下鴨アンティーク 暁の恋/白川紺子 | mokkoの現実逃避ブログ

mokkoの現実逃避ブログ

現実から目を背けて堂々と楽しむ自己満足ブログ


ページ数:296P
発売日    2017年06月

京都、下鴨――。
慧に告白してから、関係がぎくしゃくしてしまっている
鹿乃だったが、知人に若い男性を紹介される。
佐伯稜一と名乗ったその男性は、実は蔵の着物の関係者で、
大伯母の椿柄の振り袖について訊きたいのだという。
該当する着物を探し出した鹿乃だったけれど、
描かれた椿すべてが落花してしまい……?
そして、鹿乃と慧の関係はどうなっていくのか?
---------------------------
シリーズ第6弾。

「椿心中」
前作で知り合った、やたらとお見合いを勧めてくるご婦人に
生け花展へ誘われて、行ってみたら主催者の男性を紹介された。
しかし男性の目的は、野々宮の蔵に大伯母の椿柄の振袖が
あるはずだと言う。
蔵から着物を出してみると、描かれた椿が次々と落花して・・・
祖母が着物につけた名は「衣通姫(そとおりひめ)」
振袖に込められた想いとは・・・

男性の祖母は、鹿乃の祖母と知り合いで、振袖は祖母の
姉のものだと言う。昔の財閥華族の悲しい事情・・・
今回は古事記や日本書紀、そしてオペラからヒントを得て
着物に込められた想いを読み解き、男性の祖母もまた
その想いに救われるというはなし。
そして、もう一つの流れである鹿乃と慧。
お互いがお互いを思いやり過ぎて、いたたまれないぃ~!

「月を隠して懐に」
「鶴亀の羽織は、こちらにございますか」
突然姿を現した30代くらいの男性は、そう言って姿を消した。
蔵に二匹の猿が鶴と亀を象った冠を頭にのせている着物が
あったはずと、蔵から出してみると、一匹の猿が逃げ出した。
良鷹と二人で猿をさがして納戸を開けると、さがしていた猿の
描かれた桐箱があり、中には笛が入っていた。
お能が関係してるとみられるこの羽織と笛が導くものは・・・

着物騒動の裏では、良鷹と鹿乃の思い出話しと並行して
慧が長年その名を口にすることを拒んできた父親(田村教授)と
一緒に法事に行って、同じ旅館に一泊した。
その夜、父から知らされた亡き母への思いとは・・・
そして、アンソニーは鹿乃に接近!
鹿乃が慧にフラれた事を知って、堂々と鹿乃に宣言してから
気晴らしに出かけようと誘う。
紳士的なのか卑怯なのか・・・ヽ(`Д´)ノウガァ~!

「暁の恋」
蔵から梅の帯を出した。夜に浮き上がる白梅の柄が変化して
深い漆黒の夜の闇になってしまった。
着物につけられたタイトルは軒端梅。和泉式部が
愛でて植えたと言われている梅らしい。
一方、法事からの帰り、慧の父親が階段から落ちて骨折。
しばらくは、父の家にいることになった。
そんな時、アンソニーが鹿乃をデートに誘い、鹿乃は了承した。
帯を元に戻す方法は?鹿乃とアンソニーは接近するの?

鹿乃はいい友達を持ったなぁ~。奈緒と梨々子は本物の親友だ!
そして、ごめんよアンソニー。゚(゚´Д`゚)゚。
誤解してましたぁ~
あなたは丘の上の王子様でしたぁ。゚(゚´Д`゚)゚。
何ていい人なのぉ~(ノ◇≦。) 
それにしても、この急展開は何だ?
急展開過ぎて、驚きっぱなしだわぁ~(^◇^;)

「羊は二度駆ける」
如月堂の店主の孫である真帆をバイトとして連れて、
蔵にある骨董を買い取りに向かった良鷹だったが、
帰りがけに、当主を訪ねて来た娘と婿と遭遇。
途端に遺産を巡っての親子喧嘩が始まった。
早々に退散したものの、家に戻ってみると、どこかで
鳥のような、奇妙な鳴き声がして、良鷹に襲い掛かる。
猫の白露に助けたれたものの、真帆の事が気になり
家を飛び出すのだが・・・

これは、ホラーチックな話でした。
家を自分の代で終わらせることにこだわっていた当主。
裏庭の祠。藪神。呼子鳥。
当主が手放そうとしなかった羊の帯留め。
時に骨董を引き取る際に、災厄も引き受けることがある。
今回はそういう話。如月堂さんが、そういう災厄系に
詳しくてよかったけれど、不気味な話の一方で
良鷹に真帆がいてくれてよかったと思ってみたり。


今回も、着物に込められた想いを解きほぐしながら
色んな分野の蘊蓄と合わせて、鹿乃と慧の恋の行方と
良鷹の微妙な兄心(^◇^;)にハラハラ。
奈緒と梨々子の友情に、心から喝さいを送りましたよぉ~
でも慧の心を動かしたのは、良鷹の言葉。
だてに10年以上の付き合いじゃないって事だよねぇ~
そして、アンソニーも物凄くいい人だった。
っていうか、あなたも鹿乃の事、結構好きになってたよね。
相手を本当に思えるからこそのセリフにウルっとしました。
しかし、一歩前に進んだと思ったら、恐ろしいくらいの急展開。
唖然としてしまった(^◇^;)

そして、寂しい良鷹の気持ちもわかるから、何とかなってほしい。
真帆がいるから大丈夫なのか?

そういうのとはちょっと違う気もするけど・・・
たぶん真帆も放っておかないと思うけど・・・
デートより良鷹を優先してフラれただけのことはある。( ̄ー ̄)ニヤリ

そういえば、「椿心中」で鹿乃の着付けを良鷹がやった時、
帯の結び方で鹿乃のリクエストが「立て矢」だった。
身長的に却下されたけど、この立て矢は、昔、友達の結婚式で
振袖を着た時に、オカンにリクエストして結んでもらったのよ。
これは身長が高い方が映えるから♪
予想外のところで思い出とリンクして嬉しかったなぁ~(〃▽〃)ポッ