前に住んでいたアパートでのこと。
そこは、母が気に入ったので決めたのだが
霊の気配を感じた訳ではないのに何故だか私は
そのアパートが好きになれなかった。
何週間かが過ぎたある日、
夜中に誰かの気配を感じるようになった。
何日かすると、畳を歩く足音が聞こえるようになった。
そして今度は、クローゼットの床に、握りこぶし大の染みを発見。
よく見るとゼリー状のものだった。
洋服は何ともなっていないし、壁も天井も濡れていない。
大家さんに言って調べてもらっても原因不明。
結局、床板を取り替えてもらったのだが、
何故か、染みは濡れたまま一向に乾かない。
更に数日後、隣の部屋の住人が引っ越して行った。
10年程住んでいた人なのだが、訳も告げずに急に
引越しを告げられたのだと大家さんが教えてくれた。
そして、その日が来た。
金縛りにあったのだ。
いつもなら、軽くかわせるのに間に合わなかった。
しかも、よりによって目を開けてしまったのだ。
目線の先にはローボードが置いてあり、ガラス扉に
黄緑色の光が浮かび、その中に女の顔が見て取れた。
19歳くらいで、髪はストレートのセミロングで超美人。
後から、それが大家さんの自殺した娘だと知るのだが・・・
金縛りが解けた瞬間に起き上がってテレビをつけた。
それだけでも、気は紛れるからだが、それの気配は
一向に消えない。
結局AM4:30までねばり、外も明るくなり始めたので
もう大丈夫だろうという安心感と猛烈な眠気に耐えられず
テレビを消して目を閉じた。
その瞬間、待っていたかのように後ろから抱きしめられ
耳元で「私にも見せて・・・」と囁かれた。