《症例写真》40代女性~爪の色が急に変わった!痛くなった!! | 文京区小石川 もものマークのクリニック 院長ブログ

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文京区春日駅最寄りの形成外科・皮膚科のクリニック。
湿潤治療、シンプルスキンケアのこと、もっと皆さんに知ってほしい♪

山歩きをした

長時間のウォーキング、ランニングをした

スキーに行った

しかも


その時履いていた靴がちょっときつかった
.......かも


そんな出来事のあった直後から

足の指(多くは親指)の爪の色が黒っぽくなり

数日後、なんだか指が腫れて来て

押すと痛い!かなり痛い!!



こういう患者さん、時々受診されます。

診断名は
「爪下血腫」

足の指が繰り返し靴などにぶつかり

圧迫が加わることで爪の下に出血した状態です。

いわば「爪の下に出来た血豆」。


『爪』という固い殻の下に血がたまり

爪の下や周囲の組織を圧迫するため痛みと炎症を生じます。

結構痛いんだな~、コレが


今回ご紹介する患者さんは

レンタルブーツでスキーを楽しんだ後

数日してから足の親指に痛みと腫れを感じて受診されました。

矢印爪が黒っぽく変色し、指全体も一回り大きく腫れています。


じっとしていてもズキズキするし、歩けばなおのこと痛いとのこと。

ただ「黒っぽい」と言っても、純粋な血液が溜まっているにしては色が薄いので

「血豆(血腫)」というよりは「豆(水腫)」が正解かな?


さて治療法ですが


溜まった血液(水分)を外に出す

と、いたってシンプルかお


溜まっている範囲が爪の下を越え、周囲の角質下に及んでいる場合には

針で皮膚に穴を開けて中の液体を排出させます。


いわば「豆をわざとつぶす」イメージですね。

やったことのある方ならご存知でしょうが
豆の部分の皮膚を針で刺しても痛みはありませんからご心配なく
注:つぶした後の保護をちゃんとしておかなければ当然痛みます


ただし、この患者さんのように、爪の下に液体がとどまっている場合

液体の出口を作るためには

爪に穴を開けねばなりません
^-^;



穴を開ける方法としては

太い注射針を回すようにしてくりくりと刺す(ブスッ血といかないように注意)

文房具のクリップカラークリップ・黒を伸ばしたものを熱して押し当てる

などがありますが

私が使うのはこちらの機械矢印



フットケアやネイルのサロンで使われているのと同じマシンです。

先の細いヤスリで徐々に削るので、爪に強い力が加わらず痛みが少ないのですにゃ

(注射針やクリップはそれなりの力で押し当てる必要があるので、腫れた状態には痛いのではないかなーと思います。)


今回の患者さんの爪にも、少々広く、すり鉢状に穴を開けました。

爪を貫通すると、溜まっていた水分が出てきます。

矢印爪の黒っぽさが取れて正常に近い色になりました


浸出液は、ひょっとしたらまだ新たに出てくるかもしれないので

万が一かさぶたなどで穴の口がふさがり

爪の下に溜まってしまったら元の木阿弥


それを防ぐため、ナイロン糸を穴から挿入し

この糸を伝って浸出液が外に出てくるようにしておく
のです。




あとは、爪をプラスモイストで覆ってテープで圧迫して終了!

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処置が終わった途端、指の痛みは明らかに楽になるので

患者さんにとっても喜ばれる

医者としても嬉しい治療のひとつです





さて、このような状態になった時

いったい何科を受診すればいいの?


という質問ですが

東京都文京区周辺ならぜひてしま皮膚科・形成外科



まあそれは置いておくとして



一般的には形成外科か、整形外科でしょう。

今回の患者さんのような受傷機転であれば(スキーブーツのによる締め付け)

骨折の疑いは極めて低いので、X線撮影を行う必要はまずありません。

だから、うちのクリニックみたいに画像診断が出来ないところでも無問題。


ただし

重いものが落ちてきたとか、指を思いっきり挟んだなどの場合

骨折の有無を確認したほうが良いので、整形外科がおススメです。


町医者でも、整形外科を掲げているクリニックなら、院内でX線検査までしてくれるところがほとんどですから。



ただし(またかい!)

ナイロン糸でドレナージするとか

プラスモイストで覆って穴の表面が乾燥しないようにするといったアプローチは

湿潤治療の一環なので

どこでもやってるという訳ではないと思います。


湿潤治療的なアプローチまで求めるガッツのある患者さんは

矢印下記のURLで、お近くの施設を検索してみてくださいませ。
外傷の湿潤治療をしている医師