【邦画】 正欲 | ROUTE8787 サンサクキロク

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正欲 /日本

2023年製作 134分 NETFLIX 

2024年20本目 ☆4.2

歩き慣れたこの世界は、どう見えるのかな―― 不登校の息子が世間から断絶されることを恐れる検事の啓喜。ひとつの秘密を抱え、自ら世間との断絶を望む寝具販売員の夏月。夏月の中学の同級生で、夏月と秘密を共有する佳道。心を誰にも開かずに日々を過ごす大学生・大也。自分の気持ちに戸惑いながらも心に従おうと邁進する、大也と同じ大学に通う八重子。 無関係に見えたそれぞれの人生が、ある事件をきっかけに交差する。

 

原作・・・・というよりも、

朝井リョウファンです。

この原作も、勿論読了済みで、

映画化というのを聞いて、

この作品をどんな風に実写化するのかと

不安しかなかった。

 この繊細なメッセージを、

余すことなく表現出来るモンなんだろうかと。

しかも、新垣結衣がキャスティングされたと聞き、

ますます、不安しかなかったのですが・・・・

 

いや~本当に、驚きました!

新垣結衣さんが、本当に、素晴らしかったです。

新垣結衣さん演じた役は、原作では、

主役とかではなく、

本当に助演という位置づけなんですけど、

もう、主役のような存在感でした。

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ごろーちゃんも素晴らしかったけど、

正直、新垣結衣さんが、

それを完全に凌駕した・・・という

印象を受けます。

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 磯村優斗さんは、相変わらず、上手です。

どんな役も器用にこなすのに、驚きはないですが。

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どんな役でもガッキーでしかない新垣結衣さんが、

こういう演技をこなすとは・・・・

新垣さんにとって、

大きなターニングポイント作品として、

記憶に残りそうです。

 

・・・・この作品は、

来年のアカデミー対象になるのかな??

いや~総ナメしそうだけどな~。

 

内容的には、やはり原作を完全に・・ 

というのは、難しかったかな・・と

思いました。

 特に、神戸と諸橋の交流、やり取りは、

個人的に大好きな場面だったので、

そこが十分に描き切れてない感じがしたんだけど。

原作未読だと、唐突感があるんじゃないかと。

でも、演技が素晴らしかったですね。

演技の熱量で、突き進んだって感じ。

 

多様性と異端。

多様性のその向こうにある「異端」

そこにある苦悩を、きちんと描いている。

けれど、原作同様に、

題材としたのが「水」であった事に、

この作品の限界を感じた次第です。

「水」としてるけど、大きな枠では、

アセクシャルのようなものかと。

なので、自己の「癖」に加えて、

周囲からの「結婚しないのか」

「付き合ってる人はいないのか?」という

ストレスも生じてくるんですよね。

 

「多様性」とは結局、

マジョリティが決めている事であって。

そこに入り込めない、

少数派は「異端」として存在し続ける。

 「多様性」と謳われる昨今、

それが、ゴールではないんですよね。

 

極端な話、

「異端」の中には、

「小児性愛」なども含まれると思うんです。

勿論、矢田部のように犯罪はいけない事で、

問題外なんだけど。

そうではなく、本当に、

そういう「癖」を持ってしまった人も、

確実に存在しているワケで。

 そういった部分を、スルーするしかないのが、

現社会の限界なのかな??って思うし、

朝井リョウさんなら、

その辺まで踏み込むのかな・・・と

思ったら、そうではなかったので、

物足りなさはあったかも知れない。

けれど、「多様性」というものは、

マジョリティが作り上げるもの・・という点は、

非常に、新たな視点であり、

気付かされる事の多い作品ではある事に

違いはない。

 

 

原作を知らない人の評価はどうなのかな~

・・・とはいえ、本当に、新垣さんがを筆頭に、

キャスト陣の演技が光る作品でした。

 

以下、ネタバレです

稲垣さんの子供がさ・・・

ユーチューバーになるとかの話で。

 コメント欄の所・・・

「そうなんだ・・」と新たな

発見をした感じでした。

 そういう目的でコメントする人もいるんだ。

 ちょっと、勉強になりました。

 

この実写化で、密かに気になっていたのは、

「水」と「興奮」です。

 この辺りを、どんな風に描くのかな~・・・

と思っていたし、

その表現方法が楽しみだったんですが。

 

まぁ・・・・こんな感じか・

という程度でした。

でも、残念な仕上がりではなかったです。

でも、

もう一歩ほど踏み込んでもよかったかな・・と

おもいました。

それこそ、「シェイプオブウォーター」を

是非、参考にして欲しかった!!

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(サリーホーキンスの自慰行為シーンを)

でも、ガッキーにはさすがに、無理か・・・(笑)

 

 水と戯れるシーンも、美しいんですけど、

これまた「美しい彼」の水遊びシーンを、

参考にして欲しかった!

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もっと、官能的な演出があっても、

良かったのかな~と思いました。

 

 そして、キャスト陣の演技の

素晴らしさなんですけどね~。

新垣さんの、あの陰鬱な感じ。

正直、あの美しさ・あのスタイルの良さで、

そういう部分を演じれるのかって

思っていたんですよね。

 でも、滲み出る自己肯定感の低さや、

この世に、幻滅している感じが、

本当に全身から伝わってくるんですよね。

 人生に絶望しながらも、佐々木に再会して、

共に生きていく流れの変化、

そして、その佐々木が結局奪われてしまった時の

社会に対する諦め。

 この辺の表情の変化が、本当に秀逸だったので、

何なら、この部分は、原作よりも繊細に描いていたように感じるんですよね。

この2人の繋がりを、肌で感じるというか。

 

そして、磯村優斗さんも、同じく素晴らしい。

仲間がいると分かって、

テンション上がってしまう感じとか。

ああ・・・こういう時って、

本当に周りが見えなくなってしまうんだよね・・・

って共感しちゃう。

 

 ちなみに吾郎ちゃんは、

確かに「正欲」が強くはあるけれど、

夫としては、仕事をして帰ってきたら、

レンチンのご飯ばっかりでも文句を言わない、

良い夫だと思いましたね。

なので、あの奥さんには、嫌悪感しかなかった。

 

「多様性」と騒がれていて、

それを受け入れられない「正欲」

それを受け入れ、

オープンにしていこうとする「正欲」

 様々な正欲の中で、

「少数派」を抱えながら、

オープンにしたい人、

そうしたくな人。

 どちらであっても、

「自分らしくある」ことが1番。

 

自分が、その「正欲」をふりかざしていないか。

振り返る事の出来る、秀作だと思う。

 

そういえば、昨日、娘2人と喧嘩した理由は、

10時に離任式に行って、

帰ってきたのが14時だった。

 いくら何でも、帰ってくるのが遅い!!

・・・・って事で、喧嘩になったんだけど。

夫に話したら、

「なんで、アカンの??」と逆に、聞かれた。

 

「だって、離任式は、

1時間くらいで終わってるんやで。

どうせ、友達とペチャクチャと・・・」

 

「友達と話したら、アカンの?」と

更に聞かれて・・・

 

「だってだって~・・・」と言いたい事も言えなくなってしまった(笑)

 

私は、娘たちへの

「正欲」が強いのかも知れないな~

・・・・と、このレビューを書きながら

思ったりした次第です。

 

 

 

 ↑浅井リョウさんなら、この作品が、1番好きです。