駿河湾を望む田尻浜海岸にほど近い
防砂林の中に佇む
デイスカバリーパーク焼津 天文科学館を訪問。
入館前にすぐそばの海辺に出て
穏やかな太平洋を眺め富士山や伊豆半島も
眺めることができました。

田尻浜から伊豆半島方面を観る
さて、この日は天文講演会が開催され、
国立天文台の名誉教授、家正則先生の
「超大型望遠鏡で探れ!宇宙の謎」という
テーマの講演を聴講しました。
聴衆は約160人。
家先生はハワイのマウナケア山頂(標高4,200m)
にあるすばる望遠鏡の建設に携わった天文学者で
光学望遠鏡における大気のゆらぎで生ずる誤差を
リアルタイムで補正する補償光学系技術の
第一人者とのこと。
すばる望遠鏡はハッブル宇宙望遠鏡と同等の
性能であると自負され、かつてすばるで
129億光年離れた最も遠い銀河を発見された
世界記録保持者になった経歴があるそうです。
講演の前に館内のプラネタリウムで
基本的な星座の見方と美しく個性的な星雲の
画像の生解説を聞きました。
幼少時から見上げてきた星座の説明は
深夜の勉強中眠気覚ましに外に出て見上げた昔を
想い起し改めてフレッシュな感覚で
スクリーンの画像を楽しめました。
ところで、星座ウオッチで冬の大三角は
とてもポピュラーですが、同じ季節の6星座…
ぎょしゃ・おうし・オリオン・おおいぬ・こいぬ・ふたご
にある6つの1等星を繋いだ正六角形を
ウィンターダイヤモンドと称するのは初耳でした。
このダイヤモンドを構成する1等星の中で
オリオン座の星は若く青白いリゲルの方。
そしてオリオンの左肩にある馴染み深い赤い星
ベテルギウスについての現状は
ごく最近はかつての明るさ平均マイナス0.5等級
から1.4等級位まで暗くなっているとのことで
超新星爆発の予兆の噂もあるとか…
太陽の千倍の大きさのペテルギウスが爆発すると
月くらいに明るく輝くそうですが
近々目にできるでしょうか。
メインイベントの家先生の講演は、
宇宙観の歴史から最新の観測成果、系外惑星と地球外生命、
現在マウナケア山頂に新たに製作中の超大型望遠鏡
TMTの性能や建設の苦労話、補償光学…等など
多岐に亘る興味深いトピック満載で
ジョークも冴え話術に惹きこまれっ放しで
あっと言う間に時間が過ぎてしまいました。
家先生が制作に取り組んでおられるTNTは、
主鏡が直径30m規模の大きさの光学・赤外線望遠鏡で
その建設は日本、アメリカ、カナダ、中国、、インド
5ヵ国の協力事業だそうです。
現在活躍中のすばるの口径が8mなのと比較すると
高性能な解析が可能となるゆえ、
完成時に新たな宇宙の探索に大きく貢献
するのは想像に固くない次世代の望遠鏡。
会場では講師が発した音声情報をAIが聞き取り
ほぼリアルタイムで文字情報に変換し
スクリーンに映しだす仕掛けがあり
たまに、天文学者「ハッブル」が将棋の「羽生(はぶ)」さんに
変換されるような齟齬もありましたが
聞き逃しのバックアップや聴覚障害のある方の
フォローアップにかなり有用なサポートでした。
講演の後のサイエンスカフェにも参席。
このミニミーテイングも本来事前申し込みが
必要だったのですが、
たまたまキャンセルが出たようで幸運にも
300円のお茶代を納め直前エントリー。
30人くらいで家先生を囲んだ小さい教室で
天文館学芸員の方がMCを勤め
茶菓子と珈琲を喫食しながらより詳しく
またざっくばらんな話を拝聴しさらに奥深い
宇宙のロマンに触れることができました。
マルチバースやインフレーション等の
最新宇宙物理理論で語られる宇宙の姿の
仮設には懐疑的でいらっしゃるようで
遠い天体を実測することに宇宙の謎解明の
意義を見出すアイデンティテイに
天文学者としての矜持を強く感じました。
宇宙を対象としたトピック以外で印象深かったのは、
マウナケア山を神と崇めるハワイの原住民が
聖地の侵害と環境破壊を訴えTMT建設に強固に
反対して6年前始まった建設が現在中断している
という事実の紹介。
大航海時代以降の西洋諸国の植民地化による
先住民抑圧と伝統文化破壊の歴史を未だ
引きずる記憶も遠因なのでしょうが、
宇宙の謎を解き明かしたい人類の壮大な
科学ロマンの対極にあるようなトピック。
地球上世界中に多くの軋轢・紛争がある現実に
少々夢から覚めたような気分になりました。
プロジェクトは大西洋などに別の候補地も探している
ようですが標高が低く、
観測の障害になる大気が少ない標高4,200mの
マウナケアに匹敵する地はなかなか無く
早期に解決が図られるよう願うばかりです。
ミーテイング後に家先生と記念写真を
撮らせていただきました、
その後に希望者は最上階にある望遠鏡で月観測。
太陽光が側面からあたり綺麗な「X型」の影がある
ポイントをキュレーターが説明してくれました。

デイスカバリーパーク焼津天文館…最上階に大型望遠鏡があります
天文館の外に出ると既に真っ暗で
周りに明るい光がないところで空を見上げると
冬の星座とともに天の川の流れが
うっすら確認できた気がしました。