すごく体調が思わしくなくて、会社を早退した時の事。
地下鉄を降りて地上に出る階段を上っていた。
M線のI駅は、地上に出るまでの階段が異常に長い。
具合が悪い時は、特にこたえるので、一心不乱に
階段を上っていた。
中途半端な時間だったので、その階段を使っていたのは
私一人だった。
手すりを掴みながら、1段1段上っていたとき、
何かが足首を掴んだ。
普通ではない気配を感じ取ったので力任せに足を引っ張りあげ、
一応、確認の為、振り返ってみたが、やはり私一人しかいない。
またかと思いながらも、階段を上り始めたのだが、
手すりから手を離していた。
そこを狙われたのか、着ていたカーディガンを引っ張られた。
バランスを崩し、危うく頭から後ろへ落ちると思った瞬間、
誰かが私の手首を掴んで支えた。
助かったと思い、目線を上げたが、そこには誰もいなかった。
私を突き落とそうとした手と、助けてくれた手。
いったい、誰の手だったのだろう・・・