ショートストーリー「興味」 | 森本オレオの落書き帳

森本オレオの落書き帳

小説などを置いています。

雨の日は、傘で顔が隠れるので好きだ。

私はお気に入りの傘をさし、いつもの道を歩いている。

地面は黒く、瑞々しい。

水溜まりをわざと揺らして歩く。
あめんぼうが方々に散る。

私は視線を戻す。
視線の先に、彼がいる。

彼とは雨の日だけ、この道で会う。
しかし、いつも無表情な会釈をするだけで、特に言葉は交わさなかった。

そして傘をさしているので、顔は見えない。

私は彼の顔を想像して歩く。
全てが私の理想通りならいいのに。


ふと、私は強い衝動に駆られた。

顔を見てみたい。
今日は髪が決まっているから、見られても恥ずかしくない。

青い傘を持つ、その白い手が近づいてくる。
私の胸は高鳴る。

「こんにちは」
雨音に負けないように、私はいつもより少し大きな声で言った。

そして彼の傘の中を覗き込んだ。

しかし、そこにはあるべきはずのものはなく、私の目には傘の模様だけが映った。