あの唐突過ぎる告白から今日で一週間が経つ。
ちょうど今この時間、この場所で彼はとある女学生、櫻井から告白を受けた。
あれから櫻井は一度も顔を出していない、授業中にやっと彼女に再開し、今更ながら彼は櫻井という生徒を確認していた。
勉学は上の中、顔も同じく上の中と教師にはあるまじき査定を彼は行っていた。
黒髪を短く切り揃え、そこから見える筈の目は下に臥して見えることは無かった。

彼自身も追求したくない問題であるためか彼女に話しかける気はさらさらない。

しかし浅い教師生活の中で女学生に告白される状況を想像した事が無い訳では無い。
しかし、しかしである。
実際に受けてみると恋の熱にうなされるどころか、いつやって来るかわからないクビキリの鉄に冷や冷やしている。

「・・・コーヒー飲も。」

本人に真意を問いただす事も他の老いた先生に相談することも出来ない。
コーヒーを作るための材料を棚から取出した彼はふと動きを止めて考える。
もしかして彼女は冗談だったのかもしれない、いや、きっとそうだ。そうに違いない!

彼は無理矢理こじつけ、自分に都合の良いように判断した。

その希望は大きく削がれる事になる。
「・・・、」

どうしようかねぇ、

夕暮れの日が目に優しく、傷ついた心を癒す光を浴びるなか彼はちょっとした窮地に追い込まれていた。
目の前には小さな体を更に小さく丸め込む女学生がいる。
周囲にはガラス器具や薬品が綺麗に整頓されていて、ここは所謂、理科準備室。
此処が彼が待機する事を許されている唯一の場所である。
苦手な人もいるだろうカビのニオイが漂い、遠くでは部活の活気づいた声が聞こえてくる。

そんなあからさまに学校の放課後をイメージさせるこの場所に厄介な訪問者が現れたのは数分前。
いきなりドアを開けられ虚を衝かれる彼を放って女学生はそのまま目の前の椅子に座り込んだ。
女学生は沈黙を守り通した。

彼はその女学生には見覚えがあった。
母校に化学教師として戻ってきた彼は三年間ずっと働き、ようやく効率よくサボれるかを理解しはじめていた。
そんな時、教師となって倦怠期とも言うべき時期にこの女学生と会った。
会った?否、教えていたのだ。
この女学生は彼の教え子の一人だった。

「櫻井?」

彼が名前を口にすると女学生が身体を強張らせた。
櫻井、・・・何だったか?

「櫻井、どうかしたのか?何か会ったのか?」
「あ、あ、あの、」

櫻井は彼が名前を呼ぶのをきっかけに何かを伝えようと口をパクパクと開け閉めしていた。
言葉がならないらしい、相当緊張しているようだ。

「用事があってもなくても来てくれるのは嬉しいけどな、」
「ひっ・・・」

緊張を解そうと笑顔を奮ってみるものの、見事により緊張させてしまった。

「そのぉ・・・そうだ!コーヒーでも飲むか?ビーカーでも気にしないよな?」
「先生!!」

今の今まで沈黙を守っていた櫻井は唐突に立ち上がった。
大声で呼ばれた彼はコーヒーを作る手を止めてしまう。

「ど、どうし、」
「私、先生の事が好きです!」

言い切った女学生は西日の赤色に負けないほど真っ赤にした顔を彼に向けていた。
本気であることは彼には手にとる以前にわかった。

「あの、あの、失礼しました!」

女学生は俺の返事を聞くことも促すこともしないで部屋から出て行ってしまった。

「・・・コーヒー入れたんだが」

彼の小さな呟きなど聞こえるはずもなく、ビーカーに入ったコーヒーが二つ残された。

ほんと、どうしようか、

聖人君主が俺に説く。


「神を信じなさい、信じさえすればきっと救われます。」


俺は逆にその男に説いてやる。


「神などいない、悪魔もいない、いるのは人だけだ」


そういった瞬間に男は顔を強張る。


「・・・あなたの宗教は?」


俺は不敵に笑ってやった。


「残念、無宗教だ。」


聖人君主があきれ果てた。

大学前期終了のツバメです。

あぁ!?
順位が1000以下に!?

ひゃぁ!?
初の読者様がぁ!?

なんて、様々な出来事をスルーしてしまいました。

夏休みに入りこれからは小説を読み放題書き放題の引きこもります。

精力的に更新していくつもりなので暖かく見守って下さい。

それではまたいつか、ウナッ
お久しぶりのツバメです。
何日ぶりでしょうかねぇ、少し私生活がごたごたしていまして更新が途絶えてました。
単純にレポートの多さにへとへとなだけですが、
そのレポートまみれの日々はゴールの見えないマラソンに突入しています。
ですので書き途中の[2番と4番の死刑囚]と[黒ト白]ですが完成はまだまだ先になりそうです。

一応、此処に粗筋だけは書いてみます。

[2番と4番の死刑囚]
若い4番の死刑囚と老いた2番の死刑囚の談話。
死を前にして命に意味を問う二人の対照的な意見

[黒ト白]
ただひたすらに戦争を否定し、事実を見ようとしない白。
戦争のある事実を受け止めるが、その痛みには無関心の黒。
この二人の男が他から隔絶した場所で戦争の意味を改めて問う話。

・・・なんだか、暗い話ばっかですね。コメディーでも書こうかな。
ではまたいつか、