水門の展望台に昇ろうと試みること三回目にして、本日やっと行くことができた。
今日もよく晴れ、昨日より風もなく、高いところに昇るにはよい日和だった。
さて、なぞの鳥は今日もいた。
今日も、思わせぶりに左の塔の非常階段付近にとまって見せたりなどして、どこかへ行った。
展望台に上がってまず港の内海側を見ると、眼下の魚市場食堂の屋根に筒のようなものがたくさん立っている。通気孔か何かだろうかと思いながら双眼鏡で見ると、それは全てアオサギだった。アオサギたちが、なんとなくくつろいだ様子で日向に立っている。(この時点で、なぞの鳥=アオサギ疑惑がかなり濃くなっている)
しかし、なぞの鳥はアオサギよりずっと白く見えたのだ。
遊覧船乗り場から船が出てきた。船のあとを、紙吹雪のようにカモメの群が追っていく。
遊覧船の乗客が、カモメたちに餌をやるかららしい。(噂によれば、船内でカモメに与える用のスナック菓子を売っているとか。塩水に浮かんで暮らしていれば、塩味のスナックでも大丈夫なのだろうか)
通路から海側を見ると、突堤に造られた倉庫(?)の屋根に、トンビが何羽もとまっていた。とまっているときのトンビの後ろ姿は、茶色くてずんぐりしていて丸い頭で、猫のように見える。
そのトンビたちの間に一羽、ほっそりと長い姿。
なぞの鳥だった。
双眼鏡でじっくり観察してみた。(ちょっとうしろ向いて、と念を送ったけれどかなわなかった)遠いのが残念。私のカメラでは写真に撮ってもあまり役に立たない。
で、結局アオサギだということがわかった。アオサギも腹側はかなり白いのだと思った。
まあ、コウノトリが本当にいるとは思っていなかったけれど、私の方がとんだアホ詐欺だった。
しかし、反対側の市場食堂の屋根にはたくさんアオサギ仲間がいるのに、なぜ好き好んでトンビと一緒にいるのだろう。前に、ジョウビタキとハクセキレイがガン(雁ではなく)飛ばしあって喧嘩するのを見たことがあるけれど、トンビとアオサギは別にお互いを気にもしていないようだ。
ひとりが好きだとか、同種族とは馬が(鳥だけど)合わないとか、そういう鳥もいるのかもしれない。
やがて、なぞの鳥改めアオサギは翼を広げ、狩野川河口に向かって飛んでいった。
高さ30mの展望台からは、飛ぶトンビを見下ろすこともできた。
海に突き出た突堤の先っぽで、男の人が三人釣りをしていた。見ると、突堤の手前に「立ち入り禁止」の立て札があった。(立って入らず、這って行ったのかもしれない)
駿河湾の向こうに見えるのは富士市だろうか。煙突は製紙工場か。
そして、そのずっと向こうに南アルプス。
富士山は、今日は吐息をついていなかった。