アキちゃんに憑いているモノの正体が、
結局はわかったらしい。
らしい・・・というのは、私が対面した時の記憶だけを
すっかり無くしているからだ。
酔っ払ってしまったのだろうか・・・
でも、そこだけ記憶がないというのが、不可解なのだが・・・
覚えているのは、あまりの恐ろしさに叫んだことくらいだ。
どうやら私は、座りながら後ずさりしていたらしい・・・
結果的にアキちゃんは、生霊にまで憑かれていたようで
生霊はトモちゃんが専門なので、対処してくれたそうだ。
私は、生霊と死霊の区別がつかないのだ・・・
そんなわけで、アキちゃんに憑いていたモノの説明が
できなくなってしまったので、アキちゃんの興味深い話をしましょう。
これは、アキちゃんに憑いているモノに拒絶されながらも
トモちゃんと一緒に読み取ったもの(見えたもの)です。
アキちゃんは竹が嫌いなのだそうだ。
理由は自分でもわからないという。
そこで、その部分に触れてみたら、変なものが見えてきた。
かなり広い敷地の中に家が立っている。
広い敷地がそのまま雑木林に続いている。
雑木林の奥深くに、その場所はあった。
無数の掘られた穴と、何かが埋められた跡・・・
1つの穴には、1体の死体が入っている。
けれど、それは墓ではない。
病気で死んだ者もいるが、いわゆる殺された者もいる。
大人の男が穴を掘っている。
少し離れた木の陰から少年が、その様子を覗っている。
これから何が行われようとしているのか、少年は
薄々気付いているようだ。
それを確かめに来たのだ。
私が覗き見たのはここまでだけど、これでアキちゃんが
竹が嫌いだという理由がわかった。
これは、アキちゃんの母親方の、しかもかなり昔の
先祖の記憶らしい。
あまりにも強烈な思いのため、その記憶だけが
受け継がれたのだろう。
死体が埋められていたのは広葉樹の林だったが
日差しが強い時は、林の中は緑のトンネル状態になる。
その緑のイメージだけが強烈に残り、アキちゃんの
緑のイメージが竹と重なって嫌悪感を抱いたのだろう
これを機に、嫌なイメージが拭われることを祈る