サマー・キャンプ/長野 まゆみ | mokkoの現実逃避ブログ

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文 庫:236ページ
発売日:2003/5/9

夏休暇も間近なある日、湾岸校に通う温は、

ルビと名乗る少年から「契約」をもちかけられる。
無口な少年と、手癖のわるい女の子、

二つの人格をそなえたルビを、
離れて暮らす母は「あなたの弟よ」というのだが―。
生殖医療の発展した近未来を舞台に、

人をこの世につなぎとめる愛、血脈を越える絆を

描き出す傑作長篇。
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久しぶりの長野作品である。
読み始めてから、あぁ~新世界に似た感じだなぁ~と思ったら
新世界の方が後に出版されてました(;^_^A

こっちが先ってことですね(^◇^;)

生殖医療の発展した近未来の湾岸都市。
主人公の温(はる)は、祖母の家で暮らしている。
祖母は生殖医療の権威であり、病院を営んでいる。

優秀な遺伝子を取り入れて「鏡島家」を存続させようとするのは、
たとえそれが違法であっても、ある意味、特権だったりする。
要はバレなければいいのである。

更に、温が祖母と暮らしているのは、アレルギーがあるからで、
発作を起こすと命にかかわるからでもある。
相手が母でも姉でも近くにいると症状が出る。
むろん、対処できるように薬剤も装備しているし
温の体の状態は、いつもモニタリングされている。

そして読んでいるとわかってくるのだけど
温には記憶障害がある。
だから他のキャラ達は、小出しに情報を与えては温を動揺させる。

っていうか、こっちが動揺するわ!
混乱もするわ!

鏡島家の生殖システムは、相当にエグいです。
世間を欺いて独自の生殖を行っている。
快楽主義的で軽薄に映るんだけど、これがまた
独特な人間関係でもあるから、血縁関係というか
卵子と精子を理解してないと気持ち悪いだけになるかも・・・
いや・・・染色体レベルか・・・(XXYの症候群とか)

そんな実験結果の、とある愛?の物語でもある。
生殖システムが発達した未来は、感情をそぎ落とさないと
生きていけないかもしれない・・・

確か、この本が発売された時期、遺伝子組み換え作物とかが
問題になっていたと思います。
それを人間に見立てたって感じでしょうか?
新世界もだけど、色々とエグイです。

ただ、長野作品の食べ物の描写は大好きです。
そして、長野作品はBLと認識されているのが
悲しかったりします。

初期作品は超ファンタジーなんですよぉ~
たまには、そっちの作品もお願いします<(_ _)>
_|\○_オネガイシヤァァァァァス!!