ページ数:253P
発売日:2014年12月
鳴り響く胡弓の音色は死者を、ヨマブリを、呼び寄せる―。
願いを叶えてくれる魔物の隠れ家に忍び込む子供たち。
人を殺めた男が遭遇した、無人島の洞窟に潜む謎の軟体動物。
小さなパーラーで働く不気味な女たち。
深夜に走るお化け電車と女の人生。
集落の祭りの夜に現れる予言者。
転生を繰り返す女が垣間見た数奇な琉球の歴史。
美しい海と島々を擁する沖縄が、しだいに“異界”へと
変容してゆく。
7つの奇妙な短篇を収録。
『私はフーイー 沖縄怪談短篇集』を改題し文庫化。
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久しぶりの恒川作品
定期的に読みたくなるというか、充電用ですね(^◇^;)
今回は全て沖縄でのお話し。
沖縄も京都とは違う異世界への入口がそこかしこに
さりげなく口を開けてるって感じがしてます
その期待を十分すぎる程に淡々と時に優しく時に不気味に
時に理不尽に異界へと誘います。
これが好きなんですよぉ~
7つの不思議なお話です。
「クームン」と「私はフーイー」がお気に入りです。
「弥勒節」
この島では、臨終の際にユタが弥勒節を胡弓弾いて死者を送る。
ある日、遠くから楽器の音が聞こえて来て、馬が反応したので
音の方へ寄っていくと、海から来たという老婆がいた・・・
「クームン」
クームンについての記憶はいつも曖昧なのだが
お化けを見たと言ったら、それはクームンだと言う。
もじゃもじゃの頭に着物を着た男である。
私はクームンの住処を訪れ・・・
「ニョラ穴」
誤って人を殺してしまった私は、にいにいのアドバイス通り
無人島に渡った。
しかし、そこには別の男がいて、洞窟には謎の生き物が・・・
「夜のパーラー」
仕事帰りに遊び心で細い道に入ったら迷ってしまった。
薄暗い林の奥には赤い提灯が灯っていて、パーラーだった。
店内には若い女がいて、オバアと暮らしているらしいが・・・
「幻灯電車」
深夜に走るお化け電車。
私達家族は、一度だけお化け電車に乗ってしまったことがある。
その時は、無事に降りることができたのだが、その後
お化け電車を見ることはなかったのだが・・・
「月夜の夢の、帰り道」
遊びに行った集落の祭りの時、一人民宿に戻った少年は
得体のしれない女と、その後ろにうつろな目をした男を見た。
唐突に未来の話をする女は・・・
「私はフーイー」
漂着した小舟に乗っていた異国の女は島の人に受け入れられた
やがて結婚し、子供も生まれがた、蛇に噛まれて倒れた
しっかりと生きていればまた会えますと言葉を残して
息絶えたが・・・
7つの異界を楽しんで、最後の解説を書いているのが
黒 史郎氏でしたよぉ~