血が行かないって怖いのよ~ | 文京区小石川 もものマークのクリニック 院長ブログ

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文京区春日駅最寄りの形成外科・皮膚科のクリニック。
湿潤治療、シンプルスキンケアのこと、もっと皆さんに知ってほしい♪


こんにちは。

もものマークのクリニック院長 てしまですもも


久々の傷治療関連記事、続きます。
やればできる子ニコ




前回、指先を切っても、根元で縛っちゃダメ!

という記事を書きました。
矢印血を止めたいとき~ぎゅうぎゅう巻いたらダメ!~


血が行かないというのは、とても怖いことなのです。



今回紹介するのはそれを教えてくれた患者さん。

40代女性、スライサーで親指の先端をスライスしてしまった方です。

このケガ、痛いのよね.......



切った指先から血がどくどく出て止まらないので

近所の病院を当日受診したそうです。


初日はガーゼと軟膏で包帯ぐるぐる巻きで帰宅。

翌日同じ病院を受診してガーゼを取ると

まだ絶賛出血中


そこで担当医再び軟膏とガーゼを当ててから

テープでぐるぐるぐるぐるぐると巻き

ハイ終了。また明日!!の指示。


その夜の患者さん


これまでにない指先の激痛に七転八倒

なんじゃこりゃ!?とは思うものの

外したらまた出血するかも....という恐怖で傷を見ることは出来ず

ガマンの子で翌日同じ病院を受診。


傷からの出血はちょっとは少なくなっていたものの

見たところまだジワジワ.....とは出ている。

そして何よりあの激烈な痛みは何?


と、心配でたまらない患者さん。


なのに担当医のコメントは


あとは軟膏とバンソウコウくらいで治りますから大丈夫


ありえん

この段になって疑問に感じ

もともと好きで使っていたキズパワーパッドでの保護に切り替え

ネットで調べてうちのクリニックももにヒットしたという流れ。


当院初診時

スライスした傷はこんな感じ矢印

痛々しそうではあるものの、既に上皮化が進行していますにゃ



一方、同じ指の反対側は...矢印





水ぶくれができて、色が変わっていますなく
(一部、傷を観察するために水疱膜を切りました。)



正直これを見て


前の医者ゴルア


と思いました。



これは

一定時間動脈が閉塞したことによる皮膚症状です。

激烈な痛みも、実は動脈の閉塞に特徴的なのです。



察するに

2日目になっても止まっていない指先の出血を見て

焦ったんじゃないかと。

で、ぐるぐる巻き。


余り血を見慣れていない医者だったのか......

でも、ダメだろ


さて、

うちのクリニックで治療を開始した初日

水ぶくれの膜を痛くない範囲で除去して
(切っても痛みは伴いませんのでご安心をかお

プラスモイストで切り傷部分も水ぶくれ部分もまとめて

指先全体を保護しました。

保護方法は、当院ではおなじみ西尾法
矢印指先を綺麗にくるむ『西尾法』

翌日には水ぶくれの膜がさらに浮いてきたのでまた切って

さすがにそろそろ手を濡らせないのも不便とのことなので

ハイドロコロイドでの保護に切り替えました。


転院してから3日目

矢印切った部分の回復は目覚ましい限り




矢印水ぶくれ部分は...



こちらも確実に良くなって来ていますが

やはり、血の巡りが悪くなってダメージを受けた組織の回復は

単純に切った側に比べると

少々時間がかかりそうな印象です


でもこのレベルのダメージなら必ず治りますご安心をクローバー



と、いうわけで

血が行かないって、怖いのよ

な、真夏のホラーな症例写真でした。


ご協力いただいた患者さんに、感謝いたしますぺこり