未だに私に張り付いて離れようとしない霊がいる。
名前を勇次という。確か漢字で勇次と聞いたはずだけど、
優ちゃんという名前でメールをいじったりしている。
私の聞き間違いだったのだろうか・・・
前置きは、この辺にして、優ちゃんとの出会いのことを
お話しましょう。
東京には、ある目的があって来たのですが、目的達成のため、
睡眠時間を削ってがんばっていたある日。
AM4:00くらいまで作業に時間がかかったが、
一区切りついたのでベッドに入った。
ベッドに入ってすぐに、金縛りに合う前触れがあったので、
起き上がろうとした途端に、何かに弾き飛ばされ、
同時に金縛りにあった。
いつもの単純な金縛りではない!!そう思った。
体中にビリビリと怒りのようなものを感じるのだ。
それは、部屋の中にいた。
すぐ近くで、私を見ている・・・
目を開けちゃいけない。
必死で硬く目を閉じているのに、それは、目を開かせようとする。
頑なに目を開けるのを拒んでいると、それは私に馬乗りになった。
暗闇の中に、2つの血走った目だけが、私の顔の
すぐ上に見えた。
目をつぶっていても、見えるのだ。
そして、それは、腕を組んだ状態で私の首を押し付けた。
半端な苦しさじゃなかった。
首を締め付けられると、舌が出てくるのだ。
窒息死というのは、こんな風に舌がでてきて気道を塞いで
死に至るのだと実感した。
初めて、殺されると思った。
苦しさと、血走った目と、怒りのような感情が、流れ込んでくる。
私は死にたくないと思った。
そして出ない声で叫んだ。
「イヤだ!死にたくない!絶対死なない!!
生きる!生き続ける!!」
途端に、金縛りは解けたが、それの気配はまだ近くにあった。
けれど、先ほどまで感じていた怒りの感情がなくなり、
悲しみの感情が流れ込んできた。
もともと、霊の存在を、頭の中で映像として見ることはあったし、
どうやって死んだのかまでも見えることがあった。
彼は、19歳の男で、チェッカーズのデビュー直後のフミヤと
同じヘアスタイルをしている。
たぶん、命を落としたのが、チェッカーズが
ブレイクした時期なのだろう。
細身で長身のかわいい顔をしていた。
そのときは、まだ彼の名前を知らなかったが、
私が住んでいるマンションの建築中にバイトをしていて、
誤って私の階(4F)から落下して死んだらしい。
19歳といえば、夢も希望もたくさん持っていたでしょう。
それを、事故とはいえ突然失った。
夢を失った人と、夢に向かってがんばっている私。
怒りの矛先が私に向かうのも無理もないこと。
そして、私はタブーを犯してしまった。
「霊に同情してはいけない。」
誰かに教えてもらっていたはずなのに、私は彼
に同調してしまったのだ。
それが、全てのことの始まりとなることも知らずに・・・