NECOS製という、ボクらの夢 | 上条武術研究所

上条武術研究所

プロレス・サンボ・合気道を経験。
月刊秘伝読者。
○現在の活動
・自宅ジムを開放(不定期)
・武術系、介護系の同人誌制作

久々に『闘道館』の通販サイトで買い物をしました。


鈴木健三氏の出版イベントの会場が闘道館だったもので、そこからなんとなく闘道館で買い物しようかな~と思ったもので。

あ、闘道館を知らない方に説明すると、現在の日本最大手と言えるプロレスショップですね。


で、プロレスのマスクで買おうと思ったんです。


そしたら、『NECOS製スタンプ付』というブランドがあったんです。


プロレスマスクにおける【◯◯製】の◯◯には、マスク職人の名前だったり、通称だったり、ブランド名だったり、メーカー名だったりが入ります。

あとは、職人名以外にも、レスラー本人が作ったマスクの場合は『本人製』、メキシコのお土産品だったりすると『メキシコ製』と地名が入ったりします。メーカー不明とかタグなしなんて表記の場合もあります。


誰が作ったかも、プロレスマスクの価値を測る一つの項目なんですよ。


だから、NECOSというのは、マスク職人の名前です。


ただ、パッと見て、お世辞にもクオリティの高い縫製ではないんです…。



いや、一般的な感覚で、身近にこのマスクを作る人がいたら、間違いなく【器用な人】なんですけどね。



そう言えばですね…7~8年前に、そういうマスク職人がいるという話をチラッと聞いたことがありました。

【スタンプ付】と書いてますが、普通はタグなんですよ。でも、その人の場合はタグではなく、代わりにマスクに直接、猫のマークのスタンプを付けちゃうスタイルらしくて、当時はまだNECOSという名前ではなかったと思います。


でも、他には真似できない独特なセンスもさることながら、膨大な量のマスク製作を続けていたのでしょう。


ついには、通販サイト内にNECOSというブランドが確立されていました。

もう、アートとかの部類なんですよね、色使いが。NECOS製は、プロレスのマスクとして楽しむものでなく、NECOSの作品として楽しむのが正しいと思います。



私もプロレスのマスク作りは趣味でやっていますが、気が向いたら時やちょっと欲しいマスクがある時に作る程度です。

自分の作品が、ブランドとして確立されるところまで向上させていく…この継続とか活動量とか言うのでしょうか、簡単に真似できるものではありません。凄いなと思います。

良いものを見ました。




おまけ。


プロレスマスクのブランドの一覧です。まとめてみました。そう!一回、これをまとめたかった。

ボクもあまり詳しいわけではないので、間違っていたらスミマセン。ざっくりとこんな感じかと…。



~本場メキシコ編~


・ロペス製…初代ラルヌフォ・ロペスは元々靴職人。ルチャリブレの4分割のマスクを開発した人とされている。ちなみにロペス一家は家業としてマスク製作をしており、分業制を取り入れていたため、時期によっては、これはロペス1世が作ったとか2世が作ったとか、誰が作ったのかを明確に判断できないとか。


・マルチネス製…最古のマスクメーカー。初代アントニオ・マルチネスは、アレナメヒコ付近でスポーツ選手のシューズやコスチュームなどを作っていた。ロペスと同時期に活躍したマスク職人で、メキシコで初めてマスクを作成したのがマルチネスと言われている。また、アーティスティックなロペス製のデザインに比べるとマスクのデザインは単調と言われている。

郊外のマスク職人・ロペス、都会のマスクメーカー・マルチネスみたいなイメージが解りやすいかと…。


・プエブラ製…ロペスに憧れてプロレスのマスク職人を目指した職人。なので、プエブラ本人も自身を第三の職人(ロペスとマルチネスの壁は越えられないという意味)と語っている。ちなみにプエブラというのはメキシコの都市の名であって、職人の名前はロドリゲス。何故か地名で呼ばれる。ロペスのマスクがアーティスティックなら、プエブラのマスクは良い意味で工業製品のような均一性があると言われる。


・ブシオ製…老舗メーカーの1つ。ブシオ製と一言に言っても、初代、二代目、孫ブシオ製があり、時期によってマスクの出来も様々と言われ、製作時期によって

他のメーカーと比較すると出来は良くないと評価されることもある。なお、会場で売る子供用マスクこそがブシオ製の得意分野。


・ローリン製…ロペス・マルチネスよりは後発であるが老舗のマスクメーカー。縫製技術は史上最高と言われ、2周目のステッチの間隔を1周目に合わせられるほどの高い技術を有し、【神】とも称される。ローリン製を愛用するレスラーは多かったとのこと。


・ラウルロメロ製…元々はサラリーマンをしていたが、マスク職人の夢を諦めきれず、転職。丁寧な作りと定評がある。


・ケンドー製…ルチャドールであるケンドー製作のマスク。レスラーでもあり、マスクメーカーでもある。


・メキシコ製…ルチャリブレの会場では個人でマスクを売っている人達がいますし、メキシコ雑貨のお店でも、無版権の手作りマスクが売られていたりします。これらをまとめてメキシコ製と呼びます。縫製は雑なものが多い。ただ、そのおかげでプロレスのマスクを安く手に入れることができるので、私は有難くもある。あと、製作者がわからないものは、とりあえずでメキシコ製に分類されるが、実はそれがブシオ製だったなんてこともあったりする。



~我らが日本編~


・OJISAN製…初代タイガーマスクのマスクを手掛けた日本を代表するマスク職人・豊嶋氏の工房で製作されたマスク。豊嶋製とも言われる。オジサンなのは、マスク工房を開放して製作していたら、近所の子供が集まってきて「おじさん、おじさん。」とよく言われていたから。


・SIMA製…プロレスコスチュームを手掛けるSIMAスポーツ製のマスク。ちなみに代表は豊嶋氏。【シマ】は豊嶋のシマ。


・IMAI製…古くから日本人マスクマンを多く手掛けるメーカー。代金未払いの問題でグレートサスケと裁判をしたメーカーと説明したらよいでしょうか…。


・CACAO製…プロレスラーのマッチョパンプこと、もしくはミステルカカオこと梅本氏のマスクメーカー。覆面屋工房のサイトとかお洒落。


・YN製…中村之洋氏のメーカー。現在、初代タイガーマスクの専属のマスクメーカー。つまり、唯一のオフィシャル。ちなみに之洋氏の兄はUSA修斗代表の中村頼永氏。


・マニア館製…今はなきプロレスマニア館製のマスク。中村之洋氏以前のタイガーマスクは、こちらがオフィシャルだった。僕が高校生くらい頃のプロレス雑誌に広告をよく出していたので、そのイメージが強い。小林製とも言われる。


・脇海道製…東海プロレス代表、脇海道氏製作のマスク。脇海道氏のマスク作りのきっかけは、お客さんに頼まれたマスクをどこかの業者に発注したら、納期までに届かず、自分で作って納品したことかららしい。


・ポピー製…初代タイガーマスクのデビュー戦で急造されたお粗末なマスク。スポンサーがポピーだった為、ポピーの玩具製造のノウハウで作られたマスクだと長らく勘違いされていたので、ポピー製という言われていた。しかし、後年に実は新日本プロレスがどこかの業者に発注したものだったことがわかり、ポピー製のマスクなんてものは存在しないことわかった。



ザックリとこれくらいを覚えておけば、普通のプロレスファンからすると、プロレスのマスクに詳しい人になります。

年代によるタグの違いとかになると、僕の知識ではわかりません。