T湖畔のホテルの寮は4人部屋で、入り口を入って
中央の通路を挟んで両サイドにベッドが置いてあり、
奥がちょっとした座敷になっている。
ある日の夜、ベッドサイドのライトを点けたまま、
そろそろ寝ようかと思っていたら、いきなり金縛りにあった。
ライトを点けたままだったのと、向かい側の子も
ライトを点けたまま起きていたこともあり、
さほど怖くはなかった。
しかし、誰かが足下の方に立っているのを感じて、
掛け布団を引っ張り始めるとさすがに怖くなってきた。
更に、今度はベッドの右側のカーテンが揺れだした。
そして、カーテンを挟んで誰かの手が伸びてきた。
カーテンにくっきりと浮かぶ手形が、ゆっくりと
私の首をめざして延びてくる。
首を絞められる!!と思った時、タイミング良く
向かいのベッドの子がカーテンを開けて起きてきた。
同時に、延びてきた手と、足下の気配が忽然と消えた。
向かい側のベッドの子は、「布団落ちてるよ~」と
明るい声で話しかけてきたが、さっきあった出来事を話すと、
言葉を失っていた・・・