2022.12.14.テレレレレー♪のレが一個多かったので修正しました
どうもこんにちは。
今回の記事のためにThe Hexのセリフ回収などしていたのですが、ゲーム再開時に表示される文言に本編では語られない情報が入っていることも多くてやっぱやべーゲームだな……って改めて思いました。
今回はThe Hex考察という形で一本書きました。
8,000字を超えてしまったのですが、分けるには内容が半端だったのでとりあえずこのまま投稿します。
とか言いつつ後で分割するかもしれません……。
感想回はこちらからどうぞ↓
The Hex の 致命的なネタバレを含む記事 になります。
また、Inscryptionの微ネタバレを含む可能性があります。
表記方法(文字色の使い分け)について↓
目次
▶︎The Hex考察における問題提起
▶︎整理① 儀式とアーティファクト
▶︎整理② ジェレミアとGameFuna社の動き
▶︎「The Hexを開かせたのはサド」と考えてみる
The Hex感想回の時と同じく、ポータルのことをThe Hex、ゲームそのものをTHE HEXと表記します。
The Hex考察における問題提起
考えあぐね⑥⑥⑥において、「amanda=サドだとして、サドは悪魔の手駒たりうるのか?」と書きました。
今回の話はその過去に向いた延長線上のものになります。
すなわち、
レジナルドがThe Hexを開いたのは悪魔の思惑によるものだったのか。
そうだとしたら、サドがThe Hexから現実世界に飛び出すことまで計画に含まれていたのか。
今回はざっくりと「The Hexを開くこと」について整理した上で、一つ仮説を立ててみようと思います。
整理① 儀式とアーティファクト
物語最終盤、レジナルドは「プレイヤーなくして、この儀式は完成しなかった。」と述べます。
儀式(ritual)という呼び方からして何か怪しいものを感じるのですが、それはさておき「儀式」の中身を整理します。
どこからどこまでが「儀式」と呼ぶかは解釈が分かれそうです。
狭義でいうと、
「アーティファクトを起動し→
6人のプレイヤーキャラクターが手を差し伸べ→
プレイヤーが手のひらをつく※」
の一連の流れが「儀式」である
……というのは賛同いただけるかなと思いますが、
プレイヤーキャラクターの過去をプレイヤーに見せることが儀式に含まれる(=儀式の前準備として必要)かどうかは微妙なところです。
※???操作時に見ることができる壁に描かれたルーン文字には”player blessing”の文言があります。blessingを祈りと取るか、単に賛同と取るかは微妙なところ。
???の過去についてレジナルドは「この話に最後の次元を加えてくれることだろう。」とし、
???の過去を見終わったときには「これで全てを見てきただろう。君は、我々がなぜここに集まったか理解しているはずだ。」と語ります。
が、それはThe Hexを開く理由をつまびらかにしているだけであって、
儀式の準備として必要なものであったかは不明です。
感想回前編で書いたように「儀式」に怨恨は必須ではないようですし、
筆者としては「過去を見せることは儀式の一部ではない」と考えます。
で、「儀式」で大きな役割を果たすのがアーティファクト(The Artifact)。
アーティファクトは金属に似た、金色をした六角形の「何か」です。
具体的に何なのかは語られません。
サドと対峙する前にはThe Hexを開いた時に似た効果音と演出がありますが、
なぜそんなに激しく反応していたのか、なぜ収まったのかは不明です。
「アーティファクト」そのものは「人工物」を意味する名詞です。
そしてアーティファクトが本当に金属で、人工的に作り出せるものであるらしいことが伺えるのが「レジェンダリアの秘密」における鍛冶屋の小屋です。
この鍛冶屋はアーティファクトを作ることに失敗して殺されたようです(詳しくはお題箱回答を参照のこと)
ジェレミアはこのアーティファクトを手に入れるために「命懸けの任務」としてゲームワークスを襲撃します。
アーティファクトは「ゲームアイテム収納センター」の「セントラルレーン」にあるようで(ゲーム再開時の表示より)、
ゲームワークス2階での会話によると1階(ground floor)にあるようです。
ジェイが「正門を突破するためにセキュリティをハックする」と計画を確認していることや、突入したものの北に向かう道を閉ざされた時の「エレベーターに乗ることができれば…あるいは。」というジュニアのセリフからすると、
ジェレミアたちはエレベーターを本来使わない予定だった=正門のある1階から突入したようです。
ちょっと気にかかるのは、アーヴィングはジェレミアの狙いがアーティファクトであることを知っていた(分かった)かどうかです。
1階に敵が殺到したのはSWKによる爆破への対応や、ジェレミアたちが1階の宇宙船に戻ってくることを想定してのものとも考えられますし、
何より前述のゲームアイテム収納センター内には警備が入っていなかったので、
アーヴィングはゲームワークス襲撃そのものが「復讐」だと考えていて、狙いがアーティファクトだとは分からなかったのではないかな、と推測します。
さて、実際に「アーティファクト」が「盗まれ」た後にはアーヴィングは「悪い知らせ」としてライオネルに報告しています(ラザロが脱出する時に聞けるセリフより)。
そのことについて、ライオネルは「危険が迫っているかもしれない」と言われたと語っています(Walk)。
つまり、アーヴィングはアーティファクトを使うことでThe Hexを開くことができると知っていた可能性が高いのですが、なぜこんなものを保管しているのか……。
いつから存在する、どこから来た、何なのか。
整理を試みたもののアーティファクトの正体はやはり分からないままです。
ここは踏み込みすぎず、「The Hexを開くために必要なもの」という程度の認識に留めておきます。
……「そういうもの」と考える強い心を持ちます。
整理② ジェレミアとGameFuna社の動き
The Hexを開いてライオネルを殺害するという計画のため、レジナルドの手足となって行動したのがジェレミアです。
で、ジェレミアの行動を見てみると、「レジェンダリアの秘密」より前と以後では若干違いがあります。
何かというと、
「シックス・パイント・インへの案内をしているか否か」
「作品に介入しているか否か」
です。
スーパー・ウィーゼル・キッドに対しては、SWK3作中では案内をしていません。
テレレレレー♪の後に2,3言会話するだけです。
ブライスに対してもコンバット・アリーナXでは接触していません。
実際にシックス・パイント・インに招いたのはコンバット・アリーナX11リリース発表の2017年以後で、
“Working here… I don’t get many thanks.”(日本語版うろ覚え。「ここで働いているとあまり感謝されることはないんだ」)と、前から働いているらしいセリフはあるものの、シックス・パイント・インに来たのは最近のことであると思われます(詳細はInscryption考えあぐね⑥⑥⑥を参照)。
また、どちらの作品でもゲーム作品そのものには介入していません。
それに対し、レジェンダリアの秘密では船を霧の外に出してアーヴィングの手からシャンドレルとラザロを守って(?)おり、
「もしまた助けが必要になれば、とある場所... シックス・パイント・イン。そこで私を見つけることができるかもしれん。」と案内をします。
Waste Worldではラストに「血清」を使ったとされ(カタリナのセリフより。詳細は感想回中編を参照)、
「MODが排除されていく」中でラストをシックス・パイント・インに招きます。
Walkでは???をシックス・パイント・インに呼ぶ描写はありませんが、改造者を罵倒するライオネルのコメンタリー中に登場、
シーンをスキップした上、レジナルドの過去を見せるための仕掛けを用意しており、積極的に行動をしている様子が伺えます。
で、Vicious Galaxyでは、「自身の扱いに疑念を抱いている」スーパー・ウィーゼル・キッドとラザロにアーティファクトを手に入れる計画を持ち掛け、
「お前たちの助けを借りればポータルを開くことができる」としています。
キッド操作時に脱出ポッドを調べると「どうやら、ジェレミアの奴無事に脱出したみたいだな」と発言することから、
キッドとラザロはシックス・パイント・インでジェレミアと落ち合うことが事前に決まっていたようです。
演出・ストーリーテリングの都合を無視すれば、「レジェンダリアの秘密」前に何か転機があったと考えてよいのではないかと思います。
で、一方GameFuna社の動きについて。
Walkでは、GameFuna社が250万ドルでSWKの権利を買ったこと、
その後もライオネルとの契約は続いておりコンバット・アリーナのフランチャイズもかなりの額で購入したことが分かります※。
また、Walkのスタッフロールを見るとライオネル・スニル以外は全員がGameFunaの人間で、
実質GameFuna社製なのが分かります。
さらにWalkのプロデューサーはかのLou Natas、ルシファーと目される人物であり(Inscryption考察#26参照)、
少なくともWalkにはLouの思惑が絡んでいた可能性があります。
以上のことから、現実世界においてライオネルとGameFuna社はかなり近しい関係を持ち続けていたようなのですが、
GameFuna社そのものについてはそれ以上の情報はありません。
※その後、GameFuna社もコンバット・アリーナのフランチャイズを売却したようです。
ブライス操作時のコンバット・アリーナX11リリース発表記事によると、X5以降はDojo Techが開発をしており、「(X5は)シリーズ復活作品として注目を集めた」とされています。
……復活ってことは、GameFunaは扱いきれなかったってことなんでしょうね……。
サドが悪魔の手駒たり得るのか、THE HEXは悪魔の陰謀の物語なのかどうかを考えようとしても、この部分に関しては根拠がほぼない。
それでも、根拠が足りなくても成り立つ合理的な仮説をなんとか立てられないか。
そう考えて到達したのがこちらの仮説です。
「The Hexを開かせたのはサド」と考えてみる
何か仮説を立てようと考えた時にはある程度突飛な方が考察がはかどることもあり、
今回は「The Hexを開かせたのは悪魔の計画で、サドが仲介をしている」という仮説を提示してみます。
まず、サドは意図的に作られた存在で、その創造には悪魔が関与しているというのが前提です。
こちらについてはInscryption考察#33を参照のこと。
サド誕生はコンバット・アリーナの頃です(Walkより)。
コンバット・アリーナの時にはメタ認識を持たなかった、またはコンバット・アリーナを離れられなかったためにレジナルドたちと接触できず、
その結果コンバット・アリーナではジェレミアは関与しなかった。
その後、レジェンダリアの秘密前にレジナルド・ジェレミアと接触し、
ライオネルへの復讐の手段としてThe Hexを開く方法を教えたのではないか。
こう考えることでレジェンダリアの秘密以降にジェレミアがゲームへの介入・プレイヤーキャラクターの勧誘を始めたことの説明がつきますし、
鍛冶屋が死んでいるのも、この時点でアーティファクトを入手しようとしたからだと理由づけることができます。
かつ、感想回中編で謎として転がしておいたWaste Worldもある程度理屈を立てることができるようになります。
ジェレミアはラストに血清(M.C.Serum)を使い、ボスラッシュMODをインポートします※。
このCarla51の作った(ゲーム再開時の表示より)ボスラッシュMODにいるサドは、ジェレミア(とレジナルド)と手を組み、
ラストをシックス・パイント・インに招くため、ひいてはThe Hexを開くための動機を作ろうとしていたのではないか。
それが、サドが好き勝手したために「なんだ、ラスト。どうしたというんだ?」という状態になってしまい、
その結果がゲームワークスにおける「特に危険な奴だ。」という発言に繋がっているのではないか。
そう、ジェレミアはサドのことも、サドが持つ力も知っているのです。
※「彼は君に血清を使ったのか。こうも多くの主人の 奴隷にされるとは、なんと酷なことを。」(スーパー・ウィーゼル・キッドMOD内のカタリナのセリフ)という言い方からすると、主人=改造者(modder)でMODを導入しやすくする効果があったのか……? とも思いますが真相は不明です。ゲームワークスの死体の件もありますし……。
シックス・パイント・イン地下の自販機奥ではマインドコントロール端末が山積みになっていることもあり、実はモブなどにもマインドコントロールを受けた人物がいる……なんてことも考えられますが、今回は考慮しません。
サドが留置所にいるのを知っているのは「スパイ」であるスーパー・ウィーゼル・キッドから事前に情報を得ていたためと考えられますが、
「最高警備の独房」にいるサドに、事前にアーティファクト収奪計画の話を通していたとは思えない。
ジェレミアは、自分の狙いをサドが知っていると分かっているからこそ、
サドをアーティファクト入手のための「代替案」("The Backup Plan"、チャプター名より)に組み込んでいたはずです。
ただサドの持つ能力を知っているというだけでは「代替案」に使うのはむしろ危険でしょう。
ではなぜプランAは正面突破だったのかと考えると、
ラストとロッキーの件からサドの狂気性と危険性を危惧したからではないか。
ジェレミアたちも十分狂気的ですが(!)、
何を考えているか分からないサドをこれ以上利用することは避けたかった、と考えると筋は通ります。
「走れ。」と指示したのも、下手にサドに捕まると何をされるか分からないからではないか※。
他方、サドはサドでラザロたちの目当てがアーティファクトであることは重々承知していたので、
一時的に気を失わせただけですぐにラザロをアーティファクトのある場所までワープさせたのではないか、と思います。
※気を失って→気が付いたらアーティファクトのある場所にいたので「アーティファクトを発見した…と思う。」という言い方になったのではないかと思います。
なお、サドに捕まらずに逃げ切ると回想なしで直でワープし、”I made my way to the Artifact.”(日本語版「アーティファクトを手に入れた。」はやや行き過ぎで、「アーティファクトに辿り着いた。」くらいの感じか)というセリフになります。
ではなぜサドがThe Hexを開かせようとしたのかと考えるとき、
「単にキャラクターたちの動きやライオネル殺害を楽しみたかった」
という無邪気な方向にも、
「悪魔がサドを現実世界に呼び出して手駒にするため」
という、より陰謀めいた方向にも考えることができるかと思います。
この仮説ではサドはある程度理性があるという解釈になるので、amanda=サドという考察の土台にすることも可能になります。
一方、サドがThe Hexから現実世界に出たのは必然とは言い難いです。
もし真っすぐ北に行くルートを閉ざされなければ、あるいはウィーゼル・キッドが正しい柱を爆破できていれば「計画の破綻」(チャプター名より)は起きておらず、
サドは留置所に入れられたままだったはずだからです。
そのため、「The Hexを開かせたのはサドを現実世界に呼び出すため」と考える場合、結果的に成功はしたもののうまくいかない可能性もあったことは考慮したほうがよさそうです。
ウィークポイントとしてさっと出るのは「理性的なサドなんてサドらしくない」(!)という点です。
タロット「エラー」でサドは「喜々として混乱を生み出す以外の動機」で力を使わないとされており、作中で描写されるサドの道化師っぷりを見ても、今回の仮説にあまりマッチしないなあ……と思います。
また、この仮説だとスーパー・ウィーゼル・キッドの扱いが説明しにくいです。
GameFuna社はSWKの権利を取得してボロッボロに「没落」させたわけですが、
これは意図的なものであったかどうか。
もともとゴミみたいな移植ばかり作っている会社なようですし。
The Hexを開かせるための布石であった、と考えるには時系列が妙です。
「ルートビア・テンダー」の一件を知らなければ布石を打つも何もないわけですが、この時点でLouがレジナルドの怨恨を知っていたかどうか。
他にもどこかに綻びがありそうですが、それもまた考察の醍醐味ということでここはひとつ……。
◇
これらはあくまでも仮説なので、全く悪魔(ルシファー)は関係ないと考えることも可能ですし、いろんな考察をしてみてほしいなと思います。
とはいえ、個人的には"hex"をダブルミーニングと解釈してThe Hex悪魔関与説を推したいですね。
hexは、ギリシャ語由来の「6」とは別に、ペンシルバニアドイツ語"Hexe"由来で「魔女」「魔力」や「呪い」の意味があるようです。
魔女、魔力、呪いと来たら、やはりあの人・あの方なのではないでしょうか。
アーティファクトのくだりは本当にピングドラムだな……って思います。きっと何者にもなれないお前たちに告げる。
ところでThe Hexでは「ゲームフナ」表記だと思ってたんですがそんなことはありませんでした。マジで!?
普段音声しか聴いていないのがバレバレですね。
次回、Inscryption考察記事で弊ブログの更新は一段落になります。