もう二度とうちの子以外には関わらない。
あの子との別れでそう思っていたのに、また出会ってしまった。
この夏、うちの庭に猫が3匹同時に現れたのです。
それまで全く見かけたこともない子達。
うちの周りは野良ちゃんは全くいませんでした。
前にも数年前にうちに少しだけ通ってた三毛猫がいましたが、それまで見かけたこともないのにいきなり現れ、すぐにまた見かけなくなりました。
その子以来の野良猫ちゃん達。
うちの庭で猫の鳴き声がするなぁと出てみたら、いきなりの3匹の大人猫たち。
慌てて出たあたしを見て全員四方八方に逃げました。
1匹は丸々したキジ白。そして長毛のクリーム色にシマが入った子。最後はめちゃくちゃガリガリのキジ猫でした。
どこから来たの?
しかもなぜうちの庭にいきなり3匹?
うちの庭に捨てられたの?
でも・・・
もう追うことはしませんでした。
関わらないと決めていたし関わりたいと思えなかったから。
もう二度と出会いたくなかった。
それでも出会ってしまった。
1度見てしまったらやはり気になるもので。
買い物やごみ捨てに出る度に、この子達の姿がないか探してしまうようになっていました。
先に書いた2匹の子達は全く見かけなくなってしまったけれど、ガリガリのキジ猫ちゃんだけは大雨の日にうちの玄関先で雨宿りしてるところを再び遭遇。
ありえない程の痩せ方。
ここまでガリガリな大人猫は初めて見たレベルの痩せ方で。
その姿を見てどうしてもほっとけなかった。
せめてご飯くらいはと思ってしまった。
よっぽどお腹を空かせていたのか、初めてご飯をあげた時はボウルいっぱいに入ったドライとウェットフードを混ぜたご飯を立て続けに5回もおかわり。
1度あげると毎日来るようになり、それを1日2回食べていました。
1回の食事でボウル5杯を完食する程、とにかく飢えていました。
猫ってこんなにも綺麗に食べ尽くすんだと思えるくらい、毎回綺麗に綺麗に空っぽになっていました。
段々とお代わりの回数が4回に減り3回に減り、今ではボウル1杯で充分満足するように。
通い始めた夏は、暑い時間を避けて1日2~3回ほど玄関前の涼しい場所でご飯を食べて、そのうち敷地内から出ることもなくなりのんびり過ごすように。
トイレも庭にあるあちこちの花壇にしたり、自家栽菜園用の極小の畑にしたりと敷地内で全て済ませるように。
うちの子達が滅多にもらえない缶詰もチュールも、少しでも栄養をつけて欲しくてたっぷりと。
最初は近寄りすぎるとすぐ逃げるしシャーシャー言いまくりでした。
目の前でご飯なんて絶対食べてくれませんでした。
ご飯を置いて人の気配が消えてからのご飯。
少しの物音で猛ダッシュで逃げるの繰り返しでした。
今では余程ビックリした時以外はシャーと言うこともなくなり、ご飯も目の前で食べるし間近でお話したり手からチュールを食べれるようになりました。
ガリ細すぎて触らなくても見るだけでゴツゴツとあちこちの骨が浮き上がってるのが分かるくらいの痩せ方。
旦那が、あの子 生きてた方が不思議なくらいどこもかしこも骨だらけやんと言うくらい痩せていました。
呼吸の仕方も後ろ足もおかしい気もするし背中もしっぽの先もあちこちがハゲハゲでした。
なのに耳カットはされていることから去勢手術は済ましている模様。
顔つきからしてすごく年もいってる感じでした。
今は夏に比べるとだいぶふっくらしてきたキジ猫ちゃん。ハゲハゲだった毛も綺麗になりました。
顔つきも最初に比べるとだいぶ穏やかになりました。
やはり栄養のあるご飯ってすごいですね。
出会った頃と比べると見違えるほど綺麗になりました。
その子はとらちゃんという名前になりました。
関わりたくない気持ちが拭えないのにほっとく事も出来ず、それ故名前も付けなかったけれど・・・
あの子に名前を付けてあげれなかったと後悔した事をふと思い出し、とらちゃんと名付けました。
警戒心が強くまだ触れるほど慣れてもいないとらちゃん。
玄関真横にある雨風が当たらないよう作られているオープン納戸に とらちゃんハウスはあります。
ダンボールに穴を開け出入口を作り、その中に発泡スチロールを敷きつめ
クッションの上にモフモフの毛布も敷いて寒さをしのげるようにしています。
秋からはご飯とトイレ以外はその中で寝ています。
最初は生活時間帯がバラバラなため、頻繁にある玄関の開閉音を聞く度に箱から出てきていたとらちゃん。
やはりお外の子は熟睡なんて出来ないよね・・・と思っていましたが。
日が経つと安全と理解したのか、お腹がすいてないかと気になって呼んでもフル無視で寝ています。
お腹が空いた時にのそのそ起きて来る以外はぐっすり。
しかし猫が3匹もいきなり庭現れるなんて・・・
とらちゃんはどこから来たのかな・・・と考えました。
以前すぐ隣の市に地域猫がたくさんいて、自宅の敷地内に入り込むのが邪魔と言う理由でうちの周辺に捨てに来てると聞いたことが。
うちの旦那が仕事関係で知り合った人で、それが捨てている張本人でした。
その張本人が保健所に連れいくわけじゃないし、生かしてやってるんだからいいことをしてる風に言ってたからムカついたと言ってた旦那。
耳カットされている事や、今までこんなにも猫を見かけたことがないことから恐らくそのカラクリだろうと。
そんな奴は嫁子供に一式奪われ丸裸で捨てられたらいいのにと本気で思ってしまいます。
お隣の市は本当に歩きですぐ行けるくらいの距離なので、他に現れた子は帰巣本能から戻ったのかもしれません。
とらちゃんは当時その体力すらなかったのか、ここに居座ることに決めたのかなと思います。
でも・・・
去年亡くしたあの子を思い出すと もうあんな思いは二度としたくないという思いはやはり消えません。
ただ苦しめただけで命の終わりを決めてしまったあたしが、簡単に命に関わっちゃいけない。
そう思うのに、どうしてもほっとく事が出来なかった。
そしてまたこの秋、新たな2匹の猫が急にうちの敷地内に同時に現れました。
そんな事ある?
以前と同じく、全く同日の同時刻にポン!って猫が現れるなんて・・・
まだ小さな2ヶ月?3ヶ月?くらいのキジ猫と、白グレーの大人猫。
親子ではない様子で、チビ猫がとらちゃんと白グレーちゃんに威嚇。
この2匹は耳カットもされておらず、チビ猫が箱で眠るとらちゃんに威嚇した事から気付き、庭に出るといました。
とらちゃん、今まで天敵もおらずのんびり過ごしていたのに、逃げるように庭から出て行ってしまいました。
この子達を追い払うという選択は毛頭ない。
大きな人間に追い払われるなんてとんでもなく怖いだろう。
そんなことは絶対に出来ない。
でも関わりたくない。でもほっとけない。
このままじゃとらちゃんは帰ってこないしどうする?
関わるとなるとこの2匹は去勢避妊手術をさせるために捕獲しないといけない。
悩みに悩んだ結果、子猫は以前から欲しいという人を知ってたので捕まえようと、5日間に渡って敷地内で追いかけっこ状態でしたが、すばしっこ過ぎて捕まらないうちにいなくなってしまいました。
網を使ったり、玄関を開けっ放しで玄関内にご飯を置いて、入ったらドアを閉めようと数人掛かりで頑張りましたがどの作戦も上手くいかずでした。
捕獲器を買おうとした矢先に消えてしまった子猫ちゃん。
優しい誰かに拾われてますように・・・
一方白グレーちゃんはとても大人しく、とらちゃんに威嚇もしなければビビって近寄らず。
とらちゃんも鳴かない上に超ビビりなので、2匹でビクビクしながらも距離を取ってご飯を食べていました。
大きな大人猫なので、捕まえたら貰い手を見つけるのが大変だろう。
その前にすごく綺麗な子だし本当に野良猫?
誰かの飼い猫かな??
それとも飼われてたのに捨てられたの?など思うところはたくさんで。
もう関わりたくないのに次から次に・・・
とりあえず飼い猫だろうと首輪もなしで放し飼いにしてる方が悪い!!
とりあえず捕まえて避妊去勢だけはして、ご飯は1度与えてしまったので与え続けるしかない!と思っていたのにチビ猫ちゃん同様、すぐにいなくなってしまいました。
結局、今うちの庭にいるのはまたとらちゃんだけ。
チビ猫に威嚇されたので、しばらくビクビクしながらもどこかから通い 様子を見ていたとらちゃん。
他に猫がいないと分かるとまた常駐しています。
もう二度と関わらないと思ってたのに、やはり関わってしまうとどうしてもかわいい。
触らせてはもらえないけど、チュールを食べてる時に舌が手に当たったり
最後チュールが出にくいと、食らいついて間違えてカプっと噛まれるけど痛くもないし可愛すぎてたまらない。
しかも噛んだ側のとらちゃんがビックリしてシャーって言われたりもするけど、それでもかわいい。
とらちゃん、シャーとは言うけど絶対にパンチしたりはしないすごくいい子。
お顔はブサイクってみんなに言われるけど、それでもあたしからしたらものすごく可愛い。
寒くないかな?お腹はすいてないかな?としょっちゅう玄関横を覗いてしまうあたし。
もう二度と関わらないと決めたのに・・・
あんな辛い思いは二度としたくないのに・・・
何やってるんだろうと思うこともある。
天国のあの子が許してくれるかどうかも分からない。
だけど、どうしても見捨てられなかった命が目の前にある。
もう少しだけ、ほんの少しだけ関わってもいいかな?
こんなに人嫌いで超怖がりのとらちゃんを無理矢理捕まえることはしない。
あたしも野良ちゃんに無理に関わるのがまだ怖いってのもあるから。
だけど、この子がお腹がすいたり喉が渇いたり、暑さ寒さを凌げるよう 過ごしやすいように関わらせて貰うのだけは許してくれるかな?
とらちゃんが伏せってしまったら・・・
また恐らく病院へ運ぶだろう。
だけど、もうあの子のように無理な延命はしない。
とらちゃんが苦しくないよう緩和ケアだけはする。
あとは自然に・・・
この子の尊厳を守ろうと思っています。
命に関わることの重さを、あたしは飼っていた子達以上にあの子から教わった気がします。
手を差し伸べるというのはすごく責任のあること。
その重大な責任を全て負う覚悟を持って、命と向き合う事の難しさ。
出会い全てが良かったと思えるものではないということ。
出来る限りの治療が最善だと思っていたけれど、果たしてそれがその子達の為になるのかということ。
人間のエゴだけで辛い思いをさせてしまうのなら、潔く手放す覚悟も持ち合わせなければということ。
それでも命とどう向き合うかは自分次第で。
保護活動をされている方の凄さを心底理解出来た気がします。
あたしが経験した以上に、たくさんの苦労と悩みと時には後悔もあるのだろうと。
小さな命だけどもすごく重い命。
その命と真剣に向き合っておられる団体さんには尊敬しかありません。
しかもボランティアでされてる方が多く、本当に簡単には出来ないことだなと心から思いました。
とらちゃんに関して、あの子のように向き合う覚悟がまだ出来ていないこと。
なのに中途半端に関わっている自分はこれでいいのか?と思いながら日々すごしていること。
命が重いのは当たり前だけど、分かったつもりでいただけなのかもしれない。
それくらい、あの子との出会いはあたしにとってすごくすごく重たいものでした。
まだ答えは見つかっていません。
一生かかっても分からないのかもしれません。
それでもあたしは出会ってしまえばまた悩みながらも、ほっておくことが出来ない性なのかもしれない。
とらちゃんがいい例でした。
最初は関わらないつもりでいたから追うことはしなかったのに。
今では常にとらちゃんが頭の片隅にいて、外気温が気になったり、食事量が少ないと体調悪いのかな?と気になりまくり・・・
たまーにとらちゃんが家の中を気にしてドアが開いた隙間を遠目で眺めるので、ドアを全開にして自ら入ってくれないかな?と期待して待ってみたり。
ほんと懲りないヤツだなと自分でも笑ってしまいます。
またあの子と同じような状況に出会ったとしたら・・・
どうするんだろう?と思う事はあります。
最初のように躊躇せず飛びついていけるのか。
それともあの子との最期を思い出して躊躇するのか。
自分でも分からないけれど、その時の自分の行動が答えなのだろうと思います。
長々と去年の出来事から今の心境を綴りました。
とらちゃんに出会い、頑なだった気持ちが少し緩和されたのかなと思います。
あたしを救ってくれたとらちゃん。
ガリガリの骨だらけの状態だったのに生きててくれてありがとう。
玄関横にあるオープン納戸は、両サイドと天井・後方に壁があり奥行もしっかりあるので
自転車や傘入れ、ベビーカーを置いたり段ボールなどの濡れたくない資源ゴミを置いておくスペースとして重宝する場所なのです。
自転車はガレージに、傘立ては別の場所に置いてるので、資源ごみ置き場と とらちゃんハウスのみに使用しています。
雨風は凌げるし、すぐに逃げられるから怖くはないかな?
それに左側の壁には家の玄関から見えるようガラスになってるので、ちょこちょこ覗いて とらちゃんが出ていないか確認できるのです。
お腹がすいたら箱から出たりするので、とらちゃんの姿が見えたらご飯を運んでいます。
それにしても、工作の下手さが露呈されて恥ずかしい限りですw
なんてアバウトな・・・って感じですが、最初入口は小さい方が隠れやすいかな?と小さめにしてたのに怖がって入らなかったので、徐々に広げて今の形になったのですw
秋はクッションだけでしたが、冬になりクッションの上にモフモフの毛布を入れたので狭くなってしまっているのと
寒くて外に出たくないようで、ハウスから顔だけ出してご飯を食べてる横着ぶりを見てると作り直そうかなと思ってます。