行政(保健所等)からの直接譲渡を希望される方に | こももとこはるん家

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愛犬・シェルティ。
こももとこはるの観察日記。

シェルティレスキューのブログより 転載します


以下転載

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この記事は2011年1月にUPした記事の再掲です。

ご参考いただければ幸いです。


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このところ、このブログやシェルレスHPをご覧になって、収容中の犬の里親に名乗り出て下さる方が少しずつ増えてきました。


保健所・愛護センターに収容中の犬は、心身ともに傷ついている子が少なくありません。

なかなか心を開かずに、結局持て余してしまい、再び保健所へ・・・というケースも時々あるそうです。


犬でなく人間の場合に置き換えてみても、今まで放浪しておなかも空いて、心が傷ついている状態でどこだからわからないところに収容されて、さらにまたどこかへ移動となると、不安でいっぱいですよね。

そんな状態で心を開くということ自体がまず無理な話です。


けれど、順序良く、ていねいに扱っていただければ、時間はかかっても、少しずつ心を開いてくれるものです。

そうしてだんだん表情が優しく笑顔になるのを見られることが、里親さんになることの喜びでもあります。


保健所からの直接譲渡をお考えの方に参考になりますよう、当会での保護犬の扱い方を紹介いたします。

譲渡の条件は都道府県や都市によって異なりますのでここでは割愛いたします。

保健所へ引き出しに行く、その場面からをご紹介します。


1.特別にフレンドリーで人なつこい性格の子でない限り、寄ってきて愛嬌を振りまくことは少ないです。もともと性格が悪くなくても、それまでの経験で心を閉じている場合が多いので、「目が死んでいる」ことも少なくありません。こういう子に無理に愛情を込めて接するのは逆効果になります。なるべくそっけなく、顔も目も見ないであげて、扱ってください。

2.保健所は、規模や施設によりますが、いろいろな保護犬が病気を持ちこんでいる可能性があります。病気の拡散を防ぐために、引き出し直後には以下のことをお勧めします。


いずれの場合も、まずは獣医さんへ直行することを強くお勧めします。

できれば病院が空いている時間帯に行かれるのが良いでしょう。

犬はまだ新しい人や環境に慣れていませんので、輸送用クレートやケージに入れて移動し、診察に呼ばれるまで、クレートから出さないことが安全と衛生のために最適です。


獣医さんでは、伝染性の病気とノミ・ダニ・シラミは必ずチェックしていただいてください。


A.体調が良さそうなら、ただちに犬を洗います。体に菌をつけている場合があるからです。シャンプー後にフロントラインなどを使うことも必要です。獣医さん併設のトリミングサロンなどでは、ヘルスチェック後にトリミングしていただけることもありますが(普通は別料金です)、一般のトリミングサロンですと、予防接種の終っていない子はトリミングを断られてしまいます。この場合はご自宅に連れ帰って、すぐに洗ってあげてください。


B.獣医さんであまり体調が良くなさそうなら、シャンプーして良いかどうかおたずね下さい。

しばらくやめたほうが、ということでしたら、犬を家に連れ帰ります。体調が整ってきたら少しずつ、毛の手入れなどを始めます。

先住のわんこがいる場合は、シャンプーと医療措置が済むまで、隔離して下さい。かわいそうな気もしますが、病気の蔓延は絶対に防がなくてはいけません。


犬の手入れが済みましても、長いあいだ放浪していたり、かまわれていなかった子は、1度洗ったくらいではすっきりキレイな子にはならないものです。

放浪中に飲む水がなくドブの水や雨水を飲んだり、ゴミや落ちているものを食べておなかを壊したり、体の中にいろいろな匂いが染み付いてしまっています。

特におしっこは、最初は本当に臭いです。

きれいなお水を飲ませてやり、栄養価の高いドッグフードを上げてください。

体調が落ち着くまでにおおむね1ヶ月はかかるとお考え下さい。





次に、この間の犬の扱い方です。

犬の気持ちや状態が知りたくて、どうしてもジロジロと観察したくなりますね。

でも、それはちょっとガマンしてあげてください。

ケージやサークルをバスタオルなどで囲って、少しだけすきまを作ってあげます。

犬は身を隠しながら、人間の生活をのぞき見ることができます。犬に、飼い主の生活を見せてあげるのです。

彼らの観察力や洞察力は人間の想像以上のものがあり、この環境は敵ではない、怖くないと犬が確信すれば、少しずつ、犬のほうから人間に歩み寄ってきます。犬が歩み寄ってきたら、そっと可愛がってあげて下さい。


もともとの性格がフレンドリーで明るい子は、目隠しの生活も2~3日で十分です。

この場合は、逆に早々と家庭犬生活のためのしつけが必要になる場合が多いです。中には引き取って1週間くらいで要求吠えを始める子もいます。要求吠えなど自己主張のある子には、早めに「座れ」「待て」とその解除のしつけをはじめて下さい。


傷ついて心を閉じている子については、ご飯と散歩とお手入れを淡々と繰り返すことだけ、まず実行してください。ご飯と散歩は、いわば「犬との約束」です。毎日毎日繰り返す中で、犬からの信頼を積み上げていくことができます。心を開くまでは人間の手からおやつを食べない子もいます。そのときはケージに入れてあげてください。

やがて表情が変わり、ご飯と散歩が待ち遠しくなります。そして要求吠えするくらいに元気になったら・・・家庭犬のしつけをしっかりと、はじめて下さい。


保健所収容の犬でも、時に、ブリーダーが捨てたと思われる犬である場合があります。

この子たちの多くは、散歩と言うものを知りません。

閉じ込められて生きてきた子ですから、外へ行くと、怖がって歩けなくなります。

リードをつけることの意味もわからないことがしばしばです。

散歩を怖がる子は、リードとハーネスをつけて、おうちの前で5分間じっとたたずむところから始めてみてください。少しずつ少しずつ距離を延ばしますが、10分の散歩に1ヶ月くらいかけるくらいのお気持ちでスタートしてください。なるべく車や人通り、午後は特に子供の少ない場所を選んでください。

もう一度迷子にならないように、鑑札・迷子札・リードを必ずつけてくださいね。

シェルティは首輪抜けをすることが多い犬種ですので、できればハーネスと首輪の両方を着用して、それぞれにリードをつけることをお勧めします。


長い子はここまで3ヶ月くらいかかることもあります。

保健所から譲渡を受けたけれど持て余してしまう場合は、たいてい、この要素のどこかが、または全部が落ちています。

「ご飯」と「散歩」、これは犬との約束です。約束をずっとずっと守ってくれる相手は、犬だって人だって信用しますよね。同じことです。

もしできれば、ご飯は美味しいものを用意してあげて下さい。

もしできれば、お散歩は環境のいい場所へ、連れて行ってあげてください。

日々の繰り返しの中に小さな喜びを感じたとき、保護犬は変わります。

小さな喜びが積み重なって、やがて彼らの心の中に、大きな変化が起こります。

コミュニケーションが取りやすくなり、笑顔をたくさん見せるようになるでしょう。

こうして、保護犬は新しい家族との絆を強めていきます。



多くの動物愛護団体が、犬を引き出して上記のような心身のケアをした後の子を、お譲りしています。

早々に家庭になじみやすい心身の状態にしてあげることもボランティアのひとつです。


せっかく助けた命ですから、もう二度と不幸な目にあわないように、救った方のご家庭にとっても負担が増えないように、ちょっと大変ですが、引き出した直後は、特にていねいに辛抱強く扱ってみて下さい。

レスキューで保護した犬たちのように、笑顔で答えてくれる日がくると思います。



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【2012年2月 追記】


日頃よりこのページをチェックして下さり、近隣の保健所にシェルティが収容された時に、新しい家族として引き取りに行かれた方からのご連絡をいただくことも増えてまいりました。

時には行政の担当者様からご連絡をいただけることもあり、皆様の温かいお心に、厚く御礼を申し上げます。


預かりボランティアさんの数や保護にかけられる予算には限度がありますこと、また、譲渡に積極的に取り組んでいる行政も増えていることから、行政から直接、保護犬たちを家族に迎えて下さることは大変ありがたく考えております。

そして、このページがお役にたちますよう、わずかに手を入れて、改めて掲載し直した次第です。


引き出してしばらくして、思いもよらない性格(咬みや吠えなど)や、写真ではわからない病気やけがを見つけて、心を痛められ悩まれている里親様もいらっしゃるかも知れません。

このような場合でお困りの時は、アドバイスさせていただける場合もありますので、メールフォームでご連絡いただければと存じます。

http://www.help-sheltie.net/newfamily/boomail2.cgi

殺処分から救い出した犬を、もう一度保健所へ戻すようなことにならないよう、できるだけのことはさせていただきたいと思います。


また、当会では、譲渡に前向きな行政のご担当者様からのお問い合わせも歓迎いたします。


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転載ここまで



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