
ページ数:382p
発売日:1994年06月
世界初の脳移植手術を受けた平凡な男を待ちうけていた過酷な運命の悪戯!
脳移植を受けた男の自己崩壊の悲劇。
平凡な青年・成瀬純一をある日突然、不慮の事故が襲った。
そして彼の頭に世界初の脳移植手術が行われた。
それまで画家を夢見て、優しい恋人を愛していた純一は、
手術後徐々に性格が変わっていくのを、自分ではどうしょうもない。
自己崩壊の恐怖に駆られた純一は自分に移植された
悩の持主(ドナー)の正体を突き止める。
--------------------------
産業機器メーカーの工場勤務で、「お利口さん」と呼ばれている成瀬。
不動産屋で強盗に遭遇し、頭を打ちぬかれたものの
脳神経外科の権威と言われる堂元教授の脳移植手術を受け
奇跡的に回復したのだが・・・
絵を描くことが好きで、美人ではないけれど恋人と過ごす時間に
幸せを感じていた成瀬だったが、最初はわずかな自分に対する
違和感も、自分でもはっきり意識できるくらいに変化していく。
気のせいではすまないと感じた成瀬は、必死の抵抗を試みるが
無駄な抵抗だと悟ってしまう。
少しずつ変化していく自分への恐怖が結構リアルで
その変化の具合が堂本教授と、成瀬の恋人である葉村恵の日記で
外側からみた成瀬の変化が伝えられるので
そのドキドキ感はたまらなかったです。
ドナーの正体については、早い段階でわかっちゃったけど
それでどうなるのか想像がつかない。
成瀬のドナー探し部分も、読んでいてハラハラしました。
教授達はドナーの正体を明かさないが、それこそが
ドナーの正体を言い当てている。
ドナーに自分を乗っ取られない為に成瀬が下した決断とは・・・
堂本教授のバックにいる権力者に吐き気がする
そして脳神経外科の権威と持ち上げられながらも
結局そういう輩は人体実験がしたいんだろう
そういう奴らに対しては、ザマーミロと思ったし
成瀬にしてみたら、悲劇ではあるけれど、最後の選択だけは
なんというか、ある意味ハッピーエンドなんだと思う。
色々と考えると重い内容なんだろうけど
リアルなハラハラ感が最後まで続いて飽きませんでした。
いやぁ~東野作品は、まだ数冊しか読んでないけれど
今のところ外した作品はないので、また別のを読んでみよう。