押さえて止めるにゃコツがある~病院編~ | 文京区小石川 もものマークのクリニック 院長ブログ

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文京区春日駅最寄りの形成外科・皮膚科のクリニック。
湿潤治療、シンプルスキンケアのこと、もっと皆さんに知ってほしい♪


こんにちは。

もものマークのクリニック院長 てしまですもも


指先の切り傷からの、なかなか止まらない出血血


ご家庭で頑張るならこんな感じ?というのが前回の記事
矢印押さえて止めるにゃコツがある~家庭編~


では、病院へ行ったら、どんな風にしてもらえるの??

というのが今回。


ですが


たぶん治療をする医者の知識と経験で

かなり違っちゃうんだろうな


と、ぶっちゃけ思います。


なのでまずは

現時点で、これがてしま的にはベストと信じる方法

を、ご紹介します。


用意するものは

① アルギン酸塩被覆材
 商品名:ヘモスタパッド、カルトスタット、ソーブサン、アルゴダーム

② フィルムドレッシング材


③ ガーゼ


④ 伸縮性のあるテープ




① の『アルギン酸塩被覆材』

海草のコンブ昆布から抽出したアルギン酸塩を、繊維状にして不織布にしたものです。

水分を吸収してゲル化するとともに

極めて強力な止血作用を有します。

(説明は 夏井睦先生のHP内 『創傷被覆材 各論』より抜粋)



見た目はこんな感じ矢印

なんてことない 綿 みたいな見た目(笑)


でも実際

こいつが無いと始まらない


というくらい

出血する傷に対しての有効な武器になります。

外科系なら、その存在を知っている医者は多いのではないでしょうか。
手術でも使ったりするので。



しかし、このアルギン酸塩を使いこなす上で忘れてならないのが

②の『フィルムドレッシング材』

こちらは、ドラッグストアなどでも見かける

いわゆる 防水フィルム ってやつです。


矢印たとえばこんなの
ニチバン 防水フィルムロールタイプ 5cm幅 2m巻き/ニチバン
¥648
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なぜフィルムドレッシングが必要かと申しますと


アルギン酸塩はその吸水作用と止血作用がキレッキレであるが故に

ただ傷口に当ててテープで固定しただけだと

翌日完膚無きまでガビガビに乾燥し

傷口にガッツリくっついてしまうのです



それを無理にはがそうとすると

痛いわヘタするとせっかく止まっていた血も再度出てくるわ血

目も当てられない事態に



過去に総合病院で勤務していた際

前日の救急外来でアルギン酸塩を貼られ

翌日 私の形成外来を紹介受診した患者さんの傷に


こいつがカッピカピの状態でくっついているのを見て


またかよ......
(↑1回や2回じゃなかった(-""-;))


と救急の医者に心中毒づいたものです。

これが、フィルムドレッシング材で覆うとどう違うか、と申しますと

アルギン酸がほどよくしっとりをキープして

気持ちよく痛み無くスルリと取れるのです



だから、フィルムは必須なのです。

後は

フィルム越しに出血が透けて見えるスプラッタな光景を目隠しし^-^;

傷口に圧迫をかけるべく

ガーゼと伸縮テープで上から固定して終了。


翌日には9割がたの患者さんで傷口の止血が得られていますから

後はハイドロコロイドやプラスモイストで保護するのみ。


傷に当てたもろもろの保護剤を外したり

生理食塩水で洗ったりするときには

多少の不快を感じさせてしまいますが(ゴメンネ...354354


昔ながらの

軟膏+ガーゼ+包帯でぐるぐる巻き

に比べると、痛みには雲泥の差があります。


治りだってずっと良い!


だから言いたい。


特別難しいことをしている訳じゃない。


素人さんならともかく

指先の切り傷の治療をする可能性のある医者ならだれでも

知っておくべきなんじゃねーのか。





医者の当たりハズレで痛みに泣く患者さんが一人でも減りますようにと

願いをこめて。