ポートレイト撮影。
ほとんどの場合に於いて、若い女性を撮影することと同義だと思っても良いだろう。
もちろん、子供や老人、あるいは男性を撮ることを指す場合も数多くある。
しかし、世間一般で催されている「ポートレイト撮影会」においては「(女性)モデル撮影会」と読み替えても間違いはないだろう。
ボクはプロカメラマン・馬場信幸氏の主催するモデル撮影会に年に何度か参加する。
カメラに興味のない人に、モデル撮影会に行く、あるいは行ったという話をすると大概ヘンな顔をされる。
いい年したオヤジがハナの下を伸ばして、若い女の子の写真を撮って喜んでいるのだと思っているのだろう。
あ、イヤ、ハナの下が伸びているかどうかは別にして、女性の写真を撮って楽しんでいるという事実は間違いない。
その点に於いては、取り繕う気はないし、言い訳する必要も感じてはいない。
邪な気持ちは微塵もないからである。
バイクや車を撮るときには如何にかっこよく撮るかという点に集中するのと同様に、モデルさんを撮るときは、より魅力的に撮ることに集中するからだ。
ちなみに水着の女性を撮ったことはあるが、いわゆるヌード撮影というのは経験したことはないし、今のところ、興味もない。
今の興味の対象は、如何にうまく撮れるようになれるかという点につきる。
その意味では興味の対象は自分自身の内部に向かっている。
モータースポーツなら、撮影技術としての「スローシャッター」を身につけたいし、ポートレイトならば、如何に光の状態を読むか、さらに露出をどのようにすると「上がり」がどんな感じになるか・・・という「読む力」である。
どちらにも共通するのは、構図をどうするか、そして背景をどう処理するか(目だ立たなくするだけでなく、取り込んで活用することもあり得る。)という点である。
違うのは、モータースポーツでは躍動感を出すために、どちらかというとスローシャッターを多用し、ポートレイトでは主題であるモデルを浮き立たせるために、絞りを開けて撮ることが多いと言うこと。
スローシャッターでは絞り気味となり、被写界深度は深くなる。しかし、動くものを撮るため、ほとんどの場合、背景は大きくぶれる。
これが見た目の躍動感を生む。
反面、絞りを開けていくと被写界深度は浅くなる。
たとえば、85mmf1.2のレンズで絞り開放だと、斜めから見た状態では右目にピントを合わせると左目はもう完全にピンぼけになる。
もっと言えば、まつげの先端にあわせたピントが瞳には正確には合わないという位である。
この「ぼけ」が全体としてふんわりとした雰囲気を作り出し、主題を浮き立たせる。
撮影技術で言うと、スローシャッターでもきちんと被写体を追いかけて撮る流し撮りの技術と、極端に浅い被写界深度できっちりピントを合わせる難しさが、それぞれにある。
モデルの撮影をするとき、ボクはピント調整はマニュアルで行う。EOSで撮るときならば、ワンショットで大体のピントを合わせたらそのままファインダーを見ながら、ピントリングを回して調整する。
最近よく使う、ペンタックスのLXは古いカメラであり、オートフォーカス機能はないので、問答無用でマニュアルフォーカスとなる。
しかし、このマニュアルでピントを合わせる作業が意外に楽しい。
あがりを見たときに失敗も多いが、きちんと狙ったところにピントが行っていると嬉しくなる。
・・・・とまあ、前置きをながながと書いてきたが、今年の6月と9月に参加したモデル撮影会の写真をようやく公開した。
カラーのものは、デジタル撮影のものがほとんど。(ごく一部は、リバーサルでの撮影だが。)
モノクロはすべて、ペンタックスLXとモノクロフィルムを使用して撮ったものである。
どちらも馬場プロ主催の「ババロア撮影会」での作品であり、モデルはかりなさんと香月彩さんである。
http://www.ne.jp/asahi/mokuba/red/index.html
ふたりとも何度も撮影させて貰っているが、未だにうまく撮れない。
いつかは本人にも喜んで貰える様なくらい綺麗に撮ってみたいと思っているんだが・・・・・。
道は険しい。