【韓ドラ】遠見には緑の春③ 貧乏目線で観てみれば・・・・ | ROUTE8787 サンサクキロク

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・・・・という事で、共感の嵐だった本作品なんですけど。

 

視聴率もイマイチだったみたいなので、

人によっては、「なんだ、これ」という青春ドラマだと

思われるかも知れない。

 

・・・・と保険をかけておいて(笑)

 

 まず、何を置いても私の共感ポイントは、

 

貧しさ

 私は、人と比べて、貧乏だったという感じです。

最低限の食事だったけど、ゴハンが食べれない

・・・というワケではないし、

6畳で家族6人で住んでいたけど、家がないワケではない。

すべてのものがお下がりだったけど、学校にも行けたし。

 生活保護ではなく、非課税世帯でした。

薄給・パチンコという父親の代わりに、母親が内職で身を粉にして働き、

何とか生活出来ていたという感じです。

 私が看護師として働きだして、給料を全額、家に入れるようになってから、

生活が安定してきた感じです。

 

 私や姉が結婚して家を建てると、

母親がいつも言う台詞が、

「この玄関、昔住んでた家より広いな・・」でした(笑)

大袈裟でなく、そんな感じなんですよね。

 

そういう貧乏体験で培われるのは、

劣等感と、羨望と、羞恥心と、変なプライド。

 

だからスヒョンの気持ちが、凄く分かるんです。

ジュンを見ていると、自分がとても惨めになる気持ちが。

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 水筒一つにしても、水筒にストロー(←流行っていた)

がついているのが羨ましかったし、

魔法瓶になっているのが、羨ましくて。

 私は水筒なんてなかったから(給食の牛乳だけ・・・あと隠れて水道水)

体育の後とか、冷たいお茶を飲むのを眺めて、

喉がゴクリ・・・となる鳴るワケです。

 高価なものを羨むというのではなく、水分を摂るという最低限の

欲求を羨むというのは、貧乏を骨身に感じる瞬間ですよね。

 

その惨めさを隠すために、「自分は一人でも平気」という

スタンスを取ってしまう。

 私は、図書館に籠り、読書や妄想で、そういうネガティブな感情を

無いものにしたり、何とか自分の人生の意味付けをしていたように思います。

 だからスヒョンが、勉強やバイトに没頭するのも分かるし、

「人とは違う生き方」をしている・・・・という妙なプライドが生まれてしまうのも、

理解出来るんです。

 

 そして、貧乏経験から育つものは、「羞恥心」だと思うんですよね。

人の飲み物を欲しがる・・・・という事は、ひどく恥ずかしい事のように感じます。

こういう経験を繰り返すウチに、「羞恥心」に過敏になっていくように

思います。

 その場から、姿を消したくなるような「羞恥心」

人のものを欲しがっていると、感づかれるだけで、

もう恥ずかしくて、死にたくなる。

 そして、相手が感づいて、自分を笑ったり惨めに思っていると。

そういう思い込みが、形成されていくんですよね。

 

 スヒョンの変なプライド、被害妄想は、

かなりリアルに表現されているし、その頑固さも、理解出来るんですよね。

 

スヒョンと同じで、私にも妹がいるんですよ。

10コ離れてるんですけど。

 スヒョンは「自分はいいけど、弟を想うと・・・」っていう台詞があるんですけど。

 

私と妹は10コも違うので、

妹が中学の頃には、私が働いていたし、家計は安定しつつあったんです。

で、高校生で、妹が「バスケ部のマネージャーに入った」と聞いた時は、

腹煮えくり返る程、腹が立った記憶があります。

 私は高校で「水泳部」に入りたかったんですけど、

水着が高いので断念した経験が、けっこうな貧乏エピソードとして、

心に残ってますから、

 

「部活!!!!しかも、マネージャーって。

それは、金持ちの子がする事や!!!」

 

同じ部活するなら、人の世話よりも、自分の事をしろよ・・・・と。

そして、貧乏人からすると、部活なんて道楽の一つだったんですよね。

 

一見、スヒョンが弟を想う気持ちと逆やん・・と思ったんですけど。

でも、それって違うようでいて同じで。

 スヒョンは、弟をある意味自分の思うようにしようとするんですよね。

自分の価値観を押し付けようとする・・・という点で同じだなって。

 

貧乏を知ってるからこそ、弟には、自分の為に時間を費やして欲しい。

逆に、そういう風に思わず、

スヒョンと望む事とは違う選択をする弟は、スヒョンよりは、

心は貧しくないんだろうな・・・と推察されるワケです。

 それは、スヒョンが、一生懸命弟にそういう想いを

させないようにしてきたんだろうな・・・と考えると、泣けるんですよね。

 

スヒョンの弟を想う心が、本当に優しくて。

どんなに心がすさんでいても、スヒョンとういう人間が情に厚い事を

裏付けていて、

その優しさがジュンに向かう過程も、丁寧に描かれていて、

良かったですよね・・・・

 

 私は、学生時代に「ジュン」のような存在が出来なかったけれど。

スヒョンとジュンが、心を通わせるのには、

けっこうな時間がかかります。

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 でも、それほど、凄い事だと私は思うんですよね。

貧乏側からすると、金持ちは全く、別世界の人間で、

「苦労してない人間」と何故か、上から見下ろす経験があるからです。

 

恥ずかしながら、勉強出来る金持ちには

「塾にお金かけれるからや」と思うし、

誰にも優しい金持ちを見ると、

「お金に苦労してないから、心に余裕あるから優しく出来るねん」

と思うし、

運動出来る金持ちを見ると、

「良い運動靴やから、そりゃ、走れるやろ」

 

・・・・と。

その裏返しは、「自分も金持ちだったら、何でも出来るねん」

という間違ったプライドに拍車をかけるんですよね・・・・。

 

簡単にいうと、「金持ちは敵だ!!」「贅沢は敵だ!!」

という思い込みがあるから、そこからスタートのジュンとスヒョンの関係性は、

簡単に、出来上がったら、

それこそ夢物語なんですよね・・・・。

 

正直、これでも、スヒョンとジュンの関係性が出来上がったのは、

私からしたら夢物語なんです。

でも、ジュンの環境を知り、スヒョンは学んだんですよね。

 すべてを持っていても、幸せじゃない場合もあるって事を。

私が年を取り、色んな経験をして、やっと学んだ事を、

スヒョンは、ジュンという存在によって学んだんですよね。

 

けれど、それが特別ではないんですよね。

こうして、人間関係が自分の大きな殻を破ってくれるチャンスがあったんです。

私にも(このエピソードはのちほど、出てきます)

 でも、私の視野の狭さのせいで、それを上手くくみ取れなかったんですよね。

きっと。

 

私は、貧乏目線で、

スヒョンよりになってしまいますが、

貧乏に限らず、狭くなった視野が自分を苦しめる事があるのも、

青春時代なのかな・・・と思います。

 

 色んなフィルターを通して、見てしまうけれど、

それを通り越して、その人自身を見つめる事の大切さ。

そして、その人自身を見るという事は、

自分自身そのものを見つめ直すという事に繋がっていくんですよね。

 

 最後のシーンでは、脇役の一人一人にも

悩みや苦悩、コンプレックスがあるという事が描かれます。

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 その内容に、程度の差があれど、

何かを抱え、そのせいで、自分に鎧を作っています。

  

 こうして話すことで、「自分だけではない」と感じる事は、

視野を広げる事になり、

人そのもの見つめる事は、自分を見つめる事に繋がり、

それは、自己肯定感を高めると事になる。

 

恋や友情と輝かしい青春を描きながら、

若者の心の成長を描いた、秀作だと思います。

 

 ちなみに、私には、2コ上の姉がいるんですけど。

この姉は、私よりも更に、貧乏のキズが深そうなので(笑)

私もまた、スヒョンの弟のように、

姉によって救われているのかも知れません。