盛りだくさんな週末・その3(土遊び編) | 木馬の四方山ばなし

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趣味の話や日々の出来事を中心に何となく、自己満足のためにつづっていくブログです。

モータースポーツ撮影でお世話になっているプロカメラマン・鈴木ジョッパ氏の誘いで初めて経験したトライアルごっこ。


かなり楽しかったので、速攻で中古のTLM220Rを買った話はすでに書いた。


http://ameblo.jp/mokuba-red/entry-10293856564.html


http://ameblo.jp/mokuba-red/entry-10296753881.html



そのTLM220Rのプラグのやけ具合。


一応、様子を見ようとは思ったものの、やはり気になる。

ボクの拙い経験でもやはりやけすぎ、薄すぎのように見えたので、画像を何人かの知り合いに送り、意見を聞いたところ、やはり結論は薄い、であった。


現時点で、何番のジェットが着いているのかは不明だが、もしもノーマルのままだとすると、

SJ:#45
MJ:#95

ということになる。いずれもパーツリストによる。


暖気特性やプラグのやけ具合を見る限り、メインジェットの番手をあげて濃くしてあげたいところだ。

そこで前述のように#98、#100を買ってきた。



中古で買ったバイクだ。
あちこち手が入っている。
2代目のオーナーがあまりバイクのことがわかっていない人だったのでこの人が仕様を変えたとは思えないが、現在の仕様はいろんなところがトライアル(ごっこ?)仕様になっていることを思えば、キャブセッティングが変わっていても不思議はない。ましてやサイレンサーまで換えてあるし、
吸気ダクトもカットして開口部を大きくしてある。



木馬の四方山ばなし-duct
ちなみにリアフェンダーの付け根に隙間があり、後輪が巻き上げた水や泥がそのまま吸気ダクトに入りそうなので、ガムテープで塞いでみた。(^^;)


だから、現状がスタンダードとはかぎらないため、スタンダードの#95も買ってきた。


知り合いのトライアルスペシャリストによると、TLMの定番セッティングとして上記のように吸気ダクトをカットしてアクセルレスポンスを良くするというのがあるが、これをやると吸入空気量が増えるため、燃調が薄目になり、移動区間などでの高速走行でピストンに穴を開けてしまうことが多いらしい。


ま、そんな感じでちょっと脅かされてしまったこともあり、キャブセッティングをまじめにチェックする気になった。


ちなみに今時はバイクでさえ、燃料噴射システム搭載が当たり前になりつつあるので、知っている必要は薄れてきているし、第一知っていてもいじりようもないのだが、キャブセッティングの基本はこうだ。



SJ(スロージェット)
その名の通り、アクセル開度がごく少ない領域でのガソリンの量をコントロールする。数字が大きいほど穴径が大きくなる=濃くなる


MJ(メインジェット)
アクセル開度が中間領域から全開域のガソリンの量をコントロールする。数字が大きいほど穴径が大きくなる=濃くなる
のはSJと一緒。


AS(エアスクリュー)
アイドリング時の吸入空気量を調節する。キャブレターのタイプによっては燃料を調節するPS(パイロットスクリュー)の場合もある。


JN(ジェットニードル)
メインジェットにつながる「筒」に串刺しになっている「針」である。スロットルバルブに固定されており、スロットルの開閉とともに上下する。
先端がテーパー状に細くなっている。
全閉時は一番太いストレート部分が筒に入っているのでMJから流れ出す燃料を絞っている。
スロットルが開くとニードルも上がっていき、テーパー部にさしかかると筒との隙間が広がり、燃料の量も増えるという仕掛けだ。
通常、ストレート径、テーパー角度などのセッティング要素があるが、市販バイク用としてそこまで用意されていることはほとんどない。
スロットルバルブに対してはクリップで固定されており、上下に固定位置を動かせる様になっているものもある。
JNの取り付け位置を上にすると、同じスロットル開度でもMJからの燃料が増えるというわけだ。
従って、アクセル開度の中間領域のセッティングは主にこのJNでおこなう。




ちなみに一般的によく耳にする言葉で

ノッキング

というのがある。
4サイクルの場合の異常燃焼を示す言葉であり、これを回避するために点火時期を遅らせたり、燃料のオクタン価を調整したりする。


ところが2サイクルの場合はノッキングとは言わず、

デトネーション

という。
どちらも異常燃焼を指す言葉だ。
燃焼工学的な違いをうまく説明できないので、その部分にはつっこまないように。(^^;)



このデトネーション。2サイクルエンジンにとっては実にやっかいだ。
デトネを起こすといとも容易くピストンが溶けてあなが開く。

穴が開かないまでもスキッシュ部分が欠け落ちたり、溶けたりしてピストン焼き付きに至る。

全開域が濃すぎると高回転の伸びが得られないので、特にロードレースなどではややもすると少し薄めにギャンブルすることがある。
また、ギャンブルしたつもりはなくても天候、気圧の変化で結果的に薄くなってしまうこともある。
デトネが出やすいシチュエーションは、全開からわずかにアクセルを戻した瞬間である。
こうした時にチリチリとデトネが発生し、ピストンのスキッシュ部分に虫食い状に穴を開ける。
そしてそれがひどくなるとピストンの天井に大穴が空く。

ボクがTLMの燃調セッティングにこだわるのはこういった理由からだ。




前置きが長くなったが、昨日、作業を行った。


まずは、キャブを取り外さなくてははじまらない。

なにはなくとも燃料タンクを取り外し、作業のじゃまとなるキックアームは踏み下げた位置でタイラップで固定。


木馬の四方山ばなし-carb.


インマニ、コンチューのバンドを緩め、コンチューのエアクリーナー側からハズしてやればキャブを取り出すのはあっと言うまだ。



木馬の四方山ばなし-carb02

もっとも、フレームから外に出すときには横向きにひねって知恵の輪状態ではあるが・・・(笑)



スロットルバルブを分解する。



木馬の四方山ばなし-JN


案の定、ニードルの位置は5段階あるうちの上から2段目だった。(標準は3段)
2段というコトはニードルの位置が下がるので薄目のセッティングだったということだ。

まずは基本の標準位置から・・・・ということで、3段に変更する。



次はフロート室だ。


木馬の四方山ばなし-float chamber

繊細なフロートやチェックバルブを傷めないようにそーっと取り外し、メインジェットをハズした。



木馬の四方山ばなし-#95

我ながら、汚い指だ。(笑)

しかし、キャブレターをいじるときは素手でやるのが鉄則だ。軍手をするなんてもってのほか。

繊細な通路を持つキャブレターにゴミやホコリを入れたら、それだけでセッティングがおかしくなるどころか、まともに始動すらしなくなる可能性がある。


MJは標準の#95が付いていた。
上述したように友人のアドバイスに従い、ひとつ上の#98を組み込む。



木馬の四方山ばなし-#98


各部をチェックするが特に痛んでいる部分はなさそうなので、ばらした時の逆の手順で手早く、組み込む。


最後にエアスクリューを点検。




そこで、唖然・・・・・・・





標準位置は全部締め込んだ状態から、1-1/4回転戻したところだ。
現状がどうなっているのか、位置と回転数を数えながら締め込んでみた・・・・・


・・・・・・が、まわらない。



すでに締め込んだ状態だったのだ。


これだと、アイドリング時の燃料が濃くなる・・・・と言う以前に空気量が足りなすぎる。

あの暖気特性の悪さはここに原因がありそうだ。


これまた標準位置の1-1/4に調整する。


プラスドライバーとコンチューをこじるためのマイナスドライバー、これだけあればすぐに出来る作業だ。まずは濃い目の安全サイドから少しずつ、セッティングを詰めていけばいい。



さっそくエンジンをかけて近所を走り回った。


まずは、暖気特性。
チョークを引いてキック数発で始動する。・・・・問題なし。

チョークを引いたまま走り出してみるが、きちんとアクセルに反応して回転数も上がる。エンストすることもなく問題なく走れる。少し暖まったところでチョークを戻しても問題なし。

OKだ。


そのまま、走り回った。

アクセルが開いた領域の「薄さ」は解消されている。むしろ少し湿っぽい燃焼感だ。


十分に暖まったところでアクセルレスポンスを確認する。
極低回転からの「ツキ」がちょっとイマイチ。この点だけは前回のセッティングの方が良かった。

様子を見ながら、ニードルの位置を下げてみよう。



15kmほど走ってから帰宅し、冷えるのを待って、スパークプラグのチェック。



木馬の四方山ばなし-spark plug

セッティング変更後!


問題なさそうだ。ちょっとだけ濃い感じしなくもないが、中心電極と外側電極の焼け自体は悪くない。
少なくとも前回の焼け具合よりはずっと正常である。


木馬の四方山ばなし-plug

これはセッティング変更前!


少し薄くする余地がありそうなので、そのうち、ニードルの位置を1段下げてみよう。




残るはファイナルレシオ。


現在は、超ショートレシオの9-40となっている。


これだと時速60kmでもかなりエンジンがまわっており、ハンドルやステップの振動がすごすぎる。あっという間に手足がしびれる。
少なくともトレッキングツーリングに出かけるならもう少しロングにする必要がある。


とは言え、標準の13-31はさすがにロング過ぎる。

一応、押さえでフロントの13Tは買ってきた。

木馬の四方山ばなし-13t


フロントだけ交換して、
13-40
という選択肢も悪くないが、この辺はもう少し走り回ってから決めるとしよう。


楽天で探したら、フロント用11Tがあったのでこれを注文した。
何しろ古いバイク用の部品だけに在庫があるか心配だったが夕べバイク用品屋から発送した旨の連絡が来た。

届いたら、ファイナルレシオどうするか、もう一度悩むことにしよう。



それにしてもかれこれ20年近く前のバイクだ。
パーツの供給も心配だが、情報も探さないとなかなか手に入らない。


パーツリストは何とかなりそうだが、サービスマニュアルがなかなか見つからず苦労した。
しかし、いろいろ探しているうちにこんな本を見つけた。



木馬の四方山ばなし-mook


HRCのワークスライダーだった工藤選手が書いたホンダ(いや、違った。本だ)

バキッ!!(-_-)=○()゜O゜)アウッ!


今は亡き山海堂から出版されていた。
もちろん、絶版だから古本でしか手に入らない。
元々数がでるような類ではないので、古本とは言え、法外とも思えるような値段だったが背に腹は替えられず、買ってみた。



結果的に購入は大正解。(^_^)v

知りたいことはほとんど書いてあるし、これがあればサービスマニュアルはなくてもOKだ。


それにしても発行日を見たら、なんと平成元年だった。(^^;)



バイク歴うん十年にしてついに出会ってしまったトライアルごっこの楽しさ。

これからは、近所で遊ぶためにポイント探しをするとしよう。(笑)



そうそう、世間的にはトライアルは超マイナーな競技だ。
そのマシンを作っているコンストラクターのひとつ。スペインのスコルパがつぶれてしまったらしい。

http://www.shizenyama.com/trial/

残念だ。