10月後半はクリスマス商戦をにらんだ新刊ラッシュで、ウンベルト・エーコ、アレッサンドロ・ピペルノが400ページを超える大作を発表。その他にもアンドレア・バヤーニ、サンドロ・ヴェロネージはファンダンゴから新作を出しました。というわけで読みたい、読まなければならない本は山づみなのですが、それらを差し置いてなんとしてでも先にチェックしておきたかったのがニッコロ・アンマニーティのIO E TEです。『ぼくときみ』。映画『ぼくは怖くない』の原作者として知られる彼は、イタリアで今もっとも人気のある作家で、その特徴はなにしろ使う言葉が簡単で読みやすいということです。今回の作品が気になっていたのは、最近別メディアで記事を書いたYAにあてはまるものだと思ったからです。『ぼくは怖くない』同様、一人の内気な少年が精神的に成長していく物語で、イタリアのYAとして日本に紹介できないかと思ったわけです。

 読んでみた感想は、好きな部分と嫌いな部分があるなということです。簡単な言葉なのに上手に少年の気持ちを描写しているなと思う箇所が多々ありました。一方文章を読んで思い浮かぶシーンがあまりにも定型の映画的すぎて、アンマニーティったら映画化される前提で文章を書いているのかしら、とも思えたところがちょっといややったかなあ。でも主人公の行動、例えばママにキスをせがんだりするあたりが、イタリアっぽくていいなと思ったし、コンドミーニオの地下室に隠れたり、粗野な若者にからまれたりという周辺描写も日本のそれにはないものばかりで、日本語に訳したらなかなか楽しいかな、と思いました!
週間イントラモエニア


週間イントラモエニア  

 ナポリのゴミ問題が解決したとベルルスコーニが宣言したのが、2008年終わりのころだったか。今2年の時を経て、再び大騒ぎになっている。結局根本的な解決にはなっていなかったということだろう。ナポリで溜まったゴミを捨て置く場所に認定されているナポリ近郊のテルツィーニョ(Terzigno)では、これ以上ゴミを積んだトラックが入ってこれないようにと道路を封鎖して日夜激しい抗議運動を続けている。(写真上)ベルルスコーニは何を根拠にしているのか「10日以内にゴミ問題を解決する」と発言。すでに3日が経ったが、今のところ何も対策が練れていない。というのは、騒動の解決の指揮をとる予定なのが民間防衛(Protezione Civile)のグイド・ベルトラーゾなのです。彼は、2008年のゴミ問題解決でも指揮をとり、その他、アクイラの地震被災地復興やG8会場建設など、国をあげた大事とあらばなんでも処理してきた男だ。そのすべての大事で架空請負など不正に金を使い込んだり、収賄したりしていたことが暴かれたのが今年の6月ぐらいか。そんな人間に、つまりは罪人に、今回も任務が課されること自体信じられないが、ナポリ側もさすがにこれは拒否し、ゆえにまったく解決対策が前に進まないわけです。


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 Teatro dell'orologioに劇を観に行きました。同居人のジュゼッペが監督した劇で、タイトルは『家にいとかなくちゃいけなかったんだよ、キンタマ野郎ども』(Dovevate rimanere a casa, coglioni)という、温厚な彼からちょっと信じられない過激なタイトルで、演出もかなり激しかったです。ネットで調べたらもともとはガルシア・マルケスの息子、ロドリーゴ・カルシアのテキストをイタリア風にアレンジして舞台化したものだそうです。

 内容ですが、これはかなり前衛的な…でも部分部分理解できるような気もする、いっしょに観に行ったタカトもそうやったんじゃないかな? 上の写真に見える5人の登場人物が、死、人間、生活と資本主義などについて順番に各々の哲学を独白していくというもの。メタ演劇って言うんですかね? 観客が席につく前、キップ売り場のロビーからいきなり劇が始まるというかなり斬新な演出でした。まさか隣に住んでるやつがこんな難解な考えの持ち主だったなんて…というのがいちばんの感想です。


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 トンマーゾ・ランドルフィ(Tommaso Landolfi)の児童小説『不幸な王子さま』を読みました。ランドルフィが子供向けにものを書いているというのがおもしろくて気になってたのですが、難解で幻想的なランドルフィの文体も影を潜め、かなり読みやすいものになっておりました。重い病気になってしまった王子さまを助けるため、お姫さまがさまざまな国を旅するというストーリーなのですが、そのさまざまな国のファンタジックな描写が唯一ランドルフィぽかったかと思います。もしくはカルヴィーノの『見えない都市』っぽかった。

 『不幸な王子さま』の肝は、お姫さまが冒険して王子さまを助けるという逆転のストーリー。いっしょに収録されているもう一つの物語も、お姫様を喰らおうと暴れまわる巨人を倒すために奮闘する若者が、巨人の秘密をつかみ、鳥の姿をした魔女を倒すと、魔法が解けて巨人が王子さまの姿に戻り、お姫さまと結婚するというお話。勇者であるはずの若者には何の得もありませんでした!というアンチおとぎ話な設定はなかなかおもしろかったです。


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Questo non e' Roma. これはローマじゃない。というポスターがあちらこちらに貼られています。手前の男がローマ市長のジャンニ・アレマンノ。後方の赤いスーツの女性がラツィオ州長レナータ・ポルヴェリーニ。で、見えにくいけどポルヴェリーニにパスタを食べさせてもらってる眼鏡のおっさんがウンベルト・ボッシです。ボッシは北部同盟のリーダーでローマに対する侮辱の言葉を公の場で発したとして、ここのブログでも取り上げました。その2,3日後にローマで会食があって、ローマが侮辱されたにも関わらず、そのときローマの長たるアレマンノとポルヴェリーニが、ボッシに対して、にこにことこびへつらう態度をとったとして批判されたのでした。その1シーンがこのポスターなんですけど、下部にあるPDってのはPartito Democraticoのことです。ようするに野党左派政党がつくったポスターなんだけど、敵対政党を批判するためとはいえ、わざわざこんなものつくるなよ…と思ってしまいます。アレマンノやポルヴェリーニも情けないけど、こんな週刊誌まがいのポスターつくって活動してるPDはもっと情けないです。