北海道の作家、小檜山博が泉鏡花賞を受賞した小説。
滝上の山奥から物語がはじまる。小檜山博の出身が滝上なので、自分に置き換えて書かれているのではないかと思う。そして憧れの女の子が栗子。
今の時代も、女の子は地方から都会に出ていき、都会の眩しさに心も身体も染まっていくのはよくある話。
この物語の中でヨーク松坂屋とススキノにあった百貨店がでてくる。と言う事は、この物語は1980年から1990年くらいの話になる。この時代で、熊の毛皮のチョッキを着ている時点て、違和感を感じるが、それがこの物語をちょっと読む側を引き込むようにしているのかと思う。ただ、栗子に会いに行った時に栗子は、スーパーの店員をやめていて夜の仕事をしている。そんな生活をしてる子が、熊のチョッキを着て裸足で歩く友人と、いくら幼馴染でも一緒に銀座を歩くのは少し抵抗を感じてほしかった。
この仙作、父親との関係が出てくるが、50才くらいの子になる。残念なのは、何故か母親については殆ど書かれていない。なので、何故、仙作がこのような子になったのかよくわからないのが残念。
この数年前に村上龍の限りなく透明に近いブルーなんか読むと、やはり都会の文体かなと感じるが、この泥臭い小説感は北海道と言う感じがする。
個人的は、栗子のエピソードは良かったんだけど、最後の火砂子とのエピソードは、バッドで終わって欲しかった。