龍の黙示録 唯一の神の御名/篠田真由美 | mokkoの現実逃避ブログ

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発売日:2006/9/1
文 庫:411ページ

時は飛鳥時代。
キリストの血をかすめ取った悪霊を追い、
極東・倭の国に流れ着いた不死の吸血鬼・龍緋比古。
龍は摂政である聖徳太子こと厩戸皇子に出会い
主の面影を持つ皇子に付き従うようになった。

折しも推古帝の後継を巡り朝廷内の政争が激化。
皇子の息子・山背大兄は暗黒神暗螺萬愉の使徒に
取り憑かれ、皇子もその渦中で病に倒れた。
朝廷に忍び寄る邪教の影…。果たして倭の運命は。
二千年の時を彷徨う龍の過去を描く急展開のシリーズ。
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龍の黙示録シリーズ 第3弾
 

ライル(ライラ)の嫉妬交じりの心の呟きから始まる今作。
穏やかなティータイム。
エルサレムの神殿の見取り図から龍の簡単な説明。
当時の事を聞きたいという透子とライラ。
物語のように当時を振り返る龍・・・

主:イエスを失って砂漠を放浪している龍。
そこに、アダムの最初の妻だというリリトがつきまとう。
リリスではなくリリト。その理由がスゴイ。
これは思わず納得してしまった(^◇^;)

会う度に別の人間の姿で龍の前に現れるリリト。
傷つき放浪している龍に、目的を与えるリリト。
龍の主を処刑したのは下っ端の人間だが、それを
やらせたのはローマ皇帝だと。
即刻ローマに飛ぶ龍とリリトだったが、名ばかりの
皇帝となったティベリウスは、孤島にこもり
堕落の限りを尽くしていた・・・

 ティベリウス by wiki

時が経ち、新しい皇帝ハドリアヌスの時代に
突如として龍は現れ、更に死なないだろうと
予想していたリリトもまた、現れた。
ここでもスッタモンダあったのだが、今回の皇帝は
病ではあったが、優しくて聡明な人だった。
龍が、その血を分け与えてもいいと思ったくらいに。

 ハドリアヌス by wiki

イエスが磔にされている時に流した血を掠め取り
世界中に散った妖魅を狩り続けた龍。
そして次に向かった先は・・・
高句麗から倭の国:日本。

妖魅に襲われていた貴人を偶然助けた龍。
名を持たない当時の龍に「羅睺(らごう)」の名を与えたのは
厩戸皇子(後の聖徳太子)だった。

羅睺(らごう)・・・なんと!
十二国記ファンなら間違いなく反応する名前。
驍宗様騎乗の騶虞(すうぐ)の名前です。
ホワイトタイガーみたいな妖獣。

白地に黒模様か、黒字に白模様。羅睺と計都 w(゚o゚)w



本作では、龍に助けられた厩戸皇子が月を背に
空から降りて来る姿が、九曜の羅睺と計都( 太陽と月の光を喰らう)
を連想して名付けた。日食・月食のことですね。共に魔星です。

厩戸皇子とイエスが似ていると感じ
暫くそばにいることに決めた龍だったが
そこに隋の長安にある宗教を守るという妖?が
出て来て、蘇我馬子や山背大兄までも取り込み
厩戸皇子だけが頑なに拒絶するという・・・

推古帝の後継を巡り、朝廷内の政争が激化してる最中
史実にサクっと物語注入!
日本の昔の貴人の名前は覚えられない(-。-;)
ともかく、こちらでもスッタモンダあって
病の厩戸皇子に、血を与えたいと思ったりする。

人は叶え難い夢に憑かれる時、正気を失い
この願い叶うならば何もいらぬという心に邪神は付け入る。


本作で龍:羅睺に協力している鴉(からす)もまた
神官の身でありながら一旦は堕ちたが、二度と
清い身に戻れないと知り、その身を捨てた者。
鴉の姿をしているが、人の姿にもなれる。
次巻にも出て来ますよ。

引っ張って引っ張って、最後は柔道の一本のように
あっという間に勝負を決めてしまうのが
この人の特徴かなぁ~
余韻をひかない(^◇^;)

最後、ライルが龍のところに来たきっかけの
話をしておしまし。
その時の祝詞みたいな命令系の言葉が、いかにも
聞きかじりって感じがしました。
著者自身も言っている事ですが、仏教系かな?
やはり十二国記の泰麒が傲濫(ごうらん)を
使令に下したシーンを連想しました。

対談は柴田よしきさんでした。
建築探偵の桜井京介を殺そうとしたって話は
この対談だったか・・・ドSめ(-。-;)