残穢(ざんえ)/小野不由美 | mokkoの現実逃避ブログ

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残穢/小野 不由美
¥1,680 Amazon.co.jp
サ イ ズ: 335P 20cm

怨みを伴う死は「穢れ」となり、あらたな怪異の火種となるのか──。
畳を擦る音が聞こえる、いるはずのない赤ん坊の泣き声がする、
何かが床下を這い廻る気配がする。
だからあの家には人が居着かない──
何の変哲もないマンションで起きる怪奇現象を調べるうち、
浮き上がってきたある「土地」を巡る意外な真実。
著者九年ぶりの五〇〇枚書き下ろし、戦慄のドキュメンタリー・ホラー長編。
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久しぶりの新刊に小躍りしている主上ファンは多いだろうなぁ~
ただ、ホラーという架空の物語を期待した人には
戸惑いがあるのかもしれない。

読んでいて「ゴーストハント」や「緑の我が家」を連想します。
内容的にはリアルゴーストハント「調査編」という感じかな?

手紙が縁で付き合いの続いている女性から「部屋が変だ」と連絡が来た。
誰もいないのに畳を何かでサッと擦る音が聞こえる。
ところがマンションの別の部屋でも同じ現象が・・・
マンションの部屋やマンション自体には過去に事件は無かった。
調べていく過程で土地をめぐる因縁が浮かび上がる。

更には隣接すり建売住宅区域でも人が居つかない家があり
赤ん坊の泣き声や、床下を這い回る何かの気配があるという。
怪異があるからには原因があるはず。
調査は、建物周辺の土地の過去を探るところから始まり
そして、ある地方の最大級の怪談にぶち当たった。
それは触れてはいけないものだった・・・


本作の語り手は、どう考えても著者でしょう。
小説家で旦那様も小説家。そして昔、ティーン向けに
ホラー小説を書いていたって言うんだもの。

時間経過が本当であれば調査に8年ほどかかっている。
しかも戦前戦後どころか明治時代まで遡ってるし・・・
この執念には恐れ入った。
調査方法なんて、安原少年を彷彿とさせるような手際の良さだし、
協力者には実在のホラー作家が2名登場している。
更に、著者が体調を崩しているという話を聞いていたけど
その理由も書かれてるんですよぉ~

そしてゴーストハントでも大いに楽しませてくれた薀蓄や
怪異に対する考え方。
ナルに言わせていた考え方は、やはり著者の姿勢だったのね。
ここでもそういう姿勢や薀蓄がたくさん出てきます。
更に、同時発売されている「鬼談百景」の執筆準備を思わせる
内容の事も書かれている。

問題は、これが事実かということだ。
見聞きするだけで伝染するというのなら、読者は感染することになる。
けれど、怪談でも触れてはいけない部分に関しては
伏せられているというから、これもそうなのか?
過去を辿っている時に出てくる事件が
実際に記憶している事件なんかもあるから
余計に事実じゃないの?って思ってしまいます(^◇^;)
これは「お見事♪」と褒めるところなのか?

そして知れば知るほど怖くなる。
怪現象が怖いというよりも、その仕組みが怖い。
残穢とは、浄め切れずに、もしくは祓いきれずに残った穢(けが)れ。

恨みをともなう死は穢れとなる。
穢れは怪異となり、伝染し、拡大する・・・


小さい時に、こういう遊びをしていなかったか?
鬼ごっことは明らかに違う遊びだったと記憶している。
触れると伝染するから、触れられないように逃げ回る。
鬼ごっことは違い、そこには少なからず恐怖があった。
逆に、誰かを追いかけて、触れて感染させた時には
「1・2・3 断ち切った」と言って
指で印を結んでいなかったか?
そんなことを思い出した。

最後に・・・本文から引用・・・

怪異を畏れるなら最初から近づくべきではない。
近づいたせいで何か起きたら、それは怪異のせいではなく
あえて近づいた自分のせいだ。



大満足の1冊でした。
しかし、よりにもよって引越して1ヶ月のタイミング
色々と考えてしまいそうだなぁ~
しかも明日からオカンがまた弟のところに行くし・・・
ちょっとビビってる?(^◇^;)

さて、鬼談百景を読むぞо(ж>▽<)y ☆