモップを持ってスカーフを被った女性が「もう一度弾いてください」と言った。

 

えっ。

 

「この曲とても好きなんです。もう一度、だめですか」

私はそのとき待ち合わせの時間まで、と思って弾いたのだった。そろそろその時間が来ていたし、何よりピアノ歴(オルガン歴)数ヶ月で我流にわか仕込みの私が、もう一度間違えずに弾く自信がなかった。(曲に対する女性の思いを汚してしまいそうだった)

すみません、もっと練習して、また来ますね。

 

あのとき、もう一度きれいに弾けるだけの腕があったなら。

 

仲見世のストリートピアノで、ノクターンNO2を弾いてみた。家でヘッドホンをつけて弾いているときとは違って、やっぱり「なんでこんなとこで」というようなところで間違えた。(家でも未だによく間違える)ラジオ体操第一も弾いてみた(これは無料で楽譜をダウンロードできる)。

 

うちの電子ピアノは中古だけあって(いばることではないが)たまに出ない音があり、気まぐれにへこんだきり元にもどらないキーがあり、ペダルは効いたり効かなかったり。

電子でないピアノの音を、ときどき聴きたくなる。

 

今は、スターウォーズのテーマを練習中。引っ越しのどさくさに紛れて楽譜類が行方不明になっているので、一向に先へ進まない。

 

仲見世通りの個人商店は、スーパーより安いことがある。今日は、白菜が丸ごとひと玉とてもお買い得だった。重いのはいやだなと思ったけれど買ってしまった。(重かった)

 

駅前通りには硬い猫がいる。

ブロンズだろうか。猫は嬉しいけれど、やはり柔らかい生身の猫にはかなわない。

 

こんな人もいる。何やらカタい本を読んでいる。

来月の第二土曜日。またピアノを弾きに行こうかな。