企業という組織は、

すべての部門と上手くつながってこそ

「組織力」がアップします。

Kさんはそれを物語るような体験をしました。

出張先で宿泊するため、

Kさんはホテルに予約の電話を入れました。

電話口の男性は「空いております。

この電話を予約係に回します」

と取り次ぎました。

しかし予約係の女性は、

「仮予約が入っており満室です。

上司に確認しますので、

このままお待ちください」と言った後、

「大変申し訳ございません。

やはり満室です」と対応したのです。

Kさんの心には、

後味の悪さだけが残りました。

何かタイミング的なズレが先方にあったのだろうと

自分を納得させたKさんでしたが、

ホテルの信用を低下させた事実には違いありません。

仮にKさんからクレームが入った場合、

フロントと予約係による責任のなすりつけ

合いが始まるかもしれません。

それは非常に見苦しい図となることでしょう。

大切なのは、

会社はチームであるという意識づくりです。

中の人間にすれば他部署の人間でも、

外から見た場合はチームであるという

認識は不可欠です。
Sさんは整理整頓が苦手なため、

デスク周りは常にゴミ山のような状態です。

書類は山積み状態で、

飲みかけのコーヒーカップやペットボトルが机の上に散乱し、

ゴミ箱はいつも溢れ返っている状態です。

そんなSさんがある日、

一人で夜遅くまで残業していた時のことです。

広い職場の電気の中で、

ポツンとその背中が照らし出されていました。

すると出張をしていた上司が、

出張先での案件を整理するために戻ってきたのです。

Sさんは上司の存在にまったく気づかず、

パソコンの画面に夢中です。

机の乱雑さは、

静けさの中で妙に際立っていました。 

そんなSさんを見た上司は、

「道具を大切に扱えないから仕事が進まないんだ。

机の状態が仕事ぶりを物語っているぞ」

と声を荒げました。

上司の鬼気迫る声に、

Sさんは黙って頷くだけでした。

自分のだらしなさを深く反省し、

翌日からは整理整頓を心がけるようになりました。

数週間後、

仕事を就業時間内に終えられる

ようになったSさんがいました。
サッカー日本女子代表の澤穂希選手が、

世界の強豪チームを相手にする

際にイレブンを奮起させた言葉は、

「苦しくなったら私の背中を見なさい」でした。

澤選手は大阪で六歳の頃からサッカーを始めました。

その当時、

女子は練習生の中で一人だけでしたが、

体は大きく、

足は速く、

男子に見劣りしませんでした。

性格も負けず嫌いで、

練習は絶対に休まなかったそうです。

ある試合でゲームキャプテンを決める時のこと。

一人の男子が

「澤でいいんちゃう」と言うと、

他の男子が「女はあかんわ」

と反対しました。

それからしばらくして、

澤選手は一番上手な男子にも負けないほどに

上達していたといいます。

もう誰も「澤キャプテン」に反対しませんでした。

多くの壁を乗り越えてきた人物には、

「負けず嫌い」という特徴があるといわれます。

澤選手は、

その後の様々な苦労を経て、

「見せるべき背中」をつくりました。

周囲の選手たちも、

澤選手が通って来た道を知っているからこそ、

その背中に励まされたのです。

「背中」とは「実績」です。

圧倒的な背中をつくりましょう。
土佐藩(現在の高知県)

の初代藩主・山内一豊の妻は、

夫を支える「内助の功」

の理想的なモデルとして知られています。

苦しい生活の中で名馬を買い入れ、

その馬が織田信長の目に留まったことで、

夫が出世をしたという逸話が特に有名です。

質素・倹約に日々努めながら、

使うべき時に思い切って使ったのです。

まさに生きたお金の見本といえるでしょう。

お金は敏感な生き物と考えられます。

使い方次第では自然に集まり、

時として無情にも離れていくものです。

自分の欲を満たすためだけにケチケチと使うのは、

お金が離れていくようなことを

進んで行なっているのと同じです。

逆に必要なことに対してや、

誰かのためにという思いで使う場合は、

お金を十分に生かすことになります。

お金とは、

自分の手許を離れていく時から、

自分のところに戻ってくることを

意識しておくべき存在です。

時には、

手許にあるお金に静かに正対し、

いつもありがとうと念じましょう。

私たちの生活を支える糧が光って見えるはずです。
職場環境は業種、

働く人数などによって実に様々です。

いつもお客様や取引先が出入りし、

電話を頻繁に使う職場もあれば、

ほとんど会話をせずに業務に取り組むという、

静かな職場もあるでしょう。

どのような職場でも、

一人ひとりが仕事に集中して、

実力を発揮することができれば、

生産性や効率は向上します。

しかし、

就業時間中、

長時間にわたって集中し続けるのは簡単ではありません。

吉越浩一郎氏は、

トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長の任に在った時、

午後の二時間を「がんばるタイム」としました。

その時間内は人に話しかけてはいけない、

電話をかけるのもダメ、

コピーを取りに立ち上がるのも禁止です。

徹底的に、

集中して仕事に取り組む環境をつくり、

生産性アップに成功したといいます。

何事も、

集中と弛緩のバランスが大切です。

集中して一気に取り組む時間帯と、

心身を休める弛緩の時間帯を設け、

効率的に仕事を進めて成果を上げましょう。