職場環境は業種、働く人数などによって実に様々です。

 いつもお客様や取引先が出入りし、電話を頻繁に使う職場もあれば、ほとんど会話をせずに業務に取り組むという、静かな職場もあるでしょう。

 どのような職場でも、一人ひとりが仕事に集中して、実力を発揮することができれば、生産性や効率は向上します。しかし、就業時間中、長時間にわたって集中し続けるのは簡単ではありません。

 吉越浩一郎氏は、トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長の任に在った時、午後の二時間を「がんばるタイム」としました。

 その時間内は人に話しかけてはいけない、電話をかけるのもダメ、コピーを取りに立ち上がるのも禁止です。徹底的に、集中して仕事に取り組む環境をつくり、生産性アップに成功したといいます。

 何事も、集中と弛緩のバランスが大切です。集中して一気に取り組む時間帯と、心身を休める弛緩の時間帯を設け、効率的に仕事を進めて成果を上げましょう。
日本では、好きなものを「いつでも」「どこででも」食べられます。

 しかし飽食は肥満の要因ともなり、食物への感謝の念も薄れさせてしまいます。「食べ過ぎない」という心得は、現代人が肝に銘ずべきものなのです。

 多めの昼食を摂った後などは、眠気が増すなどして調子が上がりません。しかし時間が経つにつれて気分が落ち着き、脳も体も活発に働き出します。空腹であるほうが、脳や体が動ける状態になるのです。

 空腹状態を長く続けることは、現実として考えると無理があるかもしれません。腹五~七分目を守るのが妥当な線といえます。余分な食事を避けて空腹を保つことは、仕事に向かう気力を自然と高めることにつながるでしょう。

 必要以上の食物を口にするのは、他の生活態度にも影響を及ぼします。「不要な物品を買ってしまう」「自分の権利を主張し、何が何でも譲らない」など、欲にかられる人間へと通じていくものです。

 適度な分量の食事スタイルを守り、あらゆる過度な生活を慎みたいものです。

ブラジル・サンパウロ市の日系企業であるサンウエイ社は、フレキシブル・コンテナ袋を製造・販売しています。コーヒー豆や大豆などを大量に運ぶための袋で、大きなものは5トン以上の重量にも耐えられる特殊な製品です。

 五年前までは不良品が多く出て、翌日の注文のない状態が何度かありました。その頃、日系二世の矢野敬崇社長は、「社員の家庭が安定しなければ会社は変わらない」ことに気づき、社員教育では愛和の家庭づくりを徹底しました。

 「家族に先手の挨拶をする」「呼ばれたらすぐに返事をする」「ありがとうと感謝の気持ちを表わす」など、身近なことから始めようと呼びかけたのです。

 矢野社長の方針と率先垂範が徐々に社員に浸透し、最近ではめったに不良品が出なくなりました。その上、社員の製品開発能力が向上して品質改善が進み、同業他社では真似のできないオンリーワンの企業となったのです。

 家庭は、人間の全生活の拠点です。生活の中心である家庭が明るく和やかになると、心が安定し、仕事の能力も体の健康も保証されるのです。
「時は得難くして、失いやすし」。これは中国前漢時代の歴史家である司馬遷の言葉です。「人生の中でチャンスはなかなか巡ってこないもので、たとえ来たとしても油断するとすぐに取り逃がしてしまう」との意味です。

 私たちは、やるべきことを「後にしよう」と先送りしてしまう時があります。その後で、「あの時やっておけばよかった」と後悔するのはよくあることです。

 また、無意味なことにダラダラと時間を費やす場合があります。「止める」のは勇気がいりますが、こだわってばかりでは先に進みません。

 大きなチャンスをつかむためには、普段から身近なチャンスをつかむ練習が必要です。その練習が「即行」「即止」でもあります。「気づいたらすぐに行なう」「気づいたらすぐに止める」という行動力と決断力を養うのです。

 「運」や「ツキ」は与えられるものではなく、自らつかむものです。まず、「今日やること」を決めたならば、今日中にやり遂げましょう。すべての人に平等に与えられた時間を有効に活用し、確実にチャンスをつかみたいものです。
Yさんは人とコミュニケーションを取ることが苦手でした。ある日、「自分の言葉を録音して相手に送る」という商品を電器店で見つけました。

 そこには、「『ありがとう』などの言葉を録音したり、恋人や夫婦間でも言いにくい『愛している』と録音してもいいですよね」と、商品を購入したお客様のコメントが記されていました。

 昨今は会社や家庭内での挨拶の声を、聞く機会が減っているようです。「わざわざ声を掛けなくても相手はわかってくれている」などと、勝手に思い込んでいる人たちが多くなってきたことが、その理由としてあります。

 しかし、人の集まる場所には言葉が必要です。ほんの一言の「ありがとう」でも、円滑に心を通わせることができ、救われた思いになる人も多いのです。

 Yさんは商品購入を考えましたが、<まずは実際に会って、自らの言葉と思いを口にしてみよう>と決心をし、自宅で挨拶の練習を開始しました。

 翌朝、気持ちを乗せた挨拶の声に、明るい笑顔と声が返ってきたのです。