ツルツルに凍った路上を歩くのに、

苦労をした経験は誰しもあるでしょう。

もし摩擦力がなかったなら、

自動車も進むことはできません。

地面との間に摩擦作用が生じるために、

人や自動車は前進できるのです。

人生にも摩擦はつきものです。

周囲から自分がどう

思われているかを気にしているTさん。

相手が感情を害するくらいなら、

無理にでも同調しておいたほうが

無難と考えます。

自分の意見はほとんど言わず、

いつも本音は隠したままでした。

ところが、

会社勤めを始めた息子が出社拒否症になり、

考え方を改めました。

先輩から

「喧嘩から仲直りというプロセスを

親が子供に見せてこなかったので、

トラブルや嫌なことがあると、

すぐに引き込もってしまう」と言われたのです。

そして

「夫婦が子供の前で意見を存分に言い合って、

喧嘩から仲直りに至る流れを、

しっかりと見せることだよ」と

教えられたのです。

夫婦で「

摩擦を恐れずに話し合う」

ことを始めたところ、

やがて息子は別会社に再就職しました。

摩擦力を恐れない気持ちが、

息子を前進させたのです。

新しい部署へ異動となったY氏は、

自分はこの会社で

何をしたいのだろうかと自問する

日々が続いていました

初めての業務に戸惑うたびに、

Y氏は<この数年間、

何を積み重ねてきたのだろうと

思い悩みました。

しかし、

自分は何をすればよいのか

という点に関して、

何ひとつ答えが出せないでいたのです。

落ち込むばかりの

自分に危機意識を持ったY氏は、

感じたり思ったりしたことを、

ハッキリと文字に書き残していく

ことにしました。

自分が何を思い描いているのか、

頭に浮かび上がった言葉を、

そのまま手帳にメモしていったのです。

数週間後、そのメモを見ると、

「○○をしたい」

という自分の意志の表われが、

はっきりと目に飛び込んできました。

以後、

Y氏は手帳に蓄積された

文章を振り返りながら、

じっくりと確実に業務を進めています。

話し言葉はすぐに消えてしまいますが、

書き留めた言葉は消えません。

文字で表現することで頭の中が整理され、

自身の感覚や意志が明確になるでしょう。

Yさんは新任の挨拶回りで、

取引先のS課長と名刺交換をしました。

ある日、

Yさんが所属する部署をS課長が訪れ、

親しく

「こんにちは」と

声をかけられました。

一瞬<誰だろう>と言葉を失いましたが、

間もなく取引先名を思い出しました。

ところが、肝心の氏名が出てこないのです。

会話の流れで<確か佐藤さんだったなと思い、

別れ際に

「佐藤様、ありがとうございました」と言うと、

「斉藤です」と告げられ面目を失ったのです。

上司に報告をすると、

「君の仕事ぶりが表われている」

と注意されました。

「先日は見積書を提出する企業名を間違えたね。

段取りは早いが確認が甘い。

その象徴が机上の散乱で、

正確な仕事ができていない証だ」

と指摘されたのです。

痛いところを突かれたYさんは、

ここが自分の弱い部分だと気を引き締めました。

乱れた資料を整理し、

終業時には一日の業務を振り返ることにしました。

忙しい身であったとしても、

的確な仕事は求められます。

足元をしっかりと固めるために、

よく見聞きして確認し、

必要な整理をして業務に精励しましょう。

ブラジルに住むA君は、

工業大学に在学中から

「就職はT社に」と、

強い希望を抱いて勉強をしていました。

しかしT社は新卒者を募集していないため、

仕方なく、

募集のあったH社、

F社、

外資系のS社の就職試験を受けました。

どの企業も一次試験、

二次試験と順調にクリアして、

「通知を待つように」と言われました。

ところが大学を卒業しても、

どの企業からも合否の連絡がありません。

A君は就職できないまま、

すっかり落ち込んでいました。

見かねた父親が、

「通知が来ないのはお前に合わないからだ。

もっといい会社があるということだよ。

希望を持ち続ければ大丈夫!」

とアドバイスしました。

卒業後三ヵ月してT社の募集が新聞に出たため、

A君は勇んで受験をしました。

すると、

二次試験の三日後にはT社から

採用通知が届きました。

不思議なことに、

その数日後に、

受験した他の三社からも次々と

合格通知が届いたのです。

A君がT社に就職したのは言うまでもありません。

先が見えないと失望しがちですが、

希望を持てば自ずと開けていくものです。
一人暮らしをしているMさんは、

久しぶりの休日に部屋の掃除と洗濯、

そして家の周りの草取りをしました。

その日は、

夕方から強い雨が降るとの

予報が出ていました。

用事は順調に進んで午後となり、

草むしりが一段落した時に、

Mさんは自転車にカバーを

かぶせていないことに気づきました。

空を見ると、

雨が降るどころか日が差しています。

まだ雨が降ることはないだろうと判断し、

家に入ったMさんは、

持ち帰った仕事に取りかかりました。

そのまま没頭していると、

かなり強い雨が降ってきました。

あわてて外に飛び出し、

自転車にカバーをかぶせましたが、

全身がずぶ濡れとなってしまいました。

その後、

服を着替え、

頭をタオルで拭きながら、

髪をドライヤーで乾かしたほうが

いいかなと思いつつも、

途中だった仕事を優先させたのです。

仕事を終える頃、

ゾクゾクと悪寒が走り、

熱が出て寝込んでしまったMさん。

気づいたことを後回しにした

代償は大きいと後悔するばかりでした。