The Unbearable Weight of Massive Talent(2022 アメリカ)

監督:トム・ゴーミカン

脚本:トム・ゴーミカン、ケビン・エッテン

製作:ニコラス・ケイジ、マイケル・ナイロン、クリスティン・バー、ケビン・チューレン

撮影:ナイジェル・ブラック

編集:メリッサ・ブレザートン

音楽:マーク・アイシャム

出演:ニコラス・ケイジ、ペドロ・パスカル、シャロン・ホーガン、アイク・バリンホルツ、アレッサンドラ・マストロナルディ、ジェイコブ・スキピオ、ニール・パトリック・ハリス、ティファニー・ハディッシュ、リリー・シーン

①ニコラス・ケイジによるニコラス・ケイジ映画!

かつてのハリウッドスター、ニック・ケイジ(ニコラス・ケイジ)は借金を抱え、望んだ役ももらえません。妻オリヴィア(シャロン・ホーガン)とは別れ、娘アディ(リリー・シーン)との仲も上手くいかず。失意の中、俳優引退を決意するニックですが、ある大富豪の誕生日パーティーに出るだけで100万ドルというオファーを最後に受けます。スペインへ飛んだニックは、彼の大ファンである大富豪ハビ(ペドロ・パスカル)と出会い、意気投合。親友になっていきますが、ハビが犯罪組織のボスだと睨むCIAから、スパイになることを要請されてしまいます…。

 

ニコラス・ケイジが自分役を演じ、ニコラス・ケイジとして犯罪組織との戦いに巻き込まれていくアクション・コメディ。

「出オチ」みたいな映画ですが。

アクション映画として非常に見応えがあって、楽屋落ち部分も品があって気持ちよく、とても面白いコメディになっていたと思います!

 

「マッシブ・タレント」って、いまいち記憶に残らないタイトルで損してる気がしますが。

原題"The Unbearable Weight of Massive Talent"を訳すと「膨大な才能の耐え難い重さ」

むしろこのタイトルの方が人目を引いたんじゃないのかな。

 

②ニコラス・ケイジへの自虐と愛情がたっぷり!

ニコラス・ケイジ。コッポラ家のボンボンで、若い頃にアカデミー賞もらうエリートで、かと思えば大味なブロックバスター映画ばかりに主演し、結婚と離婚を繰り返し、スーパーカーを買い漁り、浪費癖が高じて破産して、借金返済のためにB級映画に出まくって…という波乱万丈。

典型的なダメなハリウッドスターって感じだけど、なんか憎めないんですよね。不思議と愛されてしまう。

 

そんなニコラス・ケイジを本人自身がいじりまくる自虐ギャグが満載なのだけど、同時に愛情もたっぷりなんですよね。

ニコラス・ケイジが好きで好きでしょうがない富豪が出てくるのだけど、これはきっと作り手自身の姿なんでしょうね。

 

次々と言及されるニコラス・ケイジの映画。

自分だったら…とか考えちゃいますね。

まず思い出すのは、デヴィッド・リンチの「ワイルド・アット・ハート」

それから本作でも何度も出てきたみんな大好き「フェイス/オフ」

個人的に好きなのは「スネーク・アイズ」ですね。

アクション俳優が半分、性格俳優が半分みたいな感じで、大味なアクションから作家系の映画まで、出てる映画の振れ幅も結構大きいのですよね。

 

最近は上記の通りB級映画の出演が多くなっていて。

本ブログでは「マンディ 地獄のロード・ウォリアー」「プリズナーズ・オブ・ゴーストランド」のレビューを書いてます。

「マンディ」面白かったよ。

 

ペドロ・パスカル演じるハビが憧れのニコラス・ケイジに会えて、ドキドキしてめちゃくちゃ嬉しい…というのが伝わってきて、とても微笑ましい。

最初やさぐれてるニコラス・ケイジも好きな映画談義で盛り上がって、すっかり楽しくなっちゃう。その気持ちわかりますね。

「パディントン2」がキー映画になっていて。二人でパディントン2観て号泣する。めっちゃ観たくなります。

③後半のアクションも楽しい!

映画の半分くらいはそんな感じで、ニコラス・ケイジとペドロ・パスカルのおっさん二人が嬉しそうに仲良くしてるのをただただ愛でる…という。

ハビが犯罪組織のボスだという疑惑で、ニコラス・ケイジがCIAのスパイにさせられる…というサスペンスになっていくんだけど、それでもやっぱりわちゃわちゃは続く。

 

後半はさすがにアクションになっていくけどね。基本的には、本作はニコラス・ケイジとペドロ・パスカルの変則バディムービーですね。

せっかく友情が深まったのに、敵対する関係になっていく…というジレンマもあるんだけど。そこは「RRR」みたいなシリアスなものではなくて、あくまでもゆる〜いコメディに徹しています。

 

それでも後半、家族を守るためにニコラスが立ち、ハビも誇りを取り戻すために頑張る…というところでは、ついつい熱くなってしまいます。

銃撃戦カーチェイスもあって、それぞれそこまで派手なものではないけれど、必要十分、よく盛り上がる。

 

映画でアクションヒーローを演じるニコラス・ケイジが、本人のままで本当にアクションヒーローになっていくという構図なんだけど、ニコラス・ケイジならそうなっても不思議はないか…なんて思える。

無茶な話なのに、なんか観てて自然に思えちゃうんですよね。それもニコラス・ケイジならではですね。

 

というわけで、ニコラス・ケイジでお腹いっぱいになれる映画でした。何回ニコラス・ケイジって書いただろ。

ニコラス・ケイジに興味ないよ!という人も、コメディタッチのアクション映画としてとても出来がいいので、ぜひ観てみてはいかがでしょう。

 

 

 

カルト教団相手に、ニコラス・ケイジがチェーンソーで大暴れ。これもニコラス・ケイジファン映画ですね。

 

 

映画を観たら絶対観たくなるパディントン2。ニコラス・ケイジの映画じゃなくて…という。

 

Twitterはこちら

 

Discover usという映画マガジンで映画コラムを書かせてもらうことになりました。よろしかったらこちらもどうぞ。