ページ:181ページ
発売日:1995/08/01
大陸の涯での山地から運ばれて来た石は柘榴色、
それはやがて砕かれ「群青」になるという。
その鉱石が欲しくて、夜明けの波止場を彷徨う
灯影と垂氷の前に、妙な麺麪屋が現れ・・・
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短編集です。
「銀の実」
宮沢賢治を連想します。
鳥の兄弟が病気になった弟の為に・・・
不思議で切ないお話です。
「綺羅星波止場」
これは正に長野ワールドでしょう!
鉱石探しに波止場に行く垂氷(たるひ)と灯影(ひかげ)
そこに燃える石でパンを焼く不思議な麺麪(パン)屋が現れる
焼き上げられたパンの美味しそうなこと(〃∇〃)
焼きたてのパンに好きな物を挟んで食べる。
長野作品に出てくる食べ物やら飲み物って
どうしてこうもキラキラと美味しそうなのかしら(〃∇〃)
そして鉱石も欲しくなる( *´艸)( 艸`*)
「雨の午后三時」
垂氷と灯影が登場します。この二人、好きだなぁ~
幻覚作用のあるコーヒーを飲んだら
ドアの向こうに真夏の海岸が・・・?
黒ずくめのレインコートの男も不思議
「レダの卵」
珍しく主人公は女性です。
お祭りの日に不思議な卵を買ったら・・・
「少年アリス」の巻末に解説が載ってます。
そういうことだったんだぁ~って思うけど
それは読んでからのお楽しみ♪
「耳猫風信社」
耳の中に綿毛が入ってしまい不思議な耳鼻科に行くと
そこには不思議な少年がいて・・・
後に同タイトルの長編として出版されてます。
気付いたら不思議な街に迷い込んでいたっていう設定が
結構好きなんです♪
「金色の釦(ボタン・ドール)」
家族の用事で友達の待ち合わせに遅れた主人公は
不思議な少年と不思議なお店で食事をすることになる。
お金を忘れた主人公は釦を金貨だと勘違いした店の主人に
釦を置いて逃げ去ってしまうのだが・・・
ココ椰子のミルクにフルーツのジュレを入れて、
揚げたアイスクリイムを乗せ、キャラメルをかける
長野作品に出てくる食べ物が本当に美味しそう
想像力を増幅させます。
「月夜の散歩」
これは詩を綴ったものです・
長野さんの言葉の美しさにときめきます。
「銀色と黒蜜糖」
銀色と黒蜜糖は不思議な影によって、夜に間
人間になることが出来る。
影を無くした銀色が黒蜜糖と一緒に人間の月彦を
石にして影を取り戻そうとする。
夢と現実の間をさまよう月彦の視点がコロコロ変わるので
その不安定さがこっちにまで伝わってきて怖い。
石榴の描写がリアルで、柘榴石を飲み込んでいるような
錯覚に襲われましたよ。(^◇^;)
本作は「野ばら」の制作過程に生まれた番外編。
「野ばら」よりも、その後に出た「夏至祭」の方が
読みやすいですよ。
猫と鉱石に興味を持ったのは、間違いなく
長野作品を読んでからでしょう。
猫って、いかにも不思議で秘密めいてますよね( *´艸)( 艸`*)