同じセクションの人達と休みをとり、ちょっとした
ドライブに出かけた。
そのドライブには、私には内緒だったのだが、ある目的があった。
霊感が強いと言われていた私を心霊スポットに連れて行き
何がいるのか見てもらおうとしたらしい。
何も知らずに、車は長野方面へ・・・
そして、山の中へと入っていった。
途中で、空気が重くなってきたことを感じた私は
どこへ向かっているのかを聞いた。
「この先に、すごく景色のきれいなところがあるんだよ」と言われ
車は更に進んでいく。
せっかく連れて行ってくれるんだからと我慢していたけれど
それ以上進むのが危険だと感じた私は「止めよう」と言ったが
「もう少しだから」と言われ、車は更に進む
そのうち、全身に鳥肌が立って、空気が体に刺さるような
感じがしてきた。
「ヤバイよ、行かない方がいいよ!」と警告したが、
「あと少しだから」と車を止める様子がない。
「引き返せ!戻れ!ヤバイ」と言っても聞いてくれない。
危険だという感覚は、恐怖に変わっていた私は、
絶叫しながら運転手の腕を掴んだりクビを締めたりして
無理矢理、車を止めさせた。
「危ないだろう」と抗議する運転手に、「このまま進む方が危ない」と私は怒鳴った。
仲間達は互いに顔を見合わせて、「何で?」と私に問いかけた。
私は車を降りて、嫌な方向を指差した。
車の中にいたから気付かなかったが、私が指差した方向には
木立に隠されるように、赤い陸橋が見えていたのだ。
瞬間的に、危ないのは赤い陸橋だと悟った私は、
あの赤い橋には嫌なものがたくさんいる。
ヘタをしたら、持っていかれるよと教えた。
仲間達は、また顔を見合わせて「やっぱり」と頷きあい
私を心霊スポットである自殺の名所に連れて行き、
何が見えるか確かめようとしていたことを告げた。
騙されて連れて来られた事に激怒したものの、
素直に引き返すというから、その場は、ゆるしたものの、
霊感があるということを実証したことになった。
その陸橋は、渓谷に渡されたもので、谷はかなり深い。
谷底には、川が流れているが、深さがないため
橋の上から飛び降りたら、助かるはずがないのは一目瞭然
そこには自殺した者だけでなく、引きずり込まれて
命を落とした者、他から流れて来た者達が溢れていた。
誘う者と拒絶する者の両方が存在していたのだ。
私が、その場所に連れて行かれたのは、昼間だったけど、
これが夜だったらと考えるとゾットした・・・
私は、確かに見えたり感じたりはするが、それだけなのだ
私自身が取り憑かれる恐れもあるのだ。
その恐ろしさを知らない人達が、この先何人、
連れて行かれるのかと思うと、更にゾットするのである・・・