試乗会と振動工学と庶民のぼやき・・・ | 木馬の四方山ばなし

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趣味の話や日々の出来事を中心に何となく、自己満足のためにつづっていくブログです。

先日、久しぶりにいろいろなバイクにちょっとずつだが試乗する機会があった。

1周、200mちょっとのオーバルもどき・クローズドコースを数周ずつ乗っただけなので車速的にもせいぜい80km/h程度まででの印象である。
ま、広めの駐車場でちょっと試乗しましたって感じかな・・・・。



乗ったバイクは以下である。


ホンダ・ホーネット600(旧型?)
ヤマハ・T-MAX(輸出モデル・最新型)
ヤマハ・ニューマジェスティ250
トライアンフ・デイトナ(675cc)
ホンダ・シルバーウイング600



タイプも排気量もバラバラだが、エンジンの形式に注目してみるとなかなか面白い。


ホンダ・ホーネット600:水冷直列4気筒600cc、バランサー無し

ヤマハ・T-MAX:水冷直列2気筒360°クランク、500cc、ピストンバランサー付き

ヤマハ・ニューマジェスティ:水冷単気筒250cc、1次バランサー付き

トライアンフ・デイトナ:水冷直列3気筒675c、1次カップルバランサー付き

ホンダ・シルバーウイング600:水冷直列2気筒360°クランク、600cc、2軸1次バランサー付き


各エンジンの持つ起振力、要するに振動バランスにそれぞれ特徴がある。


直列2気筒(360°クランク)は1次、2次共に慣性力のアンバランスが残る。
シルバーウイングが1次慣性力バランサーを装備しているのはそのためだ。


ここで注意したいのがT-MAX
これは直列2気筒エンジンだが、シリンダと反対方向にダミーシリンダとダミーピストンを持つ。
したがって、爆発間隔、爆発力による加振力はシルバーウイングと同じだが、ピストンバランサーのおかげで、慣性力によるアンバランスは1次、2次共に理論上ゼロであることである。また、カップルモーメントも発生しない。

エンジン工学的には、水平対抗4気筒と同じ振動ポテンシャルを持つということになる。


直列4気筒も同様に慣性力による1次のアンバランスはゼロだ。
但し、2次のアンバランスは残る。600ccクラスまでの直4はバランサーはないことが多いが、1000ccクラスになると2次バランサーを装備するのはそのためだ。


面白いのが直列3気筒。
慣性力によるアンバランスは、1次、2次共にゼロである。
その代わりにカップルモーメントと言ってクランクシャフトをすりこぎ状に揺さぶる方向の振動がでる。
だから、このトライアンフの3気筒エンジンは、慣性力バランサーは不要なのだが、1次カップルバランサーを装備しているのだ。


少々、バイクやクルマが好きでもエンジンの形式と振動のことがきちんとわかる人はそう多くはないはずである。

メカオタクのボクとしてはそれなりに知ってはいるが、やはりいろいろな工学書の受け売りの域を出ては居らず、きちんと人に説明できるかというと、途端に怪しくなってくる。


だから、質問などはけっしてしないように。(笑)



ま、実際に上記のバイクに試乗するときにこんな知識があると、
あ、ハンドル、シート、ステップに多少びりびり来る振動は慣性力による2次のアンバランス振動なんだな・・・・なんて妙にわかったような気になる。
こういう試乗の仕方も楽しいものである。



その昔のバイクでホンダのCBXと言うのがある。
いわずと知れた空冷直列6気筒エンジンを積む、名車の誉れ高いバイクである。

これも少しだけ乗ったことがあるが、本当にエンジンの廻り方はスムーズで振動がない。


直列6気筒というエンジン形式は、完全バランスエンジンであり、極めて高次の振動は残るが体感できるような次数の低い振動は皆無であるのが特徴である。
昔から4輪でも高級車ではストレート・シックスを車載するものが多かったのはそうした理由からである(・・・・筈だ。)。



そういう意味では現在、ETC取り付けをして貰っているBMWの代車としてディーラーから借りている、ヤマハTT-R250Raid。

4サイクル単気筒のオフロードバイクだ。確かバランサーは装備していないはず。


これで高速道路を走ると手がもげるのではないかと思うくらいの振動がある。
ステップも土踏まずが痒くなるくらい振動がでる。

その昔、4サイクル250cc単気筒のオフロードばかりを乗り継いでいた時期がある。
その頃は高速走行はこんなものだと思っていたし、あきらめていたが、今、あらためて走るとものすごい振動である。
若かったとは言え、よく我慢していたものだ。(笑)


今回の試乗。エンジン形式と体感振動の違いも面白かったが、単純に小僧的なインプレッションとしては、面白かったのは何と言ってもトライアンフ・デイトナ675。
峠だけを走るなら文句なくこれが楽しい。
まるで250ccかと思うくらいコンパクトなサイズと車重である。


フロントタイヤに覆い被さるような、これ以上ないくらい攻撃的なポジションに、ライディングもイヤでも「攻め」となる。もちろん、足なんかまともにつかない。バレリーナ状態である。


でも、免許と命が危ないのも事実。
走るなら峠よりはサーキットだな、こりゃ。
絶対に町中なんかでは乗りたくない。
クビと肩が凝るのは間違いない。(爆)


その点、ホーネット600は、ずっとジェントル。もちろん、上まで回せば4気筒特有の気持ちのよい吹けあがりが楽しめる。

T-MAXはスクータの割にはしっかりしているのでそこそこのペースで走れるが、所詮、スクータ。無理は禁物。(もっともヤマハはスクータとはいわず、ATスポーツと言っているが。)
基本的には、アンダーステアである。

新しいマジェスティの「なんとかモード」は、はっきり言って何が良いのかよくわからん。
ボクが毎日通勤で使っているフォルツァのオートシフトモードの方がはるかによくできている。
しかし、マジェスティは外観部品の塗装は綺麗なので「見た目」の好き嫌いだけで選ぶユーザに取っては十分魅力的かも知れない。



今回はたまたま少し試乗するチャンスがあったが、だいたいにおいて、普通はバイクの「乗り比べ」をするチャンスなどは無いので、自分の好みに合うかどうかは実際に買ってみないとわからないのがバイクの怖いところだ。

クルマだって試乗できるし、家だってモデルハウスくらいはある。
プロが使うような高価なカメラだって店頭でいじらせてくれる。
バイクも試乗イベントも無いわけではないが、一般のショップではほぼ無理だろう。


けして安い買い物でないのにただ飾ってあるだけものを見て、決断しなければならないところが難しいところではある。
大型バイクともなれば、100万円いじょうするというのに・・・・である。


そうそう、今朝、出勤前にBMWのディーラーによって、ETCを付けたR1150Rロックスターを受け取ってきた。


ETCの機械が3万円なのは一律料金だから仕方ないとして、やはり、と言うか、案の定というか、工賃が2万近かった。

フォルツァに付けたときだって、1万ちょっとだったはずだ。

更にバッテリーが弱っているから交換したのだが、バッテリーの代金が「2万円!!!」もした。

さすが、BMW。にっこり笑って懐から札束を出せる人でないと乗ってはいけないのかも知れない。


以上、縁あって分不相応なBMWを保有している庶民派ライダーのほやき・・・・・