これまでずっとバンだと思っていた鳥が、実はオオバンだったと発覚した。
黒っぽいのがオオバン。(頭の茶色いのはヒドリガモ)
このときは、狩野川の河原に30羽以上も集まって、草地で何やら食べていた。
オオバンは「大水門となぞの鳥」でも紹介した『ツバメ号とアマゾン号』のシリーズで初めて名前を知った鳥だ。
アーサー・ランサム作 『オオバンクラブ物語』
挿絵もランサムで、船や鳥が正確に描かれている。
私が最初に読んだハードカバーは『オオバンクラブの無法者』というタイトルだった。今は、ランサムサーガとして岩波少年文庫で新訳が出ている。
この物語の中で、少年たちが一生懸命守ろうとしたオオバンという鳥が、家の近所の狩野川なんか(失礼にもほどがある)にいるはずがないと思っていたのが間違いのもとだった。
そして、バンという鳥で思い出すのは、エクトール・マロの『家なき娘』(「ペリーヌ物語」というアニメにもなった)で、職場の寮を出たペリーヌが湖の小島の無人小屋で(勝手に)暮らす場面。わずかな給金で食事も衣類も自分でなんとかしなくてはならないペリーヌは、水辺でバンの卵を見つけて喜んで食べちゃうのだ。(『オオバンクラブ物語』の鳥類保護をしている少年たちから見たらとんでもないふるまい)鳥の卵って、なんでも食べられるものなのだろうか。
これは、川上から流れてきた得体の知れない巨大桃を食べようと喜んで持ち帰るのと同じくらい、度胸のいることではないかと思う。ペリーヌは案外たくましい。
バンとオオバンは、額の色が違うし、脚が違うし、背中も違う。(ずいぶん違うじゃないか)
近所の公園にシジュウカラがいた。
ツツピー、ツツピー、とよく通る鳴き声。黒ネクタイのシジュウカラと、たぶんコガラ(小鳥だけれど特別小柄ではない)もいたと思う。冬の間の(もう春だけど)混群かもしれない。
そしてツグミ。ちょっとボケ気味。
イソヒヨドリ雄。青とレンガ色の羽が美しいけれど、影になったところにいたのでわかりにくい。これもボケ気味。(ボケているのは私だろうか)
イソヒヨドリのさえずりは美しい。今日も、この声で気づいた。
そして植物。
タネツケバナ。(相変わらずボケ気味)
花が咲けば種がつくのは道理なのに、なぜわざわざタネツケバナなのか、と聞いた私に「生きる植物図鑑」さんが「田植えのための種籾を水に漬ける時期に咲くから『種漬花』なんですよ」と教えてくれた。
日本の草花の名前が、農業や暮らし、日常のあれこれと共にあるんだ、と改めて知ったきっかけが、このタネツケバナだった。
春一番の花かも、と思うのがこのホトケノザ。
蕾の濃いピンクが美しい。うしろの白いのはオランダミミナグサ。この細長いものを長い間蕾だと思っていたけれど、なんと実らしい。昔は外国から来たものを「オランダ」とひとくくりにしていたのだろうか。
真ん中あたりにタネツケバナも見える。
そして、ヒメオドリコソウ。淡いピンクの花の形が、私は菅笠を被った踊り手(風の盆みたいな)と思っていたけれど、咲ききったときの形がドレスみたいだから、と言う人もいる。
ヒメオドリコソウの後ろにある白い点はコハコベ。
狩野川と黄瀬川が合流するあたりまで歩いた。ここで香貫大橋という橋を渡ると、隣の清水町に行ける。清水町にはその名の通り清水の湧く柿田川湧水群があり、伊豆のジオサイトのひとつにもなっている。
時間にゆとりができたら、柿田川湧水群まで歩いてみようと思った。