薪で鉄板を焼くという噂の店「高砂」
今時、薪とは珍しいとネットやラジオで取り上げられていましたが、問い合わせでは、店名からよく所在地を高砂市だと勘違いされると店主が苦笑されていました。そうではなく、神戸市兵庫区の和田岬にあります。
焚き火フリークとしては是非とも行ってみたいという願いがようやく叶いました。
薪焼きということで勝手にもっと辺鄙な入り組んだ路地の奥にあるのだろうと…ちゃんと調べたら、いつも街歩きするルートからそんなに離れた場所ではなかったので拍子抜けしました。
店に近づくと薪を焼く香ばしい煙の匂いが漂ってきました。薪焚きの銭湯を探す時のように嬉しくなります。
長屋の端にあります。作り付けの小さな祠がこの界隈の雰囲気を表すようです。寂れて空き家になった旧家屋が取り壊され、新旧住民が入れ替わる過渡期のような工場城下町の下町です。
この店は、震災で元の店が壊れた後、ここに移ってきて店主の住居を改築したそうなので、移転後29年ということです。だからガスではなく薪焼きにしたのはわざわざというこだわり。
入店前に周囲を偵察。裏手に回りましたが連なる長屋は空き家のようでした。
以前空き家の撮影をしていたら「何撮っとるん?お兄ちゃん仕事はナニ?」と尋ねられ、不躾な質問に答えを「建築関係で…」と濁したら「ああ、不動産屋かいな…」と建物査定をしているのだと勝手に早合点されたことがありました。空き巣の下見だと勘違いされなくてよかったですが、空き巣は空き家には入らないか…
燃料の薪が積んであります。薪は神戸駅近くの薪屋から入手されているとのことです。
その薪屋の存在は以前から知っていましたが、いつも閉まっていて今時、薪専門で売れるんかな?と思っていたら、昨今、意外にもキャンプ利用より、釜で焼く本格ナポリピザ屋の薪需要が高いのだそうです。薪販売に加え、プロパンガスも扱っているケースもあります。
煙を抜く煙突。煙は立ち上っていませんでしたが、熱気が揺らいでいました…釜は自然吸気ではないかもしれません。
早速、入ってモダン焼きと生ビールを注文。タクシードライバーらしい客の横で昼間からビールを…
店内はカウンターと相席テーブルで7名ほどが詰め合って座れる小さな店。おばあ様とおば様が店を切り盛りしています。
気になる薪焼きの鉄板は、外観はガスのものとほとんど変わらず、密閉されていて煙が漏れ出ることも、室内には煙の匂いも無く、言われねば薪焼きだとは分からないくらいでした。
囲炉裏のようにちょっと天井等が飴色になっていたり、灰で煤けていることを期待していましたが…そんなことはありません。
どこに焚き口があって、いつ薪をくべるのか、1時間ほどいた入店時にはくべている様子も無かったので分かりませんでした。
一見さんなので、他の客の手前、あれこれ写真を撮りまくり聞き回るわけにもいかず、今後気長に偵察をすることにします。