傷跡をめぐるあれこれ〜その1 | 文京区小石川 もものマークのクリニック 院長ブログ

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文京区春日駅最寄りの形成外科・皮膚科のクリニック。
湿潤治療、シンプルスキンケアのこと、もっと皆さんに知ってほしい♪

『傷跡が残る』という言葉には、人によりものすごーく解釈の幅があります。

そのせいで、この言葉をめぐっては、まず第一に、医者(特に形成外科医)と患者の間に深くて広い溝が生じがち。

うちのクリニックに転院してきた外傷の患者さんで

「前の先生に『傷跡は絶対に残る』と言われました」しょぼん

と悲しげに語るヒト、実はたくさんいます。
でも実際に診察してみると、ざっくり分類して次のみっつのうちどれかに必ずか当てはまるんですよね。

①ほとんど跡形無くと言っていい位まで治りそうなケース

②良く見れば分かる位の傷跡は残るかも、位のケース

③残念ながらそれなりに目立つ傷跡は残りそうなケース

まず患者さんが気の毒だなあと思うのは①や②。
前の医者、明らかに過剰に脅してるだろうそれ、という場合。
今の時代、訴訟だなんだで守りに入りたい気持ちも分からんではないのですが、不安な気持ちで過ごさせられる方はたまったものでは無いんじゃないかと。

せめて、
「これくらいの期間で、この程度まで治りますよ。」
と言ってあげればナンボか気持ちは軽くなるハズ。

それは③の場合でもおんなじで、跡が残るという事実は変えようが無いにしても、
「現時点でこんな感じなら、これくらいの時期にはこんな感じまで傷跡も落ち着いてきて、今よりはマシになることが多いんですよ。」
と見通しを説明してもらえれば、心の準備も出来ますよね。

医者の
「傷跡は残ります」(バッサリ)
という言葉は、
医者自身が思っているよりも遥かに、患者さんにショックを与えている、
ということを、医者は自覚した方がいい、としみじみ思うのです。

ただし私も形成外科を専門とする身。
医者の言い分も、何と無く分かるのは事実。
次回は、なんで医者がそんな風にバッサリ切り捨てるような説明をしがちなのかについて解説してみようかと。