前回の記事で挨拶するのを忘れてた。2023年ですね。
あけましておめでとうございます。今年もボチボチと映画観て思ったことを書いていきますので、よかったらよろしくお願い致します。
というわけで、前回(20位〜11位)の続きです。
10位 NOPE/ノープ
ジョーダン・ピール監督の空飛ぶ円盤SFホラー映画…に見せかけた、空の大怪獣映画。
観客の思い込みを上手く誘導して、意外な展開で思わぬ地平に連れて行かれてしまう。
いかに驚かせようかと常に工夫を凝らしている、ジョーダン・ピール監督のサービス精神はいつも大好きです。
9位 リコリス・ピザ
「マグノリア」にノックアウトされて以来、常に追いかけてしまうポール・トーマス・アンダーソン監督。今回はスマッシュ・ヒットでした。
ここのところ重厚な作品が多かったのだけど、初期の「ブギーナイツ」の味がある軽快な青春映画。派手なことは何も起こらないけど目が離せない映画で、タランティーノの味わいもある作品でした。
8位 マイ・ブロークン・マリコ
タナダユキ監督、永野芽郁主演の漫画原作の青春映画。
あまり当たりの作品に恵まれていなかった(と個人的には思う)永野芽郁さんの代表作と言える作品なんじゃないでしょうか。
スピーディーで、ワイルドで、それでいて繊細な、疾走感ある青春映画でした。
7位 LAMB/ラム
アイスランドの異色ホラー?ファンタジー?映画。
民話とかフォークロアとかいうのがしっくりくる感じでしょうか。
既に選んだ「チタン」や「MEN」などに比べて、極端に目を引くぶっ飛んだシーンはないのだけど、ヘンさという点では、本作がいちばんヘンだった気がします。
6位 MEMORIA メモリア
「ブンミおじさんの森」「光りの墓」のアピチャッポン・ウィーラセタクン監督が、コロンビアを舞台にティルダ・スウィントン主演で撮ったジャンル不明のスピリチュアル映画。
これは…非常に難解なのだけど、めちゃくちゃ好きな映画でしたね。
森の映画。ジャングルの音と湿度に包まれて、たとえ寝なくても深い睡眠をとったような心地よさが得られる映画です。それはもはや映画なのか…という。
5位 ケイコ 目を澄ませて
三宅唱監督、岸井ゆきのが生まれつき耳の聴こえないボクサーを熱演。何というか、いい映画でしたね。
饒舌に語らない。ただ、画角と音響とタイミングで語っていく。映画ですね。素晴らしかった。
4位 LOVE LIFE
深田晃司監督、木村文乃主演、矢野顕子の曲をモチーフにした家族ドラマ。
とてもしんどい映画で、何度も観るかと言われると躊躇するのだけど、子供を亡くした主人公が巡り巡ってたどり着く、韓国の結婚式のシーンの「とんでもなく遠くにきてしまった感」は、凄まじいものがありました。ベストシーン賞。
3位 犬王
湯浅政明監督の、室町時代の能楽師を描くアーティスティックなアニメ映画。
工夫を凝らした美しい表現の数々が、素晴らしかったですね。多様性という今日的なテーマも、エンタメの中に昇華されていて。
アナーキーでカオスで、お祭りのように高揚するロックオペラでした。
2位 さかなのこ
さかなクンの自叙伝を、沖田修一監督、のん主演で映画化したほのぼのコメディ。
ゆるーいコメディなんですけどね。やってることは極めて実験的だと思います。
自分の好きを人に伝えることで、みんなが幸せになっていくという、さかなクンのスタンス。でもそれをそのまま映画にしても、ナイーブすぎて信じられないものになってしまうと思うのです。
そこに実験的な冒険を持ち込むことで、映画として成立させてる。見事だと思いました。「好きを貫く生き方」も、憧れでしたね。
1位 女神の継承
なんか振り幅激しいですね。タイのモキュメンタリーホラー映画です。
これはもう、ひたすらにただ好き…な映画でした。
擬似ドキュメント調なのに、まったくドキュメンタリーに見えない…という、構造的に致命傷とも言える欠点を持ってるにも関わらず、そんなの全然気にならない。ホラーの突き抜けっぷりで感動してしまう映画でした。
あらためて順位をつけて書き出してみると、ハリウッド映画の衰退というのを強く感じます。配信ばかりに向かわず、映画館で復調して欲しいものです。
2023年も、洋画も邦画も、思い切った突き抜けた映画を楽しみにしたいですね。