五人姉妹/菅浩江 | mokkoの現実逃避ブログ

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五人姉妹 (ハヤカワ文庫JA)/菅 浩江
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発行年月: 2005年01月
サ イ ズ: 372P 16cm

バイオ企業を率いる父によって、成長型の人工臓器を埋め込まれた葉那子には、
臓器スペアとして4体のクローンが用意されていた。
やがて無事に成長した彼女は、亡き父の想いをもとめ“姉妹”との面会を果たすが…
クローン姉妹の複雑な心模様をつづる表題作、
『永遠の森博物館惑星』の後日譚「お代は見てのお帰り」など、
先端科学が生みだす心の揺れを描いた9篇。
“やさしさ”と“せつなさ”の名手による珠玉の作品集。
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二度目ましての作家さんです。
前に読んだ『永遠の森博物館惑星』で大感動したので
こちらもかなり期待していたんですけど
芸術にこだわり抜いた前作に比べると感動度が
若干少なかったように感じます。
それほど前作が良かったってことですけど(^◇^;)

今回はそれぞれに設定の違う短編ばかりなのですが
すれ違う思いというか、かみ合わない思いというか
それぞれがお互いの事を考えているのに
それが伝わらないジレンマが最初にあって
結構毒を含んでいたりするんだなぁ

で、後から込み上げてくる優しさとか切なさが
ジワーっとにじみ出てくるような感じです。
伝わった時に主人公達が感じるものが何なのか。
ただ、それが幸せであって欲しいと思わせるのですよ。
近い将来、現実に起こりそうなお話ばかりでした。

「ホールド・ミー・タイト」で小躍りして
「KAIGOの夜」で驚いて、「賤の小田巻」で泣いた。
余韻の引き方もよかったなぁ~(*´◇`*)

「五人姉妹」表題作
社長である父によって、成長型人工臓器を埋め込まれた葉那子
臓器スペアとして別の家庭で生活してきたクローン4姉妹と
面会したのだが・・・

「ホールド・ミー・タイト」
もうすぐ30歳になる松田向陽美。
現実と仮想空間をうまく切り替えて生活していたのだが
現実での恋は、作り物では埋められなくて・・・

「KAIGOの夜」
人類が楽をする為に作られた<中枢>
中枢が開発した最新のロボットは、介護されるロボットで
二人の青年は、そのロボットを世話する人を取材に行くのだが・・・

「お代は見てのお帰り」
『永遠の森博物館惑星』の後日譚
両親のせいで大道芸に偏見を持ってしまった科学者が
出張で博物館惑星アフロディーテに息子を連れてやってきたが
息子に本物の芸術を見せようと思っていたのに
よりにもよって大道芸人フェスティバルが催されていた・・・

「夜を駆けるドギー」
マシン・ペット「どきどきドギー」シリーズに仕込まれた秘密と
人間嫌いの主人公コープスとハッカーHANZの友情を描いた作品
アンソロジーNOVEL21 少年の時間の中の1作として
読んでました。

「秋祭り」
土壌管理や機構制御技術の整った大規模農場プラントに
後継者の募集に応える形で応募したムサシと絵衣子。
5日間の見学が終わり、秋祭りを見た後に返事をすることに
なっていたのだが・・・

「賤の小田巻」
大衆演劇の役者である父が、AIターミナル入りした。
最後の演目に選んだのが古典舞踏である「賤の小田巻」
これは跡を継がなかった息子への皮肉?
ちょっと歴史「賤の小田巻」

「箱の中の猫」
東京-大阪間の直線距離で恋愛をする二人。
しかしその距離は、地上と宇宙の間の距離で
通信手段がトラブルによってタイムラグが増え続け・・・
「シュレディンガーの猫」を題材にした恋愛モノです。


「子供の領分」
記憶喪失の僕は人の役に立ちたいと願うのだが
周りの人は、それは変だと哀れむ。
それでも自分の気持ちを貫いた時・・・

永遠の森 博物館惑星 (ハヤカワ文庫JA)/菅 浩江
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