屋上物語/北森 鴻 | mokkoの現実逃避ブログ

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ページ数:298P
発売日:2003年06月

そのデパートの屋上では、いつも不思議な事件が起こる。
飛降り自殺、殺人、失踪。
ここに、何があっても動じない傑物がいた。
人呼んでさくら婆ァ、うどん店の主である。
今日もPHSの忘れ物が一つ。奇妙なことにそれが毎日、
同時刻に呼出音だけ鳴るのだ。
彼女の手が空いた時間帯に、まるで何かを伝えたいかのように…。
屋上の名探偵さくら婆アの奮闘ミステリー。
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デパートの屋上が舞台の連作短篇集。
主人公は屋上名物のうどんを作る店主さくら婆ア。
けれど語りは、屋上にある物たちである。
稲荷社のお狐様や観覧車や地蔵尊だったりする。
屋上の風景を見てはいるけれど、何もできない。

「はじまりの物語」
「波紋のあとさき」
「SOS・SOS・PHS」
「挑戦者の憂鬱」
「帰れない場所」
「その一日」
「楽園の終わり」
「タクのいる風景」
8篇を収録。

なんというか、語りが屋上に設置されているモノで
中心にいるのが、酷いダミ声のさくら婆アで、探偵役。
その後、興行師の杜田と高校生のタクが
ある意味、助手的な役割でメインキャラになってくる。
が、どうにも苦しいのですよ。
いたるところに悪意がにじみ出ていて
そういうのを読むのは、本当に苦痛なのですよ。
やるせないのですよ。

さくら婆ア自身、辛い過去を背負っているんだけど
それも解決とはいっても、やるせない・・・
なんか、どよぉ~んとした悪い意味での虚脱感に包まれる。
こういう作品もあったのですねぇ・・・
 (;´_`)トホホ