ホテル勤めをしていた時の話。
そのホテルのチェックインの時間は15:00となっていて、
お客様がチェックインする前に、お湯の入ったポットを
入れておくことになっている。
滞在中を除き、新規でチェックインするお客様に関しては、
客室ステーションにあるインジケーターを見れば
チェックインの状況がわかる。
いつものように、ワゴンにポットを乗せて客室に向かった。
ステーションから一番近い、端の部屋をノックした。
空き室なのは確認済みである。
しかし、ノックが返ってきた。
聞き間違いだと思い、再度ノックした。
予想を裏切り、ハッキリとしたノックが返ってきた。
突然、悪寒が走ったので、私はステーションに逃げ込んだ。
通常、客室をノックされて、ノックを返す人はいない。
ノックされたら、返事をするものだ。
客室のインジケーターを確認したが、やはり空き室のままだった。
恐怖感が拭いきれなかったので、同僚に状況を説明して、
客室まで付き添って貰い、再度、ノックしてみた。
今度はハッキリと怒っているような強いノックが返ってくる。
勇気を出してドアを開けてみるが、やはり中には誰もいなかった。
では、ノックを返してきた人は何処へ・・・