二十年間も使って来たTVがダメになって、一昨年に買い替えました。
新しいTVはネットにつながるので、YouTube が見れるようになり、おかげで近ごろは、模型づくりのほうはさっぱりで、模型製作、とくにジオラマ製作の動画などを見て過ごす時間が多くなりました。
そうした動画の中に、冬季迷彩のティーガーⅠを製作するものが幾つかあって、これには、めずらしく心惹かれました。
ティーガーⅠは「初期型」が硬質かつ精悍な印象で、いちばん好きなのですが、冬季迷彩もまたジャーマン・グレーの車体に施されたものが、やっぱり精悍な感じで、いいですね。
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ということで、「ジャーマン・グレーの冬季迷彩ティーガーⅠ〔初期型〕」を製作してみようかと思います。
さて、ジャーマン・グレーのティーガーⅠ〔初期型〕と言えば、まず思い浮かぶのは、これでしょう。
タミヤのこのキットをジャーマン・グレー下地の冬季迷彩に製作する動画なども、けっこうありますね。
しかし、第503重戦車大隊所属のこの「332号車」、じつは初めからダーク・イエロー色だったみたいです。
1943年の2月には、戦闘車両は車体色を「ジャーマン・グレー」から「ダーク・イエロー」に塗り替えるよう通達が出されたそうで、それ以前から冬季戦線に投入されていたティーガーⅠだけがジャーマン・グレー色の車体になるようです。
しかし、それに該当するティーガーⅠは、じつは「初期型」ではなく、それ以前の「極初期型」あるいは「最初期型」だったようで、近年のリサーチではジャーマン・グレーのティーガーⅠというのはこんな感じの冬季迷彩だった、とのこと。
冬季迷彩を施されたジャーマン・グレーのティーガーⅠというのは、基本的に(Ⅲ号、Ⅳ号戦車用のゲベック・カステンを付けた)「最初期型」?のようです。
ただ、上の図の「502重戦車大隊1号車」のティーガーⅠだけは、「初期型」だったとのこと。
べつの資料(別売りデカールの説明書き)には、この1号車のみ「初期型」だとはっきり書かれています。
1号車にだけ「初期型」(early production) と記されています(赤い丸印の箇所)が、2,3,4号車はいずれも「極初期型」(initial production) となっています。
うえの画像のさいごの三両のティーガーⅠは、面白いことにジャーマン・グレーの上に応急的に?かなり雑に、ダーク・イエローが塗装してあります。
これは1943年初頭に大隊に到着した初期型が、冬季迷彩される暇もなく、通達によって慌ただしく現地でダークイエローを上塗りされたもの、と見ることもできます。
現地で冬季迷彩がほどこされる時期に、ジャーマン・グレーのままの「初期型」が大隊に送られることはほとんどなかった… (むしろジャーマン・グレーの「初期型」は、冬季迷彩がもはや必要ない時期に大隊に来て、すぐにダーク・イエローに上塗りされた…)のでは?という気もします。
あくまでも憶測の類いですが…。
どうやら「ジャーマン・グレーのティーガーⅠ:冬季迷彩」は、ゲベックカステンを持たない「最初期型」か、北アフリカに送られたティーガーⅠとおなじ「極初期型」がほとんどだった… のかも。
しかもその冬季迷彩は、車体のあちこちにジャーマン・グレーを残した、変則的なものだった。
全面ホワイトの冬季迷彩が施された「初期型」のティーガーⅠは、じつは基本色(下地色)がジャーマン・グレーではなくて、ダーク・イエローの車両だった… のかもしれません。
つまり、冬季迷彩された「初期型」のティーガーⅠというのは、1943~44年にかけての冬の時期のもの(で、下地の車体色はダーク・イエロー)だった、ということですね。
ということで…
《ジャーマン・グレーのティーガーⅠ〔初期型〕の冬季迷彩車両》を製作したい… という望みは、あえなく潰えました。
しかし、やっぱりティーガーⅠの初期型はジャーマン・グレーのものが、(いかにも「鋼鉄製の塊」という感じがして)精悍で、カッコいいですね。
それにしても、下の図のような、ジャーマン・グレーの初期型車体のタイガーⅠというのは、ホントに無かったんだろうか…。
1943年早春に現地部隊に送られたタイガーⅠで、ダーク・イエローに上塗りされるまでの短いあいだ、ジャーマン・グレーのままの、あるいは冬季迷彩された、下図のような「初期型」車両は、やはりあった… のかも。