グツグツ…
グツグツ…。
白い大根が段々と茶色い照りを纏い
一旦火を止め
蓋をして数分…
より染み込んでとろけそうな姿を見ながら
味見と言う名目で
箸がすうっと刺さる大根を口に含む…
年を重ねるのは
こう言うことなのかな?
煮物を人様に出しても恥じない味の後にほんのり優しく落ち着く感がある。
すると懐かしい自分にとってこころの第二の母が蘇る…
あぁ。
もう亡くなられて十数年やな。
よく作って持ってきてくれた炊き込みご飯の匂いが鼻に不思議と残り…
食べたい衝動に駆られた。
教えてもらったレシピシートを見ながら作ってもあの味にならなかった…
今なら出来そう。
材料を集めて美味しくなーれまじないと共に炊飯器のスイッチを押す。
炊きあがりの湯気に優しい顔がふんわりと柔らかく浮かんでいた。
まだまだ子供ごころが残ってるおじさんはまたまた摘み食い。
ありがとう…
何故だか涙が出てる
あの味だった。
今までだせなかった懐かしい懐かしい後味。
和らぐ道を教えてもらった。