医師の診察には手順があり、基本を学生時代から叩き込まれます。
①問診:お話を伺いつつ診断の絞りこんでいきます。
②診察(見る、触る、聴診器で聞く、叩くなど):体表面から得られる所見を頭から順に上から下へと取り、さらに診断をしぼり込んでいきます。
③検査:①、②で診断が得られない場合、診断や治療に必要なものを選んで行います。
④診断
⑤治療
というのが基本となります。基本ということは例外があります。
子供の場合、②の診察を上から順にすると泣かれて暴れて他の所見が取れないことが多いので、首から上は最後に診ます。
そして、皮膚科はさらにこの流れ通りいきません。①問診と②診察が逆になったり、同時だったりと曖昧です。
皮膚科の場合、肝心な病変を見ずに問診ばかりとっていると、的外れになってしまうことが多々あります。
例えば。。。
全身にボツボツが出ていて痒い、と来られた患者さん。型通りに行けば、①問診で、いつから、体のどこに発疹があるのか、痒み痛みがあるのか、他に病気を持っていないか、内服している薬はないか、アレルギーはないか、、、などなど話を伺って、そして②診察へ。
体を中心に水膨れがたくさんあるではないですかーー!これは水ぼうそう!一気に④診断までたどりつきます。そうすると、①問診は再度やり直しです。
皮膚科では①問診を先にすると先入観によって②診察③診断を間違えるリスクがあるのです。なので、①から④まで患者さんによりバラバラです。①から④の順番が基本であることをふまえた上で崩しています。
お話なしでいきなり”見せて下さい”と診察に進んだり、お話しを伺いながら診察していると、医師が”話を聞いてくれない”と感じる患者さんもおられると思います。患者さんのお話を聞かないのはそれなりに理由があるのです。
皮膚科の診察って見るだけだから簡単よねーと何度か言われたことがありますが、簡単そうに見える中に経験と技術が詰まっています。